発達障害とことばの相談~子どもの育ちを支える言語聴覚士のアプローチ~ (小学館101新書) (小学館101新書 47)

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  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098250479

作品紹介・あらすじ

ことばの専門家による定期的な相談・指導を受けるようになった親ごさんの多くは「ほっとした」「この子なりの成長を見守っていきたい」とおっしゃるようになり、望ましい親子関係が作られてゆくことが多いのです。(本文より)
第1級の言語聴覚士が、発達障害や何かの心配がある子どもの「ことば」を育てる暮らしをていねいに紹介。子どもの「特性」を生かしてよく育てるために大切なこと、が明らかになります。

感想・レビュー・書評

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  • ことばとは、たくさんの生活経験を経て言語を理解すること+発音できること+コミュニケーションの意欲 から構成されていると理解した。
    子供の発達において、親が"いたずら"と称するなめたり触ったりの探索行為は、言語理解の源なんだろう。

    あそびについても、子供にとっては今ここでの自己実現であり、今後の自己決定を培うものと捉えると、道端で座り込む娘を待つことのエネルギーとなった。
    えてして、親は具体的に何をすれば良いか、どういう声かけがいいか、具体的なものを求めるものだが、発達というのは生活全てを丁寧に楽しむことが始まりなのかしらと感じた。

  • 購入して読み。

    言葉の発達を促す、というのは、結局のところ丁寧な育児をするということに尽きるのかもしれない。そして丁寧に接することはいわゆる「普通の子ども」にとっても、やさしい、思いやりにあふれた接し方、信頼関係を育むやりかたなのかもしれないなー、と思った。
    育児に対する姿勢を見直せるいい本。

    ・コミュニケーションは社会とつながる窓であり、こころの命綱です。人との交流は、食べ物が体の栄養になり、生命維持に役立つのと同じくらい大切です。(p16)
    ・まわりと「つながっている」実感、支えられている感覚、そして支え合っている自覚こそが、人を力づけ、元気にさせるのだと私は思っています。(p16)

    ・そらとも広場(著者のHP)
    http://www.soratomo.jp/

    ・早々と「障害」とか「そうじゃない」とか決めることには賛成できませんが、でも親御さんが早い時期から療育の考え方、つまり「ゆっくりの、でも、着実な歩みを支えることがいい」という価値観に触れることが、決定的に大事なのだ、と、そういうお子さんたちを見て痛感します(p54)

    ・「引き金を引く力=コミュニケーション意欲」を育てることを、えてして私たちは忘れがちです。わかることを増やし、口が動くように訓練すれば、ことばが出る、というほど、ことは簡単ではありません。(p63)

    ・コミュニケーション意欲と言うのは、言う側に能力があるかないかではなくて、相手、受ける側が、「受けるよ」という構えを持ってくれているかどうか、にかかっている、ということです。それによって、子どもの持っているコミュニケーション意欲がちゃんと発動するかどうかが変わってくるのです。(p64)

    ・子どものコミュニケーション能力を強くすればいいのではなく、まわりにいる人が、「聞くよ」という姿勢を作れるかどうか、によって、子どもの中にある力がうまく発揮されるかどうかが決まるのだと思います。(p65)

    ・「ことばかけの方法」とか「ことばの力を伸ばす知育玩具は?」といった細かいことに目を剥けるだけでなく、発達の全体像を見失わずに毎日の生活を、ひとつずつていねいに見直すことが大事です。(p82)

    ・「わからないことがあったら、よく子どもをみてごらん。子どもが答えを持っているから」(p86)

    ・「りっぱに育つ」というのは欠けたところのない人になる、という意味ではありません。凸凹な特性があるとして、そういう特性を持ちつつも、安定したよい大人になる、という意味です。そんなふうに安心させ、見通しを伝えてくれる人と早く出会えることは親子の人生にとって、決定的に大切なことです。(p98)

    ・せめて、遊びの中では「自分からやりたいことを見つけ」「自分で納得するまで遊ぶ」貴重な機会を保障してあげたいものです。
    ・遊びの1コマずつが、今ここでの「自己実現」であり、これからずっと続く「自己決定」を支えるはずのものだからです。(p135)

    ・楽しさの中で聞いた言葉は覚えやすいものです。その点で、遊びながら、自然にことばをかけるととてもいいですね。でも気を付けていただきたいのは、「ことばを伸ばすために遊ぶ」のではなくて「一緒に遊ぶのが楽しいふたりになること」が目的である、ということ。(p157)


    ・言語やコミュニケーションにかかわる障害で「完全に治る」ものはほとんどありません。
    ・構音障害以外の、ことばやコミュニケーションの障害は、厳密な意味では治りません。直せない中、STにできるのは「止まり木」の役割だと私は思っています。(p236)

  • 新しい仕事で子どもとの関わりに悩む私に母が買ってくれた本です。

  • 申し訳ないが、有益な書とはいえなかった。ここに書かれていることで言葉が流暢に扱えるようになれば、苦労はしない。

  • 言語聴覚士

  • 小児のSTとして、本当にこの本に書かれてある考え方に深く共感した。まだまだ未熟であることは痛感しているが、こう言える、こういう姿勢で子どもに臨めるSTでありたいと心底思う。

  • 言語聴覚士という職の意義を改めて感じさせてくれる。今まで読んできた本は成人(失語症などのリハビリ)対象のものが多かったので、小児中心の内容の本書は新鮮だった。

  • 言語聴覚士という仕事で、「ことばを窓口にして、人、そしてその人生に関わる」という著者。

    専門家としてのクールな目と支援者(実践者)としての温かい目を合わせもって書かれた一冊。

    言語聴覚士のためだけの記述ではなく、子どもの言葉の発達が心配な親ごさんが読んでも、分かりやすく、すぐに役立つ情報が多い。

  • 今年は小児もいよいよもたせてもらうことになりました。

    と、いうことでまずはこれを読みましょう、と渡された課題図書です。

    子どもの発達をどのように考えるかというスタンスがすごくいいです。子どもにかかわるうえで忘れちゃいけない大事なことがたくさん詰まっていました。

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著者プロフィール

◎中川信子 なかがわ・のぶこ
言語聴覚士、子どもの発達支援を考えるSTの会代表
東京大学教育学部教育心理学科卒業。国立聴力言語障害センター附属聴能言語専門職員養成所卒業。旭出学園教育研究所、神奈川県総合リハビリテーションセンター、調布市総合福祉センターなどを経て、現在は東京都狛江市特別支援巡回専門家チームスーパーバイザー。子どものことばの育ちの支援と保護者支援にとりくんできた。
ホームページ:中川信子 そらとも広場 http://www.soratomo.jp/
おもな著書に、『Q&Aで考える保護者支援』(学苑社、2018年)、『発達障害の子を育てる親の気持ちと向き合う(ハンディシリーズ発達障害支援・特別支援教育ナビ)』(編著、金子書房、2017年)、『発達障害とことばの相談(小学館101新書)』(小学館、2009年)、『ことばの遅れのすべてがわかる本(健康ライブラリーイラスト版)』(監修、講談社、2006年)、『ことばをはぐくむ』(ぶどう社、1986年)など多数。

「2023年 『ことばの不自由な人をよく知る本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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