- Amazon.co.jp ・本 (370ページ)
- / ISBN・EAN: 9784096221099
作品紹介・あらすじ
江戸幕府の外交はなぜ「鎖国」と呼ばれてきたのか。歴史が未来を切り拓く。
感想・レビュー・書評
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「鎖国」というカッコ付きの表現が使われるようになって久しい。江戸時代の日本は実際には国を鎖ざしてはいなかった。ではなぜ鎖国という概念で江戸時代が語られるようになったのか? 実態はどのようなものだったのか? 朝鮮通信使を利用する幕府、海外の情報収集に熱心な幕府、吉宗の輸入品国産化プロジェクト、異国人に対する認識、通信使の受容のされ方、異国からも見える富士山というフィクションが庶民にまで広まった事情などなど、どの章も実に面白い。江戸期の対外交渉を知る入り口となる一冊。
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TRa
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本書によると鎖国と言う言葉は幕末に作られたという。江戸幕府は鎖国していたわけではなく、きちんと海外と交流していたようだ。ただ、家康は秀吉の外征の影響で朝鮮との国交回復には苦慮したようだが。従来の日本近代史観を変えることのできる本と思う。
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【「鎖国」という外交】
BOOK LOVERS vol.95
http://pod.j-wave.co.jp/blog/booklovers/2009/02/book_lovers_vol95.html
鎖国のイメージは明治時代に創られたものだった、輸入行為を通じた貴金属流出が幕府の深刻な課題だった、など従来の教科書日本史を覆す話がいろいろ。山川の日本史解説本と読み比べたい一冊。 -
2013年17冊目
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「新視点近世史」ということで、江戸時代全般を“「鎖国」という外交”のテーマで概括する。前半部では、幕府にとっての朝鮮通信使の意味、「4つの口」による東アジア世界との貿易と外交などがわかりやすく書かれているが、後半部になると、絵画史料をもとに大衆にとって異国人のイメージはどのようなものだったのか、どのような土壌から「征韓論」が生まれてきたかに多くを割く。オランダや琉球、エゾとの「外交」には余り触れず、朝鮮がメイン。
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『全集 日本の歴史』シリーズはかなり質が高くて、歴史的な教養を深める上で非常に役に立つ。
江戸時代は「鎖国」と言われているけれども、実際はちゃんとした外交的な理由もチャンネルもあったし、「鎖国」によって国内産業が進展していって、それが近代日本の礎になった。また、当時の日本人が考える「世界観」について語る。当時の東アジアの状況から、かなり積極的に「鎖国」を評価している点が興味深かった。