夏の情婦 (小学館文庫 さ 4-10)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064223

感想・レビュー・書評

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  • 直木賞を受賞された作家の文庫を何気なく手にとってみた。
    初めて読む佐藤さんの本。新たな作家の発見に少しわくわく。
    題名からどろどろした女と男の話を期待していたのだが、いい意味で裏切られた。
    男の目線から見たときの恋愛の話は新鮮で、女ほどのねちねちとした感覚のない、さわやかな、いやあっさりとした男女関係が独特の口調で語られる。
    短編で構成されており、読みやすく、どの話も切り口が違って楽しめた。
    終わり方もあっさりとしていて逆に切ない。
    あっさりとした考えだからこそ、それって好きってことなんじゃ…と思う場面もいくつかあったが、それは私が女だから思うことなのかもしれない。

    とりあえず、他の佐藤さんの本も読んでみようと思った。

  • 表題作を含む5つの短篇集。

    表題作もよかったけれど、個人的には、やはり「傘を探す」もおもしろかった。
    映像化されたらどうなるんだろうと考えながら読んだ。

    また、著者自身による「三十年後のあとがき」もすばらしいものになっている。

  • 良すぎるというか好みの人だった。

    遠野さんと似ているなと思ったら「恋人」に出てくる、面倒さ、鬱陶しさを覚える女も同じように書かれていると思った。そしてやはり主人公は身体を鍛えている。客観的で理論的で、ある人から見れば冷酷な、そういう考え方が好きだと再認識した。そうして感情的な女の部分に迷う。

  • どれも面白かったけど、特に「傘を探す」が秀逸。姉への近親相姦を思わせる秘めた思慕と、そんな姉を奪い取った義兄への憎しみ。そんな複雑な思いを相変わらずのシニカルなタッチで描いていく。それから巻末に収録された著者自身による「30年後のあとがき」もよかった。作家はいつも「今、この瞬間」を書くのだ、という強い決意。彼の文体に惹かれるのはその緊迫感が滲み出ているからだ。世に溢れる凡百の流行作家とは隔絶している。この点では作風は全く異なるが、村上春樹と通じるものがある。

著者プロフィール

1955年長崎県佐世保市生まれ。『永遠の1/2』ですばる文学賞、『鳩の撃退法』で山田風太郎賞受賞。おもな著作に『リボルバー』『Y』『ジャンプ』など。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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