読んで良かった。他に戦争の小説をそんなに読んだわけではないが、なんだろう、地味なのにこれは凄い。
出征や特攻や原爆などの詳細な記述があるわけでも、涙を誘うような場面があるわけでもない。
それなのに、戦争の本当の怖さがヒシヒシと伝わってくる。
現代から突如昭和19年にタイムスリップしてしまう話。
と言っても、この本が書かれた元々の年は昭和56年である。
つまり、現代=昭和56年に47歳である主人公は昭和9年生まれなので、タイムスリップした先の戦時中の状況にも何とか対応できる。
それは著者の山田太一氏の年齢である。
著者のあとがきも、奥田英朗氏の解説もとても重要に思う。
著者は私の親世代。そして奥田英朗氏はおおよそ私世代。奥田氏のように私も親から戦争の体験談を聞かされた世代だ。
しかし親の話ではわからなかった《当時の日本の「空気」》(←奥田氏の解説による)をここまでよくわかるように伝えてくれた本書は本当に意義深い。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
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- 感想投稿日 : 2013年9月22日
- 読了日 : 2013年9月22日
- 本棚登録日 : 2013年9月22日
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