永遠の詩 (全8巻)2 茨木のり子 (永遠の詩 2)

著者 :
  • 小学館
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感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096772126

作品紹介・あらすじ

弱ったこころを勇気づけ、希望に導いてくれた詩人、茨木のり子。そこにはいつも生きるための言葉があった。ヒューマニズム溢れる名詩から、亡夫を想う挽歌まで、鑑賞解説付きで収録。

感想・レビュー・書評

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  • 『自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ』
    もうタイトルを見た瞬間、読まなくちゃと思った。
    茨木のり子さんの作品は二つだけ知っていた。
    『わたしが一番きれいだったとき』と『女の子のマーチ』「女を見くびるなよ」という感じの勇ましさと戦争は絶対NOと突きつける激しさに惹かれた。

    予想通り、激しい喝を入れられた。
    自分を甘やかす隙間など微塵も与えぬ迫力だった。
    「はい、すみません」と謝るしかなかった。

    『夢』『恋歌』『(存在)』と亡くなった夫を偲ぶ詩にも慄然としながら惹かれた。
    愛と死
    命のあはれを感じる。

  • もっと早く 茨木のり子 を知るべきでした。何歳でこれを読むべき、と押し付けがましいのは論外だけど、10代で読んでいれば、今読んだ時に自分を必要以上に責めずに済んだはず。若い時に茨木のり子をスルーした人は、若松英輔 さんの特別授業と共に読むことをおすすめします。


  • 人生で最初に好きだと思って、今も一番好きな詩人はこの人。本当にありがたい。2006年に急逝されたとのことで、同じときに生きていたことに驚きと感謝。

    これからも読み続けたい。読み続けなければならない気がする。

    自分の感受性くらい
    はもちろん、今回響いたものはこちら。

    「ギラリと光るダイヤのような日」
    世界に別れを告げる日に
    ひとは一生をふりかえって
    じぶんが本当に生きた日が
    あまりにすくなかったことに驚くだろう

    「怒るときと許すとき」
    女がひとり 頬杖をついて
    慣れない煙草をぷかぷかふかし
    油断すればぽたぽた垂れる涙を
    水道栓のようにきっちり締め
    男を許すべきか怒るべきかについて
    思いをめぐらせている

    「汲む」
    あらゆる仕事 すべてのいい仕事の核には
    震える弱いアンテナが隠されている

    「一人は賑やか」
    恋人よ
    まだどこにいるのかもわからない 君
    一人でいるとき 一番賑やかなヤツであってくれ

    「時代遅れ」
    そんなに情報集めてどうするの
    そんなに急いで何するの
    頭はからっぽのまま

    「歳月」
    たった一日っきりの 稲妻のような真実を
    抱きしめて生き抜いている人もいますもの

    ---
    こうやって書き写してみると、ひらがなと漢字の絶妙なバランスにも気づく。こういうところ、まねしていきたい。

  • ふとした時に読む本
    喝を入れてほしい時に読む本
    現状に満足できてない甘ったれな時に読む本

  • 茨木のり子さんの詩集ですね。
    永遠の詩シリーズです。
    このシリーズはほんとうに、詩との出会いを形づくるきっかけを結びつけてくれますね。
    茨木さんの詩は、初めて味わいましたが、私の心に深くすんなり、ほんとうにすんなり受け入れました。
    詩集を読むのはかなりの想像力と理解力、感性を駆使しますが、茨木さんの詩は、飾りがなくそれでいて、真相を的確に捕らえられていて、情愛と励ましに溢れています。

      みずうみ
     《だいたいお母さんてものはさ
      しいん
      としたところがなくちゃいけないんだ》
     
     名台詞を聴くものかな!

     ふりかえると
     お下げとお河童と
     二つのランドセルがゆれてゆく
     落葉の道

     お母さんだけとはかぎらない
     人間は誰でも心の底に
     しいんと静かな湖をもつべきなのだ

     田沢湖のように深く青い湖を
     かくし持っているひとは
     話すとわかる 二言 三言で

     それこそ しいんと落ちついて
     容易に増えも減りもしない自分の湖
     さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖
     
     教養や学歴とはなんの関係もないらしい
     人間の魅力とは
     たぶんその湖のあたりから
     発する霧だ

     早くもそのことに
     気がついたらしい
     小さな
     二人の
     娘たち

    この詩集は、茨木のり子さんの全詩より三十六編を選び出されています。
    選者の高橋順子さんの言葉
    「言葉は平易であるが、最初から不思議なくらい洗練されていた。時々俗語や文語が混じり、それがじつに所を得て、いきいきと親しみやすい表情を浮かべているのが、茨木詩を読む楽しみの一つでもある。修飾をはらい、畳みかけるように強い言葉の中に、たおやかな言葉を見出すこともある。」

    心に響く「言の葉」の詩集ですね。

    • 川野隆昭さん
      僕も、詩を読ませていただいて、「自分は深い湖を、ちゃんと隠し持っているだろうか?」
      と、己を省みさせられました。
      素敵なお気に入りの詩人をも...
      僕も、詩を読ませていただいて、「自分は深い湖を、ちゃんと隠し持っているだろうか?」
      と、己を省みさせられました。
      素敵なお気に入りの詩人をもつことは、その人の人生をさらに深く思索的にさせるような気がします。
      素晴らしい、本のご紹介、ありがとうございます。
      2023/02/05
    • ひだまりトマトさん
      川野隆昭さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      茨木さんの詩は、飾りがなくとても読みやすく、そして気づかさせてくれます。ある意味...
      川野隆昭さん、こんにちは。
      コメントありがとうございます。
      茨木さんの詩は、飾りがなくとても読みやすく、そして気づかさせてくれます。ある意味応援歌ですね。
      おっしゃるように、良い詩人にふれる事は人生の宝物ですね。
      これからもよろしくお願いいたします。
      2023/02/05
  •  お気に入りの書店の本店にて。 
    うずたかく積まれた数多の書籍の中の一冊。
    旅先だから、出逢えた『茨木のり子』なのかも。

    『嘘がつけない人だった。
    詩においても、生活においても
           ーーーーーー谷川俊太郎(詩人)』

    そんな茨木のり子さんに、" 清々しいまでの潔さ " を感じ、カッコいい〜と痺れています。

     やはり、『自分の感受性くらい』は、最高だし、ファンの多い『わたしが一番きれいだったとき』も、ほんとうに素敵。
     だけど、わたしは、変わらず『汲む』が痺れるほど好き。 それは、初心に帰れるから。 自分で自分を包み込むような感覚を覚えるから。

     そして、今回は、『知命』に、共感。 
    今のわたしの想いそのものだった。
     もう一つ。 『時代おくれ』。
    『何が起ころうと生き残れるのはあなたたち
    まっとうとも思わずに
    まっとうに生きているひとびとよ』
    このラストは、心に沁みた。
    それまでの
    『そんなに急いで何をするの 
     頭はからっぽのまま』や、
    『便利なものはたいてい不快な副作用をともなう』
    から、シッキムやブータンの子らへと思いは流れ、ラストの文章へ。 ガツンとやられた。

     やはり、茨木のり子は素敵でした。

  • 理想的本箱

  • テレビで紹介されていなかったら、おそらく読んでいなかっただろう。表題作の『自分の感受性くらい』は喝を入れられているような感じが特に良かったが、『わたしが一番きれいだったとき』も良かった。

  • 表題作をはじめ、とても強い人で、いつも何かに怒っているように感じる。「わたしが一番きれいだったとき わたしはとてもふしあわせ」「みずうみ …人間は誰でも心の底に しいんと静かな湖を持つべきなのだ…人間の魅力とは たぶんその湖あたりから 発する霧だ」亡き夫のことを思う詩にも心を打たれた。

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著者プロフィール

1926年、大阪生まれ。詩人、エッセイスト。1950年代より詩作を始め、53年に川崎洋とともに同人雑誌「櫂」を創刊。日本を代表する現代詩人として活躍。76年から韓国語を学び始め、韓国現代詩の紹介に尽力した。90年に本書『韓国現代詩選』を発表し、読売文学賞を受賞。2006年死去。著書として『対話』『見えない配達夫』『鎮魂歌』『倚りかからず』『歳月』などの詩集、『詩のこころを読む』『ハングルへの旅』などのエッセイ集がある。

「2022年 『韓国現代詩選〈新版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

茨木のり子の作品

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