鳥かごの詩 (小学館文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094086799

作品紹介・あらすじ

受験のための絶対条件は個室。山形から受験のために上京してきた鳥海康男がようやく探し当てたのは、東京下町の奇妙な新聞販売店。個室は、段ボールで仕切られた「鳥かご」のような部屋だった。住み込みで働くのは、風変わりな面々。配達先も癖のある住人ばかり。康男は、初めての東京、仕事に悪戦苦闘し、恋や事件に巻き込まれていく。時代小説に新たな地平を開いてきた北重人、唯一の現代小説。描かれるのは昭和四十一年の風景、そこかしこにあった人情、人生が動き出した時。急逝した作家、渾身の青春譜。特別付録として巻末に山形新聞連載のエッセー集を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 北重人さんは50歳のころから小説を書き始め、2004年56歳で本格デビューした時代小説の作家さん。それからわずか5年の活動で急逝されました。
    同じ頃、同年代で葉室麟さんがデビューしたことになりますが、私は北さんの方が好きでした。
    その北さんの唯一の現代長編小説であり、北さん自身の体験を背景にした作品です。

    舞台は昭和41年の東京。大学受験に失敗し、浪人を父親に反対された主人公が、家出のように東京に出てきて、新聞販売所に住み込みで働きながら大学を目指す1年を描いています。
    ようやく探し当てた受験勉強に必須な個室のある新聞販売所。個室とはいえ、三畳にも満たず、壁はダンボール、住人からは鳥かごと呼ばれる部屋。同居するのは、どこか訳ありの人びと。

    たぶん、北さんの中に強く印象に残った事件なのでしょうが、本筋とはかけ離れていて、何故このエピソードを入れる必要があったのかと思う所も何か所かあります。しかし全体に、若者の悩みや人々の優しさをストレートに描き、やや暗さは有るものの、本の帯にある「渾身の青春譜」という謳い文句にふさわしい作品でした。

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