福岡伸一、西田哲学を読む: 生命をめぐる思索の旅 (小学館新書 ふ 7-3)

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098253869

作品紹介・あらすじ

『動的平衡』の福岡伸一が西田哲学に挑む!

「動的平衡」をキーワードとして、「生命とは何か」を鮮やかに、且つわかりやすく紐解いた福岡伸一が、日本が生んだ哲学の巨星・西田幾多郎の思想に挑む!
難解で知られる西田哲学と格闘する姿を追ううちに、読む者もいつしか科学と哲学が融合する学問の深遠へとたどり着ける画期的なベストセラーを新書化。
西田研究の第一人者・池田善昭と生命科学の新しい概念を提唱する福岡伸一による対話は、まさに「知の真剣勝負」。
哲学の入門書でありながら、生命科学を論じる比類なき一冊をぜひご堪能ください。

【編集担当からのおすすめ情報】
哲学は難解というイメージがあります。また、西田幾多郎の哲学は特に難しいといわれます。その西田幾多郎の哲学に「動的平衡」理論を武器として正面から挑んだ快作です。オリジナル版発売当時、「生命科学と西田哲学の両方がわかるなんて!」「哲学がこんなに面白かったとは!」と話題を呼んだベストセラーを新書化しました。これから読む方は幸せです。読みだしたら時間を忘れる面白さと知的興奮が待っています!

感想・レビュー・書評

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  • めちゃくちゃ良いです!絶対矛盾的自己同一とは、動的平衡のことだった!

  • 西田幾多郎は野中先生の本でいくらか知った程度で間主観性とか知のありようを説いた人だと思っていた。福岡先生の動的平衡は読んでいないが直感的に納得できる話で、この二人がどう重なるのか興味深いと思って読んだ。多と一、分解と合成、過去と未来、いろんな対立概念の同居、同時発生が生命的な現象であるということのよう。生命の見方が変わる。最後のベルグソンの円弧もとても面白かった。
    包まれつつ包むを福岡先生は本当に納得したのかなと思ってたら、最後の新書へのあとがきで触れられていた。でもまだよくわからず。生命は時間を作るというが、カイロスとクロノスのこと?環世界的にそれぞれの生物の時間はあると思うが。包まれつつ包むはガイア理論、システムオブシステムズ的に理解してみたのだが違うのか。ロゴスに偏ってるのだろうか。
    いま生命現象に興味があるので福岡先生の本を何冊か買うことにした。

  • 彼らのいうピュシスと、西田のいうピュシスは違う気がする。
    池田さんは西田哲学の説明では主客一致のこととか言っているが、その後の話ではそれを理解しているとはとても思えない発言が多い。
    主客一致や物を内から見るというその見方での自然が西田のいうピュシスであろうが、彼らの見方はそうではない。ピュシスの側面が科学、特に生命に現れるということは十分にあり得るが、その現れがピュシスであるとか西田の哲学であるなんて言うのはおかしい。
    とはいえ、福岡の説はロゴス的な科学よりは少し進んだ見方ではあろう。

    年輪のくだりであんなに割くのはいかがなものかと。

  • 西田哲学と福岡科学の融合試行。しかし、池田さんは年輪に固執しているように感じた。けれどこれは本当にそうなのか、あるいは読解が至らないためかかはわからない

  • 生命とは何か?という人類未踏の難題に、福岡生物学と西田哲学を重ね合わせて、解き明かした一冊。理系と文系のあるべき統合の姿。
    2人の賢人が素直に分からないところは「分からない!」と明言してくれる対話形式のおかげで、難解過ぎる西田哲学のコンセプトに、一歩一歩、挑んでいける名著。

    一点、不満点としては、西田哲学と切っても切り離せない仏教(あるいは東洋思想)が、ほぼ言及されていないこと。

  • p.2021/12/17

  • 福岡氏と一緒に西田哲学を学べる。大半が対談形式なので読みやすく、なんとなくわかった気にはなった。

    ただ、池田氏によって、おそらくわかりやすい例として出された「年輪」の話が、逆にわからない。福岡氏も、これを理解されるまでには随分苦労されて、色々と質問をしてくれているのだが。結局、自分にはピンとこず、置いていかれた気がした。時間即空間、空間即時間というとき、年輪も他のものも変わりなく、それだけが特別扱いされる理由もなさそうだが…。

    また、「生命が時間を作る」という言い方もしっくりこなかった。エントロピーに逆らう生命というものがなければ、エントロピー自体が存在しえない(流れに逆らうものなければ、流れがあるかどうかわからない)。そして、エントロピー=時間と考えれば、結局のところ、生命がなければ時間が成立しないことになる、という理解でいいのだろうか?

    いずれにせよ西田哲学について、もう少し学んでみたい、と思わせる内容ではあった。それにはパワーが必要そうだが…。

  • 『福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅 動的平衡と絶対矛盾的自己同一』紹介動画

    https://www.youtube.com/watch?v=kGXRsnU7jio

  • 福岡伸一の生物と無生物の間をもう多分二年以上前にブックオフで買ってから読んでないまま、先にこの本を読んだことになる。西田幾多郎の善の研究は手には取れど、中身はほぼ読んでいないから、この本で難しい難しいと剃り込まれたので、おそらく読もうという気にはならないだろう。にしても、なんでこの福岡伸一が西田幾多郎と絡むのか、表紙の裏の説明書きを読んですごく興味が湧いて読んでみたが、大正解だったな。
    まぁ、実の所、ピュシスとロゴスという概念も、西田のいうロゴスはピュシスなんだということが分かったり、逆限定という術語も、文中で福岡さんが池田さんに懇切丁寧に説明されて少しずつわかっていく過程が書かれているので、自分もなんとなくわかってはいる様な気にはなったのだが、文中、池田さんがこのように科学と哲学が知の合一を図ることによって、人種問題や環境問題の解決に結びついていくとあってもそれについては具体的なイメージが湧かなかったので、もっとこの二人に具体的に、生命とはなんなのか、突き詰めて行くことが、自分の人生をどう彩のあるものにしていけるのか、そういうことについて、教えてくれる様な本を書いて欲しいと思う。
    哲学とは、自分がじゃあ例えば自分の一生をどう充実させていくのか、考えるための良姿になるのだと思うのだけど、残念ながら、まだその「あいだ」をどう切り開いて行くのかが、よくわからないんだよな。
    ま、いずれにしてもこの本は面白かった。

  • 西田幾多郎の「絶対矛盾的自己同一」「純粋経験」「自覚」「行為的直観」
    西田幾多郎どころか哲学をよく知らない私でも、なんとなくイメージすることができた。
    読みやすい、わかりやすい。
    対談という形になっている部分が多いだけでなく、福岡伸一さんが理系の学者だという点にもあると思う。
    こねくりまわすような文章ではなく、図式がそのまま文章になった感じ。

    前半、福岡さんが「逆限定」において、とことん追求していく過程に引き込まれた。

    哲学自体の見方も変わったと思う。

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著者プロフィール

福岡伸一 (ふくおか・しんいち)
生物学者。1959年東京生まれ。京都大学卒。米国ハーバード大学医学部博士研究員、京都大学助教授などを経て、青山学院大学教授。2013年4月よりロックフェラー大学客員教授としてNYに赴任。サントリー学芸賞を受賞し、ベストセラーとなった『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、『動的平衡』(木楽舎)ほか、「生命とは何か」をわかりやすく解説した著書多数。ほかに『できそこないの男たち』(光文社新書)、『生命と食』(岩波ブックレット)、『フェルメール 光の王国』(木楽舎)、『せいめいのはなし』(新潮社)、『ルリボシカミキリの青 福岡ハカセができるまで』(文藝春秋)、『福岡ハカセの本棚』(メディアファクトリー)、『生命の逆襲』(朝日新聞出版)など。

「2019年 『フェルメール 隠された次元』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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