サカナとヤクザ: 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う (小学館文庫 す 12-2)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 325
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094070521

作品紹介・あらすじ

食べてるあなたも共犯者!決死の潜入ルポ

アワビ、ウナギ、ウニ、ウニ、サケ、ナマコ……・「高級魚(サカナ)を食べると暴力団(ヤクザ)が儲かる」という食品業界最大のタブーを暴く。
築地市場から密漁団まで5年に及ぶ潜入ルポは刊行時、大きな反響を呼んだが、このたび文庫化にあたって密漁社会のその後を追加取材。密漁と取り締まりの過激な攻防戦を描く新章「密漁社会のマラドーナは生きていた」を書き下ろした。
推薦文は『闇金ウシジマくん』『九条の大罪』の漫画家・真鍋昌平氏、文庫解説は『モテキ』『バクマン』の映画監督・大根仁氏。
本作はノンフィクションのジャンルを超え、日本のエンタメ最前線を走る人たちから絶賛されている。

真鍋昌平(漫画家)
「人の欲望は止まらない。
ルールがあれば反則勝ちした
犯罪者がぼろ儲け。
知らないうちに自分自身が
密漁者の共犯者。
高級寿司の時価の舞台裏を
犯罪集団に
笑顔に拳は当たらない処世術で
5年間も潜入取材して
伝えてくれた勇気に泣けてくる」


【編集担当からのおすすめ情報】
18年10月11日、豊洲市場の開場当日に刊行された本書をきっかけに、密漁は社会問題として認知されるようになりました。しかし、この本の真価はそこにはありません。事実に基づくという制約があるはずのノンフィクションが、これほどまでにワクワクした楽しい読み物になり得るという可能性を示したことこそ、文庫化まで10年に及ぶ長期取材によって著者が得た最大の成果です。

感想・レビュー・書評

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  •  本書は、ヤクザ専門誌の元編集長(えっ⁉︎)鈴木智彦さんの体当たり潜入ルポです。5年もの身を削る取材を通して、組織的な密漁、ヤクザの介在をあぶり出していきます。
     何と言っても、著者の現場主義的な執念に頭が下がる思いです。
     三陸アワビ密漁団と海上保安庁の攻防、流通ルートを探る築地4カ月潜入労働、北海道の中国発「ナマコバブル」、銚子のヤクザのドン、北方領土問題とカニ、ウナギの国際密輸等々、余りにも広範囲で、その深く暗い闇に衝撃を受けます。
     私たち消費者側も、理解と意識改革など、できることから始める必要がありそうです。飽食、〝映え〟を求めるインスタ、グルメを煽るマスコミと飛びつく私たち…。学生だけでなく、SDGsを学び、自分事として考え、実践していかなければ…と、深く考えさせられました。
     美味しい・旨いと言える海産物が持続的に食べられますように…。

  • 鈴木智彦『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』小学館文庫。

    日本の食文化の背後にある大いなる闇に迫ったノンフィクション。先に読んだ『ヤクザと原発』よりなかなか面白い始まりだったが、尻すぼみに終わる。始めは体当り取材が主体だったが、次第に伝聞や過去の歴史が中心となるのだ。

    文庫化にあたり「サカナとヤクザ」の歴史と現状を追加取材し、『“魚河岸の守護神”佃政の数奇な運勢』『密漁社会のマラドーナは生きていた』を書き下ろし収録。

    水揚げされるアワビの約半分が密漁という驚きから始まる。アワビの他にウニ、サケ、ナマコ、シラスウナギなと高級魚が密漁の対象となり、100億円規模という暴力団の巨大な資金源となっているというのだ。しかも、地元の漁師などと手を組み、様々な工作を行い、かなり組織化されているのだという。

    確かに三陸でアワビの密漁団逮捕というニュースはたまに目にするし、三陸沿岸には密漁監視の小屋や施設がある。夜中になると沿岸をサーチライトが照らし、他県から来たワゴン車のチェックなどもあったりするのだ。

    著者は密漁の実態を調査するために築地市場にアルバイトとして潜入し、さらには密漁団に密着する。また、今や密漁にも国際化の波が押し寄せているようだ。

    本体価格890円
    ★★★★

  • 土用の丑の日に鰻を食べながら、この鰻はどうなんだろーと思ってしまった。
    潜入ルポ、凄すぎます(;^ω^)

  • 俺の食ってる魚、実はヤクザが絡んでるかもしれん。
    まず、密猟団が取ってきた魚をヤクザに渡すなりして、密猟団は金を得る。
    ヤクザはその魚を市場に密かに紛れさせ、「綺麗な」魚にする。
    マネーロンダリングならぬフィッシュロンダリングやんけ。
    で、その魚がスーパーに届いて知らず知らずのうちに我々が食べてるって事になる。
    やべえな、これ。
    筆者はヤクザ特化系ライターであり(筆者が写ってる写真を見たけど、もうヤクザにしか見えない。ヤクザを取材しすぎるとヤクザっぽくなる。)プロのライターである。
    警察24時とかをよく見てるお父さんは読むと絶対面白いと思います。ヤクザは意外と近くにいるってことがわかります。

  • 密漁中に警察が踏み込んできそうになったとき、ツレに放尿させてその隙に逃げたっていう体験談が書いてあってめちゃくちゃウケた 前に読んだマンガにも職質中におしっこ漏らしたら解放されるっていう話があったけど、職質シッコって反社の世界では有名なライフハックなん?

  • 面白かったです

  • これぞ実社会という感じで、面白すぎる内容の本。漁業のヤクザな世界を知ることができます。魚好きの日本人は必読でしょう。でも、この本をそれでも魚を食べるのか?と問われても、美味しい魚を食べることをやめる日本人はほぼいないでしょう。それだけ日本人の生活から魚は切っても切り離せない、魚とヤクザも切っても切り離せない、ということは日本人とヤクザは……
    なぜかかなり前から気になっていた本で、最近漁業にふれる機会が増えてきたので、勉強のためようやく購読したのでした。解説も含めて楽しかったです。
    特に元道民として、根室に関する項目はなるほどという感じでした。確かに自分が行ってたお寿司屋さんも、「昔のカニは全部密漁」って言ってた意味がよくわかりました(笑) いつか根室に訪れたい。そのタイミングではまた本書を読み直さなければ。

  • 日本は魚介類の宝庫で、寿司や刺身など海産物の恩恵を多分に受けている。そして、我々が口にする魚介類は当たり前のように日本の漁師が釣ってきたものか、海外からの輸入と思っている。

    しかし、この本が明らかにするように、ウニやアワビ、ナマコなどは密漁によるものも数多く流通しており、我々の口にも入っている。また、肉や野菜と比べ物にならないほど、産地偽装も横行している。

    昔から漁師は腕っ節が強く、護岸警備の観点からもヤクザとの関係が深く、今でも豊洲市場の関係者にはその辺りが曖昧になっている人も多いが、そうしたことも密漁ビジネスにヤクザが関わっている理由の一つかもしれない。

    山で山菜を取るのは自由なのに、なぜ海で海産物を取ってはいけないのか、またなぜ北方四島の周りで漁をしてはいけないのか、こうした難しい問題も残る。

    とはいえ、我々が口にするものがどこから来ているのか、どんな問題があるのか、知っておくことは必要ではないか。

  • 背ラベル:662-ス

  •  ヤクザ関連で数々のノンフィクションを記す著者が立ち向かうのは、密漁ビジネス。魚とヤクザの関係を決死の潜入ルポで伝える。恐ろしいのは、数々の伝手を辿って取材と潜入を繰り返しながらも、全容が見えない点にある。もちろん著者の能力不足ではない。そう簡単にキーマンが見つからないのだ。さらには「あまりにも地雷が多すぎて下手に突けない」(おわりに)。しかもシラスの問題については「危険な取材」であり、「台湾・香港ルートに深く斬り込むと東京湾に浮かびますよ」(p.294)とまで言われる。
     全容まではわからない。しかし暴力団・闇ルートと漁業の複雑な癒着関係についての概要はこれで把握できる。あっけにとられるしかなかった。最終的には、私たちのいま食べている魚介類についても思いを致すことになる。

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著者プロフィール

1966年、北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。週刊誌、実話誌などに広く暴力団関連記事を寄稿する。主な著書に『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文藝春秋)『潜入ルポ ヤクザの修羅場』(文藝春秋)『サカナとヤクザ』(小学館)などがある。

「2021年 『修羅の花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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