新編日本古典文学全集 (8) 萬葉集 (3)

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096580080

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  • かなし妹をいづち行かめと山菅の
    そがひに寝しく今し悔しも      -巻十四の3577

    巻十四の棹尾を飾っており、この本でも最後の一首になります。
    なんともいえない余情が伝わってきます。

    いとしい妻だが、どこへも行くものかと、
    背中合わせに寝たことを今は悔やんでしまう。

    挽歌です。

    山菅の細長い葉はそれぞれ別のほうへ伸びます。
    そがひの枕詞となります。そがひのそは、背です。

    編者曰く、ささいなことで口をきかなくなったことを
    思い出していたのであろう、と。そうだと思います。

    恋人や妻とケンカしてしまった人、あるいはそんなとき、
    この挽歌を、そっと渡してみるといいかもしれません。
    今し悔しも、といわないですむよう、願いをこめて。

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著者プロフィール

小島憲之(こじま・のりゆき)
1913年生まれ。
大阪市立大学名誉教授。
1998年逝去。
著書に『古今集以前』『国風暗黒時代の文学(全9巻)』など。

「2019年 『上代日本文学と中国文学 補篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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