命の格差は止められるか: ハーバード日本人教授の、世界が注目する授業 (小学館101新書)
- 小学館 (2013年7月31日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098251742
感想・レビュー・書評
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これは名著。
健康格差とソーシャルキャピタル、ポピュレーションアプローチや社会疫学について、分かりやすく丁寧に解説してくれている。
健康づくり政策にとっての行動経済学の重要性まで触れていて、関係者必読の本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2017年6月読了、疫学やヘルスプロモーションの考え方を、難しい言葉を全く使わずに解説した本。読みやすく、事業の考え方や、陥りがちな問題点など、自分自身の理解を深めることができたとともに、周囲の専門職ではない人ににどう伝えればいいのか、とても参考になった。
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健康を「上流」から良くしていくパブリックヘルスの魅力、コミュニティの力に感動。特に、社会的格差が上流階級層にも健康に悪影響を及ぼすことに目から鱗が落ちる思い。
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医療関係の活動をしている方にはぜひ進めたい一冊
何故日本が長寿なのか。
健康意識も医療費も高いアメリカの寿命はなぜ低いのか?
環境と格差
格差は絶対に生まれるが、格差が大きいほどすべての階層の人の寿命が縮む。その「命の格差」を縮めるにはどうするべきか?
パブリックヘルスは社会全体の健康を考え、どこにいる人たちに働きかけるか。手段はえらばない。
虫歯を減らすために水道水にフッ素を入れるのもあり
人の行動をどう変えるのか? -
人々の健康、社会がどのような影響をもたらすかというのを解説しています。
ソーシャル・キャピタル(地域のつながり)やソーシャル・サポート(個人のつながり)、格差、行動科学、様々な視点から描かれていて、どれもとても分かりやすいです。 -
社会疫学書は自然科学書と言ってよいか、という問題はあるかもしれないが、ハーヴァード大学で活躍するもう一人のイチローの名著。臨床医学から公衆衛生学に転身して活躍している研究者は何人もいるが、この人の語り口はとりわけ心地よい。文科系の学生さんにも、いや、にこそ、一読をお勧めする。ポピュレーションストラテジーの意味がよくわからない人にはとりわけ。
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もーめちゃくちゃおもしろい!!そして文章のいたるところからカワチ先生の人柄がにじみ出ていて。いやーとにかく面白かった!!!!
友人によく「おまえ大学院でなにしてんの?」って聞かれるんですけど、この本がまさに答え!!まだまだ自分の口で上手に説明はできませんが(汗) -
日本出身でハーバード大教授の社会疫学者。専門書では翻訳が何冊か出ているが、新書で著者の研究をわかりやすく解説された書籍。米国は医療費を多額にかけながら、低い健康水準であるが、その大きな要因は経済格差である。低所得層が影響をまず受けるのはわかるが、高所得層にも影響を受ける。資本主義である限り、格差をゼロにする事はできないが、格差を少なくする戦略として、①所得格差の是正②幼児期からの早期の教育③職の安定、が必要と著者は言う。そして社会全体をよりよくするための仕組みを作り、一人一人が行動を変えやすくするための環境を整える事が大切。個人の行動変容は、社会全体の枠組みを形成する中で、はじめて実現可能となるのであり、自己責任論に立つ限り改善はえられない。以上の事を科学的根拠を持って解説されるので説得力がある。まさに『上医は国を医す』である。