終りに見た街 (小学館文庫)

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著者 : 山田太一
  • 小学館 (2013年6月6日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094088328

終りに見た街 (小学館文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 読んで良かった。他に戦争の小説をそんなに読んだわけではないが、なんだろう、地味なのにこれは凄い。

    出征や特攻や原爆などの詳細な記述があるわけでも、涙を誘うような場面があるわけでもない。
    それなのに、戦争の本当の怖さがヒシヒシと伝わってくる。

    現代から突如昭和19年にタイムスリップしてしまう話。
    と言っても、この本が書かれた元々の年は昭和56年である。
    つまり、現代=昭和56年に47歳である主人公は昭和9年生まれなので、タイムスリップした先の戦時中の状況にも何とか対応できる。
    それは著者の山田太一氏の年齢である。

    著者のあとがきも、奥田英朗氏の解説もとても重要に思う。
    著者は私の親世代。そして奥田英朗氏はおおよそ私世代。奥田氏のように私も親から戦争の体験談を聞かされた世代だ。
    しかし親の話ではわからなかった《当時の日本の「空気」》(←奥田氏の解説による)をここまでよくわかるように伝えてくれた本書は本当に意義深い。

  • なんとなく再読。 ラストは良いし、文章は読みやすくそれなりに楽しめる。 ただ、全体としてはモヤモヤして仕方がない。 最初にしても最後にしても、せめてキッカケのようなものがあればなぁなどと思ったり。

  • 戦時中にタイムスリップしていたのは、すべて終わりの間際に見た夢なんじゃないかなと思った。
    若い人から染まってゆくところはリアルで恐ろしい。
    後味わるいけど、戦争はそれ以外なにもないでしょう。

  • この評価ですが。
    正直に、面白いというより興味といったらわからないですが
    戦時中の市民の生活はどうなのだろうと...
    TVやドラマでは何となくみていたが。
    戦後の家族が、戦時中にタイムスリップ?して
    生活を始めるのだが...
    淡々と読んでいき、淡々と親と子供の心理の変化は、考えずに入られなかった。特に子供達の心の変化は...心苦しい。

    最後の解説には、巧くこの本の意義を表していて脱帽。
    そして、世界的に平和な日本に感謝。

  • 容赦ないですね。
    いや、『戦争中にタイムスリップした』物語とは言え、
    どこかで何となくな平和的オチを期待してしまっていたんだと思います。
    それこそ悲惨さを舐めている平和ボケだったのかもしれませんけど。どーせ小説だし・・・ってね。
    まぁとは言え爆撃された未来が終幕になると予想できた人は少なかったんじゃなかろうかと思いますが。

    うーん・・・面白かったんですけどね。
    メッセージ性がそもそも重い題材に加え、ラストがまさかの結末である事から
    どう受け止めていいのか自分の中でも理解できていない感じかな。今は。

    ちょっと疑問点は残りますけどね。クリーニング屋の兄ちゃんっぽい将官とかさ。
    あの人も歴史を跨いでしまって、新也君のように良くも悪くも順応したって事・・・
    だとしても将官まで出世しているのには違和感があるし。
    あ、現世は現世で生きつつ、もっと昔から過去でも生きていたと捉えると何とかなるかもしれませんね。

    こういうSF的な要素と、平和ボケに対する題材的な警告がどう噛み合うのか、そこら辺に理解が及ばないですね。

    主人公夫妻と敏夫の行動については、自分はちょっと同意できない。あくまでも性格の部分にもよるかもしれないけどね。
    戦争を知っているからこそ少しでも被害を減らそうとするか、
    知っているからこそ自分達だけでも必死に生き延びようとするか。
    自分だったら間違いなく後者だと思うんですよね。
    守るべき子供達も居るなら、尚更。
    とにもかくにも目立つ事を避け続けるんじゃないかな、と。

    逃げた先に何があるかは分からないですけど、
    一度飛んだって事は戻る可能性だって頭にない訳ではないでしょうから。

  • 戦時中の日本にタイムスリップって言うから「ブラックアウト」の日本版?昭和56年にこんな作品があったの?と思いながら読んでみたら視点が全く違いました。
    何と言うか終戦記念日前後に放送される特番ドラマの様。
    主人公は昭和9年生まれで現在(昭和56年)には47歳、戦時中の記憶は幼いながらも残っている、それが戦後生まれの妻も含めて家族4人でタイムスリップ。生活環境が激変、主人公は覚えている限りの知識で家族をこの時代に馴染ませようとするが家族は徐々に崩壊していく。
    東京大空襲の日付を知っている主人公は一人でも助けようと孤軍奮闘するが(ビラを撒き駅前で叫ぶ!)通行人にボコボコにされてしまう。
    それを妻も子供達も冷めた目で見る。
    家族の一体感は失われたまま大空襲の日を迎え、過去の歴史とは違う時間、場所で空襲が有り、なんと家族は全滅してしまう。
    瀕死の主人公が顔を上げると遙か彼方に東京都心が見え、高層ビルの残骸と折れた東京タワーが見える?と言う寓話的なラストシーン。
    読み応えは有りましたが重い、重~い話。平和な日本を実感します。

  • この本が書かれた昭和50年代に暮らしていた家族が、昭和19年にタイムスリップする物語。戦時中の空気の中で、暮らしていく苦労が描かれているが、当時の風習や価値観がわかり興味深い。将来起こる事が分かっている家族が、昭和20年3月10日の東京大空襲を前にアクションを起すが、クライマックスに向かうシーンは手に汗握る。

  • 平和に暮らしていたテレビライターの家族が、昭和19年に突然タイムスリップし、戦時下を生きなければならなくなる。
    敗戦や東京大空襲のことを知りながら、自分達のできることは何かを模索していく。
    毎日の平凡に見える生活がどんなに幸せであるかに気づかされます。
    ラスト。。。そうか!!

  • ネタバレ注意

    今まで読んだ戦争モノは過去の戦争の恐怖を伝えるものだった。この本もそうだと思って読んでいたらまさかの衝撃のラスト。
    9条の改憲などが議論されている今の日本に必要な本だと思った。
    特に改憲賛成派の人には必ず読んで欲しい。自分たちがやろうとしていることがどういう結末を導くのか、よく分かると思う。

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終りに見た街 (小学館文庫)の作品紹介

戦時下にタイムスリップしてしまった家族

東京近郊に住む平凡な家族は、ある朝、戦時中(昭和19年)の日本にタイムスリップしていた――信じられないようなSF的設定で始まる問題作。家族が投げ込まれた世界は、戦時下の「食糧不足」「言論統制」「強制疎開」「大空襲」の時代だった。憎むべき〈戦争〉の時代に、〈飽食した〉現代人はどう立ち向かうのか。太平洋戦争末期、敗戦へと向かう日本を鮮烈に描きながら、驚くべき結末が待ちうける戦慄の寓話。
解説、奥田英朗

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