チ。―地球の運動について― (3) (BIG SPIRITS COMICS)

著者 :
  • 小学館
4.12
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本棚登録 : 1603
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098608782

作品紹介・あらすじ

絶望の淵で、意志を穿つ、覚悟はあるか?

「地動説」に魅せられたグラスの想いを受け継いだオクジーは、一縷の希望を胸に、孤高の天才修道士・バデーニの元を訪れ、石箱を引き継ぐ。そして、オクジーとバデーニが「地動説」証明のための新たな協力者を募ったところ、「女性に学問など」という時代に押し潰され、世界に絶望する少女が一人。
一度見えた希望を失い絶望の淵へと突き落とされた人間は、再び希望を求め、意志を貫き通すことはできるのか? 持てる選択肢は二つ。それでも意志を貫くか、否か。

【編集担当からのおすすめ情報】
「マンガ大賞2021」にもノミネートされた、今間違いなくキている漫画の第3集です!

また、第1集で岩明 均氏、第2集で高橋しん氏に絶賛されました。
第2集に寄せていただいた高橋しんさんからのコメントを全文掲載します。

「星の美しさに気付く唯一で簡単な方法は、ただ素直に目を開いて空を見上げる事でしょう。読むべき斬新な物語や才能がある作家に気付くことも、それに似ています。
美しいものは、必ず光り、そこにあり続ける。
目を瞑ったままでは、星は見えない。
目を開けた者だけが、苦難と、苦痛と、誤解と、嘲笑と、憐れみと、命をも引き替えに、希望と官能を手にする。その人生の美しさもやはり星と同様、そこに輝き続けている。
現代に生きるわたし達が、正義も希望もなく悲しくうす汚れているとしても。
正しく尊く美しいのは―――君がいま目を開き見上げた空に広がる、宇宙と星の秩序だけだとしても。
この物語を読み、
私は、この星の一部であることが
今とても嬉しい。」

感想・レビュー・書評

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  • 第3集から出てきた、ヨレンタという少女の言葉を書き留める。

    「文字は、まるで奇跡ですよ。」
    「アレが使えると、時間と場所を超越できる。」
    「200年前の情報に涙がながれることも、
    1000年前の噂話で笑うこともある。
    そんなの 信じられますか?」
    「私達の人生は どうしようもなく この時代に閉じ込められてる。」「だけど」
    「文字を読む時だけは かつていた偉人達が
    私に向かって口を開いてくれる。 その一瞬
    この時代(セカイ)から抜け出せる。」
    「文字になった思考は この世に残って、
    ずっと未来の誰かを動かすことだってある。」

    「そんなの…」  「まるで、」

    「奇跡じゃないですか。」


    。。。これらの言葉は、尋ねたオクジー、
    読んでいる私の心 に 大きく響いた。ので書き留めておきたくなりました。。。

  • 「私の心は学者です」
    「だから私は、神と真理のためなら退きたくない」
    「才能も発展も人生も、いざってときに退いたら終わりだ」

    「文字は、まるで奇跡ですよ」

    少女ヨレンダは問題文の前で佇む
    世界は真理にも女性にも厳しい時代だ

    〇人生をかけた仮説が崩れた2人
    それでもその研究があったからこそ
    一人だけで辿り着ける場所はないのだなと
    〇自らの才能を恃むバデーニ。先人の研究を踏み台とうそぶき、真理に手を伸ばす
    〇地動説は体感以外に“真ん中”のおごったような説の一面もあると思ってたけど、宇宙の真ん中に磔けられているとか全ての最下層であるという考えは無かった。そこにとらわれた人は怖ろしかっただろうな

  •  読了。
     女性が学問する事が否とされていた時代で、学びたいと強く願うヨレンタ登場。
    真理に少しずつ近付いていくけど、本当に歩みは極小。

     皆命をかけている。
    (210607)

  • pp.173-177
    のくだり全文書き下して共有したい
    ネタバレになるから自重するけど
    素敵やん
    その勢いのままガリレイ『星界の報告』を読むともう
    素敵やん

  • 前巻からのエピソードはこの巻でも終わらず長めのエピソードに。
    才能があるのに女性だからという理由で排除されてしまうヨレンタはもう退場なのだろうか?これだけで終わるのはなんだかもったいないキャラクター。
    生涯をかけてそれが世界の真理と信じて天動説を追求し続けたピャスト伯も良い。

  • 「この世は、最低というには魅力的すぎる。」
    「きっと、それが何かを知るということだ。」
    「文字は、まるで奇跡ですよ。」

    セリフがみんなかっこいい。

    ヨレンタのお父さんの顔が全然でてこないの気になった。
    ヨレンタの生きづらさは大昔のもののはずなのに、何故かわかるとおもってしまった。

  • 研究者にとって自分のライフワークを否定される事実を突きつけられることは自分の人生を否定されるようなものだ。それでも研究の蓄積は確かに意味を持ち、後進に受け継がれ真理の探究の礎となる。真理に辿り着く道にいなかった悔しさは消えないにせよ。
    ラスト近くの描写がそれを克明に物語っている。

  • 今回も面白かった。タイトルのチ。って恐らく地球の地でもあるけれど、知識の知も含まれるのかなぁと思う。

    実は1巻が面白くて2巻を読む勇気がなかったのだが、書店で3巻が出ていたので本日2.3巻を続けて読みました。

    受け継がれる知識のバトン。
    これまで積み上げてきたものが根本から違っていたと受け入れることの難しさ。渡されるバトンの手が多ければ多いほど歴史がある。その歴史の根本が間違えていたと認めるのにはあまりにも時間がかかり過ぎている。

    単なる数字上の学問と捉えたら、解答間違え、で終わる話だけど、そこに人の人生が加わると、「正しいと思って人生を捧げていた自分たちは何だったのか」となるわけで。

    3巻は、「真理を追求する者たち」と、「これまで信じていた真理が真理ではなかったのではないか。いやそんなはずではないと己に言い聞かせる者たち」の話でした。続きが気になります。

  • 文書を手に入れ、地動説へとまた一歩近づいた聖職者と青年。さらに精度を高めるため、協力者をもとめて、天文の問題を街の各所に張り出し。それに応じたヨレンタ。同じ試験に受かったのに、女性であるという理由で研究にたずさわれず、雑用ばかりを押し付けられていたが、その発想力、演算力は群を抜いており。その師のピャレス泊ー天動説を超える完璧な天動説を志していたーを聖職者と青年に紹介し、彼の50年の研究、2000年の積み重ねをくつがえす、真理の予感を兆しつつ、自分ではそこには届かぬと、苦渋に満ちながらも資料を聖職者にわたし。真理の重さ。そして白眉は、青年に「文字が読めるってどんな感じなんですか?」と問われたヨレンタの「文字はまるで奇跡ですよ」という回答。どうしようもなくこの時代に閉じ込められているわたしたちが、文字を読むときだけは、かつての偉人たちがわたしにむかって口をひらいてくれる、その一瞬この世界から抜け出せる、文字になった思考はこの世に残って、ずっと未来の誰かを動かすことだってあるから、と。

  • バデーニとオグジーはより多くの記録を手に入れるために、天文学の問題の張り紙を出す。その問いに回答してきたのは天文研究所の助手をしている少女ヨレンタだった。彼女は天文学についてのたぐいまれなる才能を持っているが、女であるがゆえにその功績は先輩コルベに奪われていたのである。

    協力しはじめる3人に次ぎの一歩を提供したのは、天動説を強力に主張する天文学研究所の主催者ピャスト伯だった。高齢で視力を失いつつあった彼は満ちた金星という地動説ではどうしても説明できないものを観察するようにバデーニたちに求めるのだった。

    オグジーが満ちた金星を観察したと報告すると、ピャスト伯は観察記録の詰まった図書室のカギをバデーニに渡してこと切れる。

    話は面白いんだけれど、もうちょっと絵が綺麗だったらな。あと、人々の思考の流れの中に、今の若者の発想的な発言がちょいちょい入っているところが、純粋な歴史物語と違って、そこは私は違和感しかないけれど、この作品の読者層には訴求するのかもしれない。

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