逆説の日本史12 近世暁光編(小学館文庫) (小学館文庫 い 1-21)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094082739

感想・レビュー・書評

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  • 徳川家康の天下統一に至る思想や戦略が詳細に描かれており、自分なりに家康の「すごさ」を理解。関が原の戦いにおける各武将の策略も興味深く描かれており、現代の社会における政治的な動きと多々共通することもある意味で参考になった。
    この徳川の歴史も武将らの判断や行動ひとつで大きく変わっていたのだなぁということを感じつつも、家康の力を実感した一冊。

  • 怨霊、言霊、穢れから日本史を見据える《赤松正雄の読書録ブログ》

     日本史をおさらいするうえで比類なき面白本をようやく見つけた。歴史の書というよりも歴史推理小説といった方がいいかもしれない。かねてからの「歴史通」や、今はやりの「歴女」には、何を今更と言われよう。このシリーズが世に出てもう10有余年も経っているのだから。しかし、恥ずかしながらその存在を私は知らなかった。井沢元彦『逆説の日本史』1~12である。未読の方は、まず文庫の第一巻を購入されることをおすすめしたい。

     日本史を追う井沢さんのキーワードは、怨霊、言霊、穢れの三つ。彼はことごとくをこれで抑えていく。見事なまでに。彼にかかれば歴史学者は形無し。木っ端微塵にやっつけている。宗教の本来的な役割を知らずに、文献至上主義に陥ってることの弊害を事細かにまた繰り返し飽きもせずに説く。読んでる端から忘れがちな私のようなものには、まことにこれは助かる。しかし、この手法ではさぞかし正統な歴史学者や同業他者から嫌われよう。であるがゆえに、あまり世の中に評価されていないように思われるのは、著者ならずとも口惜しい。

     近眼の人が寝ぼけ眼に顔を洗ってメガネをかけた時のように、ぼんやりしていた歴史絵巻が忽然と姿を現すのは嬉しい限り。というのは少々ほめすぎかも。だが、古代から中世にかけての日本人たちにとっての、様々なる神社仏閣の存在や「和歌」の持つ意味が判明するのは大きな収穫であった。軍事について現代日本人がとかく敬遠しがちなのは、何も戦後に始まったことではなく、古代からの歴史に根ざした伝統であることを知ったことも大きい。

  •  日本史に関しては、以前「中央公論」の日本史を読破した。学校の勉強では好きになれなかった歴史も、学業から離れ、趣味として接し始めると、これがなかなか面白いものだった。
     読み物として読めば、歴史上の様々な出来事は、フィクションよりずっと躍動的である。過去がなければ、今の自分もないなどと哲学的なことも考えたりする。
     さて、井沢氏の日本史は、視点がこれまでの歴史通史より多角的で、興味深く読めた。もちろん、第1巻から通読している。ちょっと、歴史学者に対する批判的文章は、鼻につく感じもするが、その辺は読み飛ばしてみると、新しい歴史観がすんなりと入ってくる。
     小説家の手になる日本史は、当然の事ながら一つの読み物として成立しているし、そればかりでなく歴史通史としてもかなり読みやすく、わかりやすい。

  •  私は、一般週刊誌というものを定期購読したことはほとんどない。もちろん、ちょっとした時間に手の届く範囲に置いてあれば、それに目を通すことはよくある。時として、関心のあるテーマがあり、単発的に購入したこともある。

     「ほとんどない」と書いたのは、実は、ある時期、ほんの数ヶ月だが、「週刊ポスト」を続けて買ったことがある。

     井沢元彦氏の連載物「逆説の日本史」を読むためである。

     その後、いくつかの週刊誌が近くにあるときは、迷わず「ポスト」を手に取り井沢氏の「逆説の日本史」に真っ先に目を通す。

     しかしながら、碩学に対して、大変失礼な物言いになるかもしれないが、私はこの読み物は決して、歴史検証物だとか歴史解説書とは思っていない。「逆説」という言葉の中に含められているのだろうが、あくまでも歴史推理物、井沢史観解説書と認識して読んでいる。おそらくは、井沢氏ご本人もその認識ではないだろか。

     少々乱暴な推論や引用も多く見られるが、ご自身の史観を明確に打ち立てられ、日本の歴史に新しい価値観を吹き込もうという意欲は強く感じられるし、私は、心から敬意を感じている。そして、一読者として、この「作品」を楽しみにしている。

     ご本人も、この著作の中でも何度も書かれているが、井沢氏は歴史家、歴史学者ではなく作家である。だからこそ、日本の歴史を私たちにも分かりやすく、興味を持ちやすい手立てを打ちながら引っ張っていってくれる。

     先般、本屋さんにふらりと立ち寄る。ちょうど文庫本で12巻が発売されたばかりだ。久し振りだと思い、すぐ購入し、一気に読み終えた。そのまま、さかのぼって11巻も買った。

     歴史物は古い物から順に学んでいくよりも、逆に読んでいった方が、頭の整理はしやすいかもしれない。学校の授業でもそうすればいいかもしれない。

     知識の再整理にはもってこいの書物である。

     しかし、ある程度、日本の歴史を勉強してからでないと、少々危険なような気もする。やはり、井沢氏の思い、史観が強すぎるからだ。

  • 最早恒例、年に一度の井沢史観。遂に戦国編完結、近世に突入。
    今回もまた「史料絶対主義」に逆らい、「宗教の無視」を糾し、「通して歴史を見る」ことを貫く。
    11巻に引続き信長−秀吉−家康をセットで見ることで通説に風穴を開ける。
    関が原、かくして制されたり、というところも勿論面白いが、後半の宗教がらみの本願寺の分裂、檀家の成立、そして穢れから部落差別に論が展開されるところなどこの作者の真骨頂。
    サラサラ書かれているけれど結構深い。もう一度、第4巻なども紐解かねば。

  • 秀吉没後、家康が天下をとり、江戸時代の基礎を固める歴史を、逆説的に語っておられます。
    関ヶ原関連の本がもっと読みたくなります。

  • 2008/6/12 Amazonにて購入。
    2012/1/29〜2/9
    関ヶ原以降の徳川家康の権謀術作の解読は目ウロコ。知っている話もあったが、御三家、御三卿、本願寺分裂など知っているようで知らなかった話も沢山。歴史の真実は分からないが、真実は文字に残らない、との井沢氏の主張には首肯できる。

  • 2008.6.8読了

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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