瓢箪から人生

著者 :
  • 小学館
4.02
  • (18)
  • (28)
  • (14)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 338
感想 : 27
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784093888660

作品紹介・あらすじ

人生の妙味が詰まった傑作エッセイ集が誕生 大人気番組『プレバト!!』でお馴染みの俳人・夏井いつきさんが綴った、愉快痛快にして心に沁みる傑作エッセイ集が誕生!≪俳聖バショーさまは、人生を旅になぞらえたが、旅とはさまざまな人と出会い、さまざまな出来事に遭遇することでもある。我が人生において、がっぷり四つで強い影響を与えてくれた人、袖振り合っただけの人から教えられたこと等を書き留めてみるのも、還暦を過ぎ、いよいよ高齢者として歩む人生の道標となるやもしれぬ。そんなこんなの人生の徒然を記してみようと思う。≫ (本書「ケンコーさんと夏井&カンパニー」より)夏井さんがこれまでの人生で出会った忘れ得ぬ人たちを綴った全45編のエッセイを収録。『プレバト!!』誕生の秘話、師匠となる黒田杏子さんとの出会いや父親の思い出、夢枕獏さんとの意外な交流……どの一編も、俳人ならではの観察眼と夏井さんらしいユーモアが詰まっていて深い余韻を残します。自作の俳句をはじめ、佳句、笑句も多数紹介。俳句を作るヒントも満載で入門書の役割も果たします。 【編集担当からのおすすめ情報】 『プレバト!!』で数々の有名人を唸らせてきた夏井先生の添削のワザ。平凡な俳句を瞬く間に名句に変える的確な批評と豊かな表現、鋭い観察眼は、本書にも随所に表れています。「女性セブン」連載中から大反響を呼んだ本エッセイは、夏井先生曰く「結構真剣に書いていた」。ファンの皆さんにとっては、夏井先生の新しい一面を発見できる一冊になっているはずです。この本のタイトルには、瓢箪から駒が出るような予想外の出来事もまた肯定していこうじゃないかという夏井先生のメッセージが込められています(と私は思っています)。この本を手に取って下さった読者のみなさんの人生を支える杖となるような本になっていると確信しています。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 俳句番組でお馴染みの夏井先生。
    俳句の種をまく活動をされているのは知っていたけれど、思った以上にエネルギッシュで驚く。本当に俳句に人生を捧げているのだなぁ。ご本人は「捧げている」と思っていないのかもしれないけれど。これだけ打ち込めるというのはすごいと思う。
    番組からもうかがえるきっぷの良さ、回転の良さ、歯に衣着せぬ感じが文章からも伝わってきて楽しくなる。
    かと思うと、ご両親のことなどのところではぐっときたり…
    これからも元気に活動を続けていって欲しい。

  • 週刊誌の連載に加筆、編集し単行本化したもの

    おうちde俳句クラブの会員であり、俳句集団いつき組の
    裾野ではあるけれど一員の私としては、夏井さんのこれまでの人生の履歴、知っていることも多々あったけれど
    その時々の心情などは他人が推し量りきれるものではない

    今の夏井さんの売れっ子ぶりを見たら、順風満帆の人生のように思えるが、なかなか大変なこともあったようだ

    しかし、『俳句の裾野を広げたい』という強い信念で、出会う人々を味方につけ頑張って来られた様子に、感動して、何度か目頭が熱くなった

    2021秋、「種田山頭火賞」を受賞された夏井さん
    主催である春陽堂書店HPには
    「自然に親しみ酒を愛し、自分の理想を求めて行きつ戻りつしながら信念を貫いた山頭火の生き様を彷彿させる人」が受賞の対象となるそうだ

    まさしくぴったりではないか
    そして、賞状には、受賞者に合わせた山頭火の句が素晴らしい書体で書かれているそうだ
    夏井さんの賞状には

     もりもりと盛りあがる雲へあゆむ  種田山頭火

    と書いてあっだそうだ
    なかなか粋な計らいの賞に私までが嬉しくなった

  • プレバトでおなじみの俳句の先生です。ちゃんと見た事ないのに姿も声も知っているってすごい浸透度ですね。
    ちょっと内輪ネタ的なところもありますが、俳句の裾野を広げようと奮闘してきた人なんですね。それは本当にすごい。

  • テレビの「プレバト」の俳句でおなじみの夏井いつきさんの本。俳人というより、俳句の伝道師みたいに大いに俳句の良さ、愉しさを世に知らしめた。でもこの本で紹介されている夏井さんの俳句、ユーモアがありわかり易い。是非出ている句集、手にして読んでみようと・・・。

    「伊月集・龍」「伊月集・梟」「伊月集・鶴」

  • 読んでいて元気が出たり、毎日が違った景色に見えてくる本は5つ星をつけることにしている。

    最初、テレビで見る夏井さんにきては硬い書き方?と思ったが、すぐにいつもの夏井さんの勢い。
    俳句甲子園の現場でお話ししてるのを身近に見たことがあるが、ホッントウに、この人、愛があるのだ。

    じわーっとこころがあっかくなって、なんかいい人に自分もなるのだなあ。すごい人だと思う。

    この本を読んでいる間、私はとってもいい人になれた。機嫌良くもなれた。この気分を続けていけたらなと思う。
    人には、「親切」でいることだなと思う。

  • TV番組のプレバトの俳句の先生、夏井氏の俳句にまつわるエッセイ。17音を生業にしているだけに言葉に無駄がない、しかもその奥に背景をも描いている。取り上げられた俳句に涙した章もある。
    俳句だけではなく、ヒトとしての重さも感じた。

  • 句集を読むにはまだまだと思ったのでエッセイを読んでみた
    ラジオに寄せられた子供の何気ないひと言の句が全部素敵だった ほかの俳句もみんな良いし家族の話でホロリとさせられて読んでよかった

  • 夏井いつき先生の凛とした雰囲気と愛嬌がめいっぱい感じられるエッセイ。先生のやさしい俳句も身に染みる。
    文体はどこか芸人さんが書くエッセイみたいだと思った。多分、不必要な部分はそいであるのに、情感を得るのに十分必要な分だけある口語体から感じるのだと思う。「結婚」にまつわる様々なエピソードが良かった。

  • 先生は「良いも悪いもこれが夏井いつきです」と言い切ってくださる。
    だから、安心して暴れることができる。

    「俳句は季語との交信です」

    どう頑張っても凡人の句しかできない。そんな悩みを語る俳句愛好者は多い。そんな人たちはたぶん、俳句は、自分の脳内にてゼロからなにかを生み出すものだと思っているからではないか。
    私の体験的真実として語らせていただくならば、自分の脳から生まれるものは、おおむね自分以下でしかない。
    俳句は、自分の外にある全てのとのもの交信だ。・・・それから句材もらい、十七音に切り取っていくのが俳句だ。

    いつも言ってることだが、「俳句は筋トレ」だ。俳句でご飯を食っていく!ともなれば、才能の有無ってやつも多少は関係してくるだろうが、人生の楽しみ・趣味・生きがいとして続けていくのであれば、そんなもんは全く関係ないのだ。遅速はあるにしろ、とにかく続けていれば、俳句の山の六合目ぐらいまでは誰でも登れる。

    思えば、父は、その時が来た時に「杖」があるようにと、私を俳句にめぐりあわせてくれたのだと思います。

    「プレバト!」が生み出した副産物はまだまだある。
    全国各地で開催している句会ライブに足を運んでくださるお客さんたちが変わってきた。・・・
    さらに、驚くのが、句会ライブで決勝七句のうちに残った作者のうち・・・「今日初めて作りました」という人が半数を占めるようになってきたということ。その人たちのたった一つの共通点が「特に勉強はしてないけど、毎週『プレバト!』だけは観てます!」なのだ。観てるだけで知識がたまっていき、スキルが上がっていく。・・・・・・・続けるって、本当にスゴいと思いません!?

    俳句は百年後も、富士山のように高くて美しい山であってほしい。富士山が美しいのは、広くて豊かな裾野があるからだ。今、私にできるのは、裾野を広げるための「俳句の種まき運動」である。裾野が広がっていけば、おのずと俳句の山は高くなっていく。

    六十五歳になる夏井いつきの十数年の素顔が、奔放にかつ繊細に描きだされ、自由に詠うことの大切さを読者に強く伝えてくれるのが、この句集だ。本人は余生などと言っているが、私より一歳だけ若い彼女に余生などどいわれては困る。走るから生きている。生きているから走り続ける。俳人・夏井いつきは、人間・夏井いつきなのである。
    (五十嵐秀彦)

    そして、兄弟子が褒めてくれたことが、単純にうれしい。この嬉しさが、次のエネルギーとなる。

    私は今、強い確信をもってありありと想像できる。
    百年後に見上げる俳句の山はより高く美しく、裾野はより豊かな大地となって広がっていることを。イガラシさんとわたしは、雲の上からそんな光景を眺めつつ、俳句作ったり議論したりしている日が゛いないと思うと、なんとも愉快な心持ちになるよ。

    古川先生語録の一つ「失敗はデータや」という考え方は、わが人生において実際的に役立った。失敗を嘆いたりくやんだりするのは心と時間の無駄遣いだ、と考えられるようになった。

    クラハシ先生は、親しい人の死を受け入れてゆく方法を教えてくださった。無心で手を使うこと、何らかの方法で心を吐き出すこと、自分の悲しみを誰かと共有すること。それらは、自分の心を悲しみの沼に沈ませてしまわないための大事な手立てなのだ。

    そして、マサトの本には、こうサインしてくれた。
    「一生いつきさんの言うことをききなさいね。夢枕獏」

    一本の百合のごとくに戦はぬ
    そして、私たちは、凛と開く一本の百合のように、絶対に戦争なんかしない。戦ってたまるものか、と。

    たかが俳句だけれど、増殖していく負の感情を小さく千切っては一句一句に変換していくうちに、心の波が少しずつ静まっていることに気づく。それは、眼に見えない己の感情を言葉にすることで、客観的に眺められるようになっていくからではないかと思う。心と言葉は、そんなふうに密接に作用しあっているのだ。

    賞を目指すのは目標ではあるけど、目的ではない。誰かと比べ始めたら、いつか俳句は苦しくなる。たまにもらえる賞は、グリコのおまけ。

    複雑骨折した心をどう整えればよいのか。そんな気持ちで、迎えたのが種田山頭火授賞式だった。
    が、考えてみれば、心の複雑骨折を繰り返しながら、自然治癒力を身につけていくのが、人生というものなのかもしれない。

  • 1331

    夏井いつき(なつい いつき)
    1957年、愛媛県生まれ。8年間の中学校国語教諭経験を経て俳人に転身。俳句集団「いつき組」組長。創作執筆に加え、句会ライブなど「俳句のタネまき」活動を積極的に行なう。また、全国高等学校俳句選手権大会「俳句甲子園」の創設に関わる。「プレバト!!」(MBS/TBS系)をはじめ、テレビ・ラジオ・雑誌・新聞・webなどの各メディアで活躍。2015年から俳都松山大使を務める。

    瓢箪から人生
    by 夏井いつき

    いや、そもそも「花鳥風月」の意味するものとはなんでしょうか。   考えたことがありますか。

    喉頭癌で闘病中だった句友鯛飯さんの訃報だ。調律師であった鯛飯さんは、バードウォッチングの楽しさを教えてくれた句友でもある。俳句と音楽と鳥を愛した男は、正義の人でもあった。「組長、ここは 挫けるとこやないから」と、私は何度も何度も励まされた。美しいものを美しいと讃え、正しいものを正しいと明言する。敬愛してきた句友の死が、ズシリと堪えた。

全27件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

昭和32年生。松山市在住。俳句集団「いつき組」組長。俳都松山大使。「第8回俳壇賞」「第44回放送文化基金賞」「第72回日本放送協会放送文化賞」「第4回種田山頭火賞」受賞。著書に『超辛口先生の赤ペン俳句教室』『夏井いつきのおウチde俳句』、句集『伊月集 鶴』(小社刊)等多数。

「2023年 『おウチde俳句くらぶ 作品集 2022』 で使われていた紹介文から引用しています。」

夏井いつきの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×