- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094063998
感想・レビュー・書評
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世の中が混沌としていても挫けないで生きていける根拠を青子の人生から見つけた。彼女が見つけたような居場所は本当に必要だと思い出した。それからものすごくお腹が空いた。
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なるほど私やっぱり柚木麻子が好きだ。
バブル期の東京を、ある銀座の鮨店とともに駆け抜けた不動産業OLのお話。
主人公はやっぱり青くて、イタイ。(それでも氏の他の物語とくらべると全然やさしいほうだとおもう。もっともっと皆こちらが穴に入りたくなるくらいイタイ。)
出来事のひとつひとつが切なくて苦しくて、青子はどんどんひとりになっていくようだけれど、そうではない。
鮨屋の一ノ瀬さんとのやりとりが質感というかもはや肉感溢れすぎて苦しい。
どれだけ傷ついても、貶められても、ひとりぼっちになっても、毅然と前を向いていく登場人物たちに救われるなあといつも思う。
p146
それでもいい。他人の幸せな家族の風景を思い浮かべ、自分をすり減らすのはもうやめよう。 -
バブルという特殊な時代を、街と供に生きた女性。寿司職人への片思いを軸に描かれている。
寿司の味わいの表現は読んでいるだけで、自分も寿司を味わっている気分にさせられる。甘美で、時に官能的に舌を絡めとられるようだ。
高級寿司となると、至極の味であるのは当然だが、その分値段もそれ相応のものとなる。高級な寿司店で食べる事をただのステータスとして考える人もいれば、それもバブルの象徴の一つなのだろう。
僕自身はバブルという時代を体感したことないが、この本では寿司もバブルも、待ちと人間の成長も味わえる素敵な本でした。 -
私はこの物語の中で生まれた子たちと同世代だ。バブル時代を知らない世代。バブル時代には漠然とした憧れがあった。しかし、青子という人物を通してバブル時代を見た時に、今現在となんら変わらないなぁと。青子が作った東京は2020を合言葉に作り変えられているが、独り東京で生き抜く女性の心の中はなんら変わらない。作品中の青子に向けられる言葉の一つひとつが私自身の痛いところを突いてきて、心が抉られる思いがした。でも、今この作品に出会えてよかったとも思えた。
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主人公 青子と、銀座の一流寿司店の職人、一ノ瀬さんの関係が最後まで目が離せなくて、引き込まれて読みました。この時代に、精一杯自分の力で生きた青子。少しうらやましいです。
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なんども胸が苦しくなった。
その時代の女性のたくましさに憧れると共に、
その人たちが今の時代を生きる私を見たらどう思うのだろう。
切なく綺麗なお話でした。 -
バブル時の社会など知らないであろう世代の作者が書いてることにびっくり。
という自分も、バブルの恩恵に預かったのはわずかな期間だったけど。
だからこそ、格式の高いお店で顔を覚えてもらえることに憧れたけれど、通い詰める前にはじけちゃったよね。いろいろと。 -
どんどん変わっていく主人公。
だけど変わらない寿司職人への想い。 -
190617*読了
何よりの大好物はお寿司、というわたくし。小説のテーマだけで、もう!読まずにはいられない!と喜びいさんで読み始めました。
青子と同じく一ノ瀬さん(わたしの憧れの名字。笑)が、タイプどんぴしゃ。ああ、彼の手からお寿司を受け取ってみたい…。
バブル期の真っ只中に生まれたわたしは当然、当時の様子はテレビでしか見たことがなく、本当にこんな派手派手しい世の中だったの…?と、当時の様子自体が作り話のように思えました。でも、きっとこんな風だったんだろうな。
一ノ瀬さんみたいな職人さんがいるお寿司屋さんを見つけて、常連になりたい…。笑 -
手をにぎるだけで胸がいっぱいになる
そんな恋をしたことがありますか?
新しい時代を生きること、恋をすることの難しさよ。
カウンター越しのもどかしさったら。
とにかく鮨が食べたい。寿司じゃなくて鮨だ。