急斜面 (小学館文庫 フ 8-4)

  • 小学館
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本棚登録 : 58
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094070903

作品紹介・あらすじ

ドイツ推理作家協会賞新人賞シリーズ最新作 違法を覚悟でおじの遺灰を撒くべく、クロイトナー上級巡査はスキーシーズンのヴァルベルク山へ登った。山頂近くのレストランでベジタリアンを自称するダニエラという女と出会い、その後二人はスキーを履いてともに下山することになった。夜が迫っていた。 上級コースを滑り降りてしばらく経つと、月を雲が覆い隠し、辺りが闇に包まれた。ゲレンデを外れた二人はやがて夏のハイキングコースに迷い込み、雪の積もったベンチを見つける。そこに雪だるまが座っていた。 クロイトナーが雪だるまの膝の辺りをはらうと中からスキーパンツが現れ、続けて上部の雪を除けると全身が現れた。天を仰ぐような姿で女性が雪まみれになってベンチに座っていた。 クロイトナーの制止を聞かず死体に近づいたダニエラは、死んだ女のスキージャケットを探って鍵の束を取り出すと、冬の夜をも凍らせるような悲鳴を上げた――。 ミースバッハ刑事警察の首席警部ヴァルナー(ただし寒がり)と、はみ出し巡査クロイトナーの迷コンビで人気のシリーズだが、今作は特にクロイトナーの面目躍如たる逸脱行為が事件に大きくからむ。ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞シリーズ、待望の第4弾!

感想・レビュー・書評

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  • クロイトナーシリーズ4作目。いつもブレーキでポンコツのクロイトナーが今回はめちゃ働いていて、ミステリーとしてもストレスなく読めた。「働く」とは言え性格は変わる訳ないので、それがエンタメミステリとしても笑いがあって面白かった。

  • クロイトナーの評価、爆上がりの回。

  •  ドイツミースバッハ警察、ヴァルナーとクロイトナーのシリーズ第4弾。

    あらすじ
     クロイトナーはススキーに行くが、山で雪だるまのようになった死体を発見する。一緒にいた第一発見者は被害者の妹ダニエラ。姉妹は動物シェルターを運営していた。さらに数日後、同じ場所で男性が殺害される。2人に共通するのは写真。
     ロウソク工場の息子バプティスト・クルッガーは探偵を雇っている。被害者2人ともう一人が関わる大金の行方を調査させている。かつてダニエラの姉たちはデモなどを行う左翼学生だった。運動を現実にするため大金を奪おうと考えたのだ。バプティストは大金を騙し取られたが、それは自分が恋人を殺した証拠を握られていたためだった。
     そして結末。犯人はダニエラ。姉はうつ病を発症し自殺したのだった。ダニエラは残り2人への復讐を誓ったのであった。

    《感想》今回ますます面白さに磨きがかかっていた。クロイトナーは本当にどうしようもない。賭け事はするし賄賂は要求するし殺人事件現場のガイドまでかって出る。しかも料金付きで。そんな彼がダニエラと出会ったことで少し話が進むのかなと期待した。なんだかんだ心配してはこまめに農場に顔を出したり、口喧嘩しながらも一緒にいてあげたり。ダニエラは動物シェルターの運営に一生懸命で、真面目で、もしかしたら少しはクロイトナーもまともになるかもしれないと思った。でもダニエラが真犯人で逃亡して、ラストはさすがにクロイトナーもしょげていて、ちょっとかわいそうになってしまった。作者はこういう展開も書けるんだな。事件も層が厚いと言うか、背景がはっきりしていて読み応えがあった。学生の左翼グループの運動というのは現代でもあったんだな。ドイツの街並みも読んでいて楽しく、ちょっとしたカフェの様子や料理の様子も面白い。ドイツの山でのスキーは木が多くて険しそうだ。それも自然豊かで面白そうだ。ドイツでは10作目が出ているそうなので、続編を楽しみにしている。

  • 絶賛買い支えシリーズ第4作。
    帯によると「大人気」らしく、心強いことである。

    本作も…というか本作こそ、いつにも増して絶好調。
    何がいいって、このまま単なる狂言回しで終わったらどうしよう…とひそかに案じていたクロイトナーが、W主人公の名に恥じない活躍をしたことだ。ただの粗暴なお調子者では早晩飽きが来て鼻につくこと必定なので、この方針転換は大歓迎。
    雪だるまの中から死体が…というのも空前絶後ではないが、やはり何回見てもキャッチーで良い。

    クロイトナーの内面が若干深掘りされ、相対的にヴァルナ―がちょっぴり引いたことで、W主人公のバランスがちょうど良くなった。
    本国ではなんと10作も出ているらしいので、ぜひこのまま「大人気」シリーズでいていただきたいと願う次第。

    2023/2/10~2/13読了

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