「男女格差後進国」の衝撃: 無意識のジェンダー・バイアスを克服する (小学館新書 し 14-1)

著者 :
  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098253807

作品紹介・あらすじ

今の日本であなたの娘は輝けますか?

2019年12月、世界のリーダーに影響力を持つ「世界経済フォーラム」が発表した「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は前年度より順位を落とし153か国中121位だった。
政府が女性活躍政策を推進しても、諸外国の改善と比較する相対評価では、まったく追いついていけない。
長年ジェンダー問題について取材・執筆・実践に取り組んできた著者は「多くの人が、『日本は男女格差が大きい』と実感せずに暮らしていることが、日本が変わっていかない一番大きな原因」と指摘する。
本書では、2015年から2017年までの3年間で、女性活躍を最優先課題として本気で取り組んだ各国の女性リーダーの割合の変化を紹介、例えばカナダの閣僚の女性割合は30%から50%に、インドネシアの最高経営責任者は5%から30%に拡大している。
政府や経済界が本気で取り組めば、わずか3年間で女性リーダーをここまで増やすことが可能なのだ。
本書では、諸外国の取り組みを紹介しつつ「日本で男女格差が縮まらない理由」を考察、国内の成功例を挙げながら、次世代のためにできることを提案する。

【編集担当からのおすすめ情報】
長年ジェンダー問題に取り組んできた著者は、映像やCMのジェンダー分析も発信しています。日本でも大ヒットした韓国ドラマ『愛の不時着』やカナダで大ヒットしたドラマ『アウトブレイク』について、コンテンツの魅力とともに、主人公達の描かれ方の新しさについて鋭い分析をしています。ジェンダー炎上の最近例についても紹介しています。ビジネスピープルが知っておくべき新しい視点としてご注目ください。

感想・レビュー・書評

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  • 「男女格差後進国」の衝撃 - とよなか男女共同参画推進センターすてっぷWebサイト
    https://toyonaka-step.jp/various_posts/rev210411/

    日本の女子学生の理系割合はOECD最低水準。ジェンダーギャップ解消の鍵とは?【Waffleイベントレポ】 - Woman type[ウーマンタイプ] | 女の転職type
    https://woman-type.jp/wt/feature/19963/

    「男女格差後進国」の衝撃 | 書籍 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09825380

  • 「男女格差後進国」の衝撃: 無意識のジェンダー・バイアスを克服する。治部 れんげ先生の著書。日本で男女格差が縮まらない理由がよくわかる良書です。日本人が持つ無意識のジェンダー・バイアスを克服しないといつまでたっても日本は男女格差後進国。男女格差後進国から男女格差先進国になるには大人も子供も無意識のジェンダー・バイアスを克服しないと。

  • 男性の方が向いている、男性の方がいい。
    ありがたいことに、私はそんな言葉を直接かけられるような環境にはいなかった。
    本当はそれが当たり前なのだと思う。
    学生時代までは女性であることの不利益はほとんどなかった。
    けれども、それは親や教員達が守ってくれていたからだった。
    一歩外に出れば、性被害もあったし、卑猥な言葉や容姿を揶揄する言葉をかけられることもあった。

    周りを見てみるとどうだろう。
    女性幹部が少ない大手企業、女性政治家が少ない政治、実際の不利益を見ない司法。
    〇〇女子の乱発に、「男はそんな格好や考え方好きじゃないよ」と言った余計なお世話。
    はっきり言ってそれら全て恥だと思う。
    男の方が冷遇されている、クォーター制の導入は男性差別、女性が優遇されるサービスも多いし、結局主婦は俺らの金を使ってるだけ…思う分にはいい。
    だが、機械の均等を奪っていることに目が向いていない。
    そこかしこに散らばる男女格差。サービスと制度の違いもわからず、ただただ感情のみで動く。
    感情は大切なモチベーションだが、それによって他者を貶めることは許されない。

    なぜこんなに格差が言われているのに我が国はかわれないのか。
    理由の一つに他人に優しくする余裕がないことが挙げられる。
    男は男らしく、その呪縛が男女を苦しめていないか?

    息子にランドセルを購入する時、彼は赤がいい、と言った。
    私は赤でもいいと思った。
    でも、もし、いじめられたら。私は紺色を薦めた。息子は妥協してくれた。
    だから、小物類は好きなものを選ばせた。絵の具セットはハートがたくさんついたピンク色。縄跳びの紐もピンク。
    誰かに言われたら、胸を張っていい、好きなものは好きでいい、みんなにいえばわかってくれるから、と伝えた。
    事実、学校では、可愛いものが好きな〇〇ちゃん(学校ではさん、と呼ぶのが正式だが、子供同士仲良くなるとそう呼ぶ)と認識され、みんなと仲良くしていた。おかしい、と言い始めるのはもっと先だ。(219頁参照)
    誰かに言われて、自分はおかしいんだ、と思う必要なんてないのだ。
    それから、できることは男女の別なく自分で。できないものは適切なヘルプを。
    男だから、女だから、ではなく、一緒に過ごす「人」として相手を尊重したい。
    私にもジェンダーバイアスはあるけれど、あることを前提にして、歩み寄っていけたら思う。
    「男らしい」「女らしい」ではなく、「あなたらしい」を尊重したい。

  • ジェンダー関連本は多く読んでいる方だと思うけど、この本はヒステリックにも攻撃的にもならず、フラットな立ち位置から丁寧に書かれていて好感が持てた。特に日本の問題の根っこがキチンと捉えられていて⭕️

  • ・日本にはまだまだ女性取締役が少なく、海外に遅れをとっている。これを解決するために、社会が、会社が意図的に増加させる取り組みが必要だと思った。
    ・ダイバーシティーを促進することで、社会は豊かになる。
    ・女性差別もあるが、男性差別もある。
    物語の中の、「男性と女性が会議室に入ってきた時、男性が上司だと感じてしまう」とあったが、私もそうだと思う。自分自身も、知らず知らずのうちにジェンダーバイアスを持っていないか意識する必要がある。
    ・女性だから、と海外転勤を諦めたりする必要はない。男女平等は私たちが実現していく。
    ・ジョブ型雇用とマーケット型雇用
    今のことは、ジョブ型雇用が自分に向いていると思う。なぜなら、地方支社への転勤は自分にとっては厳しいから。会社が雇用を守ってくれると、自由なキャリアを描きたくても描けないと思う。

  • ジェンダーのことを考えると、女性だけではなく、いろんな人が生きやすい世の中になっていくのではないかな。
    「あなたの生き方は尊重されるべきであり、同時に、あなたと違う選択をする人も尊重されるべきなのです」
    さまざまな事例から、現在のがっかりとともに希望も、ていねいに提示してくれる。自分の中のバイアス、次の人たちに譲り渡すことのないよう、邪魔をしないよう、心に留めなければ。

  • 自分が職場で受けた性別の理由による不当な扱いと重ね合わせながら読んでしまった。

  • ジェンダーについて、だんだんと分かってきた。
    未来に向けて、何を変えていけるかな?

  • 「私達が何を当たり前と思って暮らしているか次第で、問題や格差は見えたり見えなかったりするのです。」(p19)

    このフレーズが心に残った。これはジェンダー問題だけではなく、他のことにも言えると思う。
    全てのものごとに対してわかった気にならず、様々な可能性を考えて、検討していくべきなのだと感じた。

    ジェンダーの問題についてこの本を読んで知ったことは3つ

    ①自分が思っているよりも男女格差を無くすような取り組みがされていること

    生活している中でジェンダーギャップを改善しようとする取り組みというものをあまり見かけなかった。そのため日本にも女性管理職を増やす取り組みがされていて実際に効果を出している企業があるということに驚き、嬉しく思った。

    ②北欧諸国の社会サービスが充実していること

    高い税金を払う北欧諸国では、介護や育児のサービスを税金で賄っている。そのため、誰でもそのサービスを利用する権利があり、使用することで多くの女性の社会進出がしやすくなっている。
    このように社会のために税金を使ってくれるなら税金が高くても構わないと思う。
    一方、東南アジアなどの国では貧富の差が激しく、議員や女性管理職を担う人々は、貧しい女性を家政婦のような役割で雇っている。それだと貧しい女性達はいつまでも社会的に責任のある役職につくことはできない。
    日本では、あまり家事・育児を他人に任せるということは一般的でないように思えるからこのどちらにも当てはまらないのではないかと思うが、前者のように誰でも平等に介護や、家事・育児のサービスを受けることができるようになってほしい。

    ③メンバーシップ型、ジョブ型の一長一短

    和菓子店、洋菓子店と例に出しているところがとてもわかりやすかった。安定的な日本企業、特技を活かせる外資系企業、上司が仕事をしないと言う話をたまに聞くがこれが安定的な日本企業で起こる理由がわかった気がする。

    この本を読んで、ジェンダー後進国の危険性について改めて理解することができた。日本の根強いジェンダー観を徐々に変えていきたいと感じさせる内容であった。

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著者プロフィール

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。日経BP社にて経済記者を16年間務める。ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て現職。男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、日本ユネスコ国内委員会委員、日本メディア学会ジェンダー研究部会長など。著書に『稼ぐ妻・育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館新書)、『ジェンダーで見るヒットドラマ』(光文社新書)、『きめつけないで! 「女らしさ」「男らしさ」』(汐文社)などがある。

「2023年 『いいね! ボタンを押す前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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