ブラックランズ (小学館文庫 ハ 8-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (396ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094085501

感想・レビュー・書評

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  • 叔父の死体を探すスティーブンは、やがて獄中の殺人鬼エイヴリーと手紙のやりとりをはじめるスリラー作品。
    傑作!!家族を取り戻すための主人公の孤高奮闘ぶり。圧倒的な絶望感はこの結末の為だったのか!!最後は本当に涙が止まらない。

    登場人物ほとんどが伏線だったり、物語に意味を持たせている。
    ただひとり「こいつ誰だよ」という人物がいる。この人物の存在意義は「人の欲求や欲望は止められない。その一例だよ、ほら」という作者の茶目っ気と、 物語的には偶然にも程があるだろという破壊力 。

    主人公はヒーローに憧れているような等身大の12歳で、彼の行動や考え方は無謀に見えて、実はリアル。読者にも焦燥感、昂りが伝わって手に汗握りました。
    おばあちゃん大好き!!

    オススメマラソンその⑭
    真尋さんから紹介してもらいました。

  • 家族がばらばらなのは誘拐されて殺された叔父のせいだ。
    12歳の少年スティーブは家族の絆を取り戻すために叔父の死体を探している。やがて服役中の犯人と文通をすることになり…。

    スティーブがいかにも12歳の少年で、苦笑したり胸が痛んだり。
    年相応の浅知恵で必死に壊れた家族を元に戻そうとする健気さが生む物語。
    多少安直に進行する場面もあるけれど、ミステリというよりも少年の物語として読めばそれも許せるかな。
    犯人に内面だけでなく、鬼気迫るような外見の描写があれなもっと緊迫感が出たようにも思った。
    何にせよデビュー作がこれならこの先に期待する。

  • 連続児童殺人事件の犯人と、少年の対決という物語で、よくある警察や弁護士などが犯人と対決するのとは少し毛色が違っている。少年の叔父が十数年も前に被害者になって、少年の家庭は息子を失って悲しみから抜け出せない、少年にとっての祖母と、父が居ない(なぜかは明示されていない)中、5歳の弟に母の愛情が向けられていると感じている主人公の少年にとって、叔父の遺骨の場所を見つけることが、暖かい家庭に変えることへの命題になっていた。
    殺人事件によって家庭が崩壊している中、何とか改善しようとする、けれどどこにでも居そうな少年がいじましく、応援してしまう。

  • 獄中にある連続猟奇殺人犯人と12歳の少年との息をつかせぬ心理戦が見所のサイコサスペンス。
    2010年のゴールドタガー賞受賞作品だ。
    この英国推理作家協会が選ぶ賞に新人作家の作品が選ばれるのは異例の快挙だという。

    サイコパスとの心理戦といえば「羊たちの沈黙」がまず思い浮かぶが、本書の焦点は異常性や猟奇性にはない。
    そちらを期待していると確実に裏切られる。
    ここで描かれているのは、それとは真逆の家族愛だ。
    万人受けするだろうし、映像化のオファーもくるのではないか。
    著者の真っ当な道徳心が感じられて好感をもった。

    12歳のスティーヴンは、シングルマザーの母レティと祖母、弟の4人家族。
    19年前にレティの弟ビリーが子供ばかり狙う連続殺人犯によって連れ去られ行方不明になってから、祖母は今でもビリーを待ち続けている。
    ビリーの遺体さえ見つかれば、祖母もそれを受け入れ事件は終わるのではないか、我が家は普通の家族になれるのではないか。そう思ってスティーブンは今日もエクスムーアの広大な大地を掘る。
    犯罪によってもたらされた遺族の悲しみは、他人の想像を超えて何十年はおろかときに世代を超えて遺族を蝕む。
    ビリーがいなくなってから祖母はレティへの愛情にも興味を失い、嫌みをいうだけの扱いにくい人間になった。
    レティはその祖母から捨て置かれたまま大人になり、子供にうまく接することができない。
    それでも、スティーブンは希望を捨てられない。
    自分が頑張りさえすれば、家族を蝕む不幸な空気も、貧困さえも変えられるかもしれない。
    その一心で、傷つきながらも恐ろしい相手に一人で立ち向かっていく。
    こんなスティーブンに思わず涙腺がゆるむ人もいるだろう。
    それぞれの登場人物の心理描写がとにかく巧い。

    物語序盤はゆっくりとしているが、ここで語られることは全て意味がある。イラつく方はしばし我慢を。
    この著者、なかなかのストーリーテラーだと思ったが、演出にも手を抜かない。聞けば、脚本家なのだそうだ。
    少しすれば完全にスティーブンに肩入れすることになるだろう。

  • 児童連続殺人犯との手紙のやりとりからの展開にびっくり。少年と犯人の視点、ちょっと親友の視点もありでのストーリー展開でした。

  • 殺された叔父の遺体を探すために、獄中の犯人と文通を始めた少年のサスペンススリラー。

    主人公の12歳の少年スティーヴンは、内気で冴えなく、唯一褒められたことといったら上手に手紙を書けることくらい。
    学校ではいじめられ、家族も、19年前に幼くして殺されいまだ遺体の見つかっていない叔父のことを引きずっていて、スティーヴンに十分な愛情を注げていない。
    そんななか、スティーヴンは叔父の遺体が見つければ、家族の愛情を取り戻せるのではないかと考え、やがて獄中の殺人犯に手紙を送り始めるのだが、という話。

    手紙を通じて心理戦を仕掛けるスティーヴンと、暗号や恫喝で煙に巻きながら文通相手の情報を引き出そうとするエイヴリーのヒリヒリする心理戦も見所だけど、
    何より壊れてしまった家族のために、誰からも知られずに一人孤独な戦いを仕掛けるスティーヴンが健気で、可愛そうで。

  • アーノルドを撃った兵卒ゲーリー(16才)の存在って、いるのかなぁ 余分な気がする 撃ちそこなってるしw

  • 胸が痛い…

  • 期待したほどではなかった。静かなトーンの話だったことと、舞台田舎だったのであまり海外ものという雰囲気が感じられなかった。

  •  主人公の少年が受けているイジメがひどい。服役中の犯人が動き出すまでは、フード3人組のイジメ(というより盗みと傷害)にイライラして本を投げつけたくなった。スティーヴン少年、まだまだ青いし頼りないけど、いいヤツすぎるよ……。

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