用心棒スチール写真全348 (小学館文庫 Y く- 1-1 VISUAL SERIES)
- 小学館 (1999年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784094167313
感想・レビュー・書評
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場面ごとに写真と文章とで内容を追っていく。『用心棒』という名作をじっくりと味わい、細かく知って浸るための必携書。また観たくなること請け合い。ちょっとしたコラムもあるのでファンも満足できるのでは(私は満足した)。
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黒澤明監督の『用心棒』。スチール写真とともに物語をたどる一冊であります。
写真は、タイトルに「全348」とあるから多分348枚収録されてゐるのでせう。数へてないけど。
黒澤監督の大ヒット作であると同時に、俳優三船敏郎の代表作とも申せませう。次回作『椿三十郎』とともに、三船=豪快な素浪人のイメエヂを決定付けたのです。
のちのTV作品『荒野の素浪人』『素浪人罷り通る』なんかも、『用心棒』そのままのキャラクタアでした。さういへば『荒野の素浪人』に登場する大出俊さんの「五連発の旦那」鮎香之介は、仲代達矢さんの卯之助に想を得てゐるのでせうね。
ところで本書には「エピソード」なるコラムが処々方々に配置されてゐます。
まあ、おほむね黒澤監督がいかにスゴイかを喧伝する内容ですな。ある文章では時代考証に厳しいと述べられてゐますが、一方他所で「黒澤監督は時代や本物にこだわっていたわけではなかった」と書かれてゐます。狐につままれたやうな気分でございます。結局黒澤監督はスゴイのさ、と主張したいのでせうか。
最後の「エピソード」にもありますが、黒澤監督は徹底して面白い娯楽作品を作らうとしたのに、周囲(評論家など)が監督を神格化したいのか、色色な理屈を付けてゐます。世界のクロサワが単なる娯楽作品を作る訳がない、とでも言ひたいのでせうかね。わたしら素人は純粋に愉しめば良いでせう。
本書はその手段のひとつとして、布団の中でも気軽に観られる『用心棒』であります。
さて夜も更けました。それでは、おやすみなさい。
http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11152642466.html