サラバ! 下 (小学館文庫)

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著者 : 西加奈子
  • 小学館 (2017年10月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094064445

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サラバ! 下 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

  • 歩が貴子のことをずっと「病的なまでに人の注目を浴びたいやつ」として認識していることに違和感があった。なぜなら、私からは(というか第三者的に見ると?)歩のほうが人(他人というより自分を「愛してくれるべき」人)からの注目に対する飢餓感が強いように見えたからだ。
    貴子は、子供のころはきっと母にまっすぐに見てもらえないことに対して飢えていたのだと思うけれど、父から離婚の真相を聞かされたことなどを経て「他者は自分に幸せを『与えて』くれるために存在しているのではない」と思うようになったのだと思う。それはきっと、他者と自分の「交じり合わなさ」を決定的に知ったことで行き着いた境地なのだろう。(歩に言った「あのふたり(両親)はふたりなりの生き方を追求しただけだ」という趣旨の言葉がそれを物語っていると思う)
    歩はずっと、大人になっても、他者を「幸せを与えてくれる」存在だと思っていた。だから、自分が最悪の精神状態のとき、須玖と鴻上に臆することなく「付き合うことになった」と宣言されて狼狽えたのだろう。

    貴子の言う「信じるもの」は「幸せ」と置き換えても良いかもしれない。
    あなたの幸せを誰かに決めさせてはいけない。
    そして、翻ってそれは、私にも向けられている。
    他人の幸せをあなたが決めてはいけない。

  • 10月の3連休の朝、ふと「3連休だから1日1冊、上中下を読もう」と思い立ち、連休初日に購入しひたすら家で没頭した。
    人によってはそれを「せっかくの3連休なのに」と言ったりするだろうが、僕は有意義な3連休であったと信じている。

  • 以下ネタバレ含む。



    一気に読み終えた。
    最初は『舞台』を思い出した。
    『人間失格』の幼き日の葉三みたいに、誰にも見破られない完璧な仮面をかぶっている、と思い込んでいる自分劇場。

    狂気の塊のような姉、そして美に執着する母と、存在感のない父。
    そんな家族を「」の中に入れながら、自分は優等生の顔をしながら優越感を感じている歩。
    本当は家族が軋んでいく不穏から目を背けているだけの、ただの子供だった時代。

    なるほど家族の崩壊の話かと思いきや、個人が救済されることによって、新たな形で結ばれてゆく再生の物語だったことには驚き。
    お姉ちゃん巻貝に閉じこもっていたのに、、、と思いながら、自分が自分であることと一番激しく闘ってきた人でもあったんだな、と納得。
    そうして優越感を感じていたはずの歩の足場が、一気に崩れ始める下巻がすごい。

    歩の人生に、少なからず影響を与える『デミアン』的存在も面白い。
    エジプトのヤコブにしても、日本の須玖にしても。
    彼らは歩にとって、知恵であり、静寂であり、信仰者であったのだと思う。
    そして、その在り方は歩の父に繋がっていくようにも思う。

    信じるとは何か。

    つまりは、自分自身を信じているか。

    他人に依って自分自身を確認している限り、不穏からは逃げられないのだろう。
    結局は自分で自分を確認するしかない。
    自分のために負う傷に誇りを持てる自分になりたいと、結構強く思ったなぁ。

  • 姉と母に悩まされながらも、少なくとも恋愛や仕事の面では充実していた主人公。

    しかし30を過ぎたあたりから薄毛になり、これまで自意識を支えてくれた容姿が崩壊する。それに伴い恋人も去り、仕事も減っいく…
    さらに、これまで自分の足を引っ張り続けてきた姉にまで心配される始末。

    やっと物語らしくなってきた。あのままだったら、胸糞悪くて読んでられなかった。
    一瞬でも著者である西さんを疑ってしまったのを申し訳なく思った。

    これは、生きる意味を見出せなくなった人達へ送る、
    信じるものを見つけ、力強く生きていくためのエールなんだと思った。

  • サラバというタイトルの意味が、ようやく理解できた。とにかく、一気に、泣きながら読み終えた。私の芯ってなんだろう。それを、しばらく考えたいと思う。

  • 私の語彙・表現力では面白さが伝えきれない。私が書けば自己啓発本でよく見る文になるだろう。私にとっては心で感じる本、間違いなく人生で大切な本。途中で主人公に「引っ張られ」ていた自分にハッとした。姉が言ったあの一文…。ちょうど神とは何か考察していたのだが、その答えのヒントがもらえた。『i』にも通ずる所があり心に響いた。出てきた本や音楽まったくわからなかったが、聞きながら調べながら読んでみた。この表紙の絵の意味もわかってビックリ!伝えたいメッセージが込められてたんやなぁ!(本人が書いてるし当たり前か。。)又吉さんの後書きもよかった。

  • 魂を揺さぶられる小説だ。この本は作者の実体験に基づいた渾身の一作なんだろう。何だか自分がくよくよ悩んでいる事がバカバカしくなる、勇気を貰える傑作だ。直木賞の選考委員も悩まなかったのではないだろうか。

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サラバ! 下 (小学館文庫)の作品紹介

これは、あなたを魂ごと持っていく物語

姉・貴子は、矢田のおばちゃんの遺言を受け取り、海外放浪の旅に出る。一方、公私ともに順風満帆だった歩は、三十歳を過ぎ、あることを機に屈託を抱えていく。
そんな時、ある芸人の取材で、思わぬ人物と再会する。懐かしい人物との旧交を温めた歩は、彼の来し方を聞いた。
ある日放浪を続ける姉から一通のメールが届く。ついに帰国するという。しかもビッグニュースを伴って。歩と母の前に現れた姉は美しかった。反対に、歩にはよくないことが起こり続ける。大きなダメージを受けた歩だったが、衝
動に駆られ、ある行動を起こすことになる。




【編集担当からのおすすめ情報】
解説は又吉直樹さんが執筆くださいました。

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