恋文横丁八祥亭 (小学館文庫 た 41-1)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 31
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094071726

作品紹介・あらすじ

渋谷裏町の居酒屋が舞台の人情事件簿! 人気落語家立川談四楼が描く人情事件簿!渋谷の恋文横丁近くに佇む居酒屋『八祥亭』。大女将の気っぷの良さと孫の若女将の愛嬌と料理に客が集まる。そんな店に飛び込んでくる「難」事件の数々。解決に動き出すのは常連の落語家八祥。そして彼の本当の姿とは……。第1話『消えた銀二郎』 松濤のお屋敷に住む資産家老人が失踪した。直前にかかってきた1本の電話。数十年前の悲恋が甦る……。第2話『魚定の源ちゃん』 若女将典子が仕入れている鮮魚店で働くベトナム人青年には、来日してキャバクラ嬢になった姉がいた。荒稼ぎを続けて店を転転とする姉の目的とは何なのか。第3話『危うし中華共楽』 町中華の名店「共楽」が閉店するという。大繁盛していたのになぜ?八祥は、事件のにおいを嗅ぎつける。第4話『猫のお菓子屋さん』 小学校付近にトラックで店を出す猫のぬいぐるみを着たお菓子屋さんが話題を呼ぶように。ある日典子はその秘密を知ってしまう。第5話 『ママの味』 結婚間近な青年は、婚約者が式を挙げたくないと言い出し困っていた。愛しあっているのに頑なに華燭の典を拒む彼女には、幸せになってはいけない理由があった。

感想・レビュー・書評

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  • 立川談四楼『恋文横丁八祥亭』小学館文庫。

    人気落語家による連作人情事件短編小説。

    立川段四楼と言えば、Twitterで世相をばっさり斬り裂くような鋭いツイートをよく目にする。そんな落語家の方なら小説も面白いに違いないということで初読み。

    こんな殺伐とした大混乱の時代だからか、このような人情話が心に沁みる。期待通り面白い。

    渋谷の居酒屋『八祥亭』を舞台に繰り広げる人間模様。大女将のしのと若女将の典子が営む居酒屋に持ち込まれる様々な事件。事件を解決するのは警視庁のキャリアでありながら、表に出ることのない訳あり落語家の山遊亭八祥こと高倉という面白い設定。

    『第一話 消えた銀二郎』。 落語のような心地好いテンポで物語は展開する。良い話だな。松濤のお屋敷に住む資産家老人・銀二郎が失踪する。老人の行方を八祥が調べると……★★★★★

    『第二話 魚定の源ちゃん』。 世相を巧く反映しながら、物語は展開する。人情は世界を越える。確かに最近はベトナム人をよく目にする。若女将の典子が仕入れている鮮魚店で働くベトナム人青年のキャバクラ嬢になった姉が行方をくらまし、八祥が姉の行方を探す。★★★★

    『第三話 危うし中華共楽』。正直に生きて、真面目に働くことは美徳であるが、なかなかそれに見合った報酬や幸せは得られない。しかし、最後に救われるの真面目に働いた者だ。『八祥亭』にやって来た町中華の名店『共楽』の老店主は、しのと典子に閉店を決めたことを告げる。そのことを八祥に告げると……★★★★★

    『第四話 猫のお菓子屋さん』。 感動、感涙の物語。『八祥亭』に来た客が公園で化け猫を目撃したことを話す。その正体は猫のぬいぐるみを着た女性のお菓子屋だったのだが、その女性は大きな悩みを抱えていた。再び、八祥が動く。★★★★★

    『第五話 ママの味』。最後に一番良い話を持って来た。これまた感動、感涙の物語。結婚を間近に控えた青年は式を挙げたくないという婚約者に困っていた。その婚約者には頑なに式を拒む理由があった。その理由を聞いた八祥は問題を解決するために奔走する。★★★★★

    本体価格560円
    ★★★★★

  • 読みやすいです
    著者のすっとされている、その性格、感性がそのまま作品の登場人物たちにも表現されているからなのでしょう?
    こういった作品は、やはりその方の経験とその経験に対する感受性、観察力からのなせる業なのでしょう。
    完読です。

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著者プロフィール

1951年、群馬県生まれ。1970年、立川談志に入門。1990年「シャレのち曇り」(文藝春秋 現PHP文庫)で作家としてもデビュー。以来、本業の落語会で全国を飛び回りつつ、多くの小説、エッセイ、書評等を執筆。主な著書に『談志が死んだ』(新潮社)『声に出して笑える日本語』(光文社文庫)『いつも心に立川談志』(講談社)『落語家のもの覚え』(ちくま文庫)等がある。

「2022年 『文字助のはなし 立川談志を困らせた男』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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