地図のワンダーランド (小学館ライブラリー 113)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784094601138

感想・レビュー・書評

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  • 地図を眺めると楽しいことがある。地図は部屋にいながらにして遊べる「大人の知的エンターテイメント」だ。





    今回の本は、1994年に発行されたものだが、今読んでも興味深い。




    どうしてこんな生き物が地図に描かれているのかと思うことがある。本でも取り上げているが、イングランドの西部に位置するヘレフォードという町の大聖堂に、13世紀末に作られた変わった地図がある。





    当時のキリスト教的世界観を現した作品で、、聖堂の祭壇に飾ってある。




    アフリカ西部一帯に何だこれはと思うような人物が登場。頭がなく、胸に目と口のある「無頭人」が2人立っている。この不思議な人は、中世に存在していると信じられていた食人種ブレミエだった。





    なぜアフリカと無頭人が結びついたのか分からないが、ヨーロッパ人が野蛮と思った地域の地図には、この無頭人がよく登場すると著者は述べている。






    海は荒れ狂うことがある。中には海の難所として恐れられていた場所もあった。渦で表現しそうなものだが、意外とないそうだ。




    著者は2枚だけ見つけたとして紹介している。ノルウェーのロフォーテン諸島海域を描いた作者と年代ともに不詳の地図。そして、鳴門の渦を描いた江戸時代の四国遍路案内図「四国遍礼」だ。





    ロフォーテン諸島に描かれている渦の方が迫力があるなあ。渦に巻き込まれると抜け出せなくなり、大変なことになりそうだ。





    地図を見るとその時代の人々が何を思っていたのか知ることができて面白いなあ。

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著者プロフィール

1926年、京都府に生まれ、1935年、札幌に移住。北海道大学理学部卒業後、同大学低温科学研究所助手等を経て、物性物理学・統計力学・数理物理学を専攻。理学博士。1980年まで同大学理学部教授として主に物理の研究・教育に従事。同年、人生二毛作に向けて大学を退職し、エッセイストに転向。1990年、建設省(現国土交通省)国土地理院長表彰を受賞。
小学生のころから地図の美しさに魅せられ、放浪を趣味とする。1960年代より地形図を手に全国の旧道、廃線跡、産業遺産などを歩く旅をスタート。地図と旅の愛好者の集まり「コンターサークルS」を主宰。現在も各地を精力的に歩き続ける。1972年、『地図のたのしみ』(河出書房新社)で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。北海道大学名誉教授。
『地図を歩く』(河出書房新社)、『地図のワンダーランド』(小学館)、『地図で歩く古代から現代まで』(JTB)、『消えた街道・鉄道を歩く地図の旅』『にっぽん地図歩きの旅 古道、旧道、旧街道』(ともに講談社+α新書)、『忘れられた道 完』(北海道新聞社)、『サッポロこぼれある記―北の街の空のひろがり』(そしえて)、『エントロピーとは何か―でたらめの効用』(講談社ブルーバックス)、『地図の中の札幌』『北海道 地図の中の鉄路』(ともに亜璃西社)など、地図・鉄道・旅行・物理学に関する著書が多数ある。

「2017年 『北海道 地図の中の廃線』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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