藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 4 (ビッグコミックススペシャル)
- 小学館 (2023年7月28日発売)
- Amazon.co.jp ・マンガ (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098618453
作品紹介・あらすじ
SF短編、全作品収録の決定版が登場! 2023年、TVドラマ化を機に、藤子・F・不二雄のSF短編シリーズ全111作品+αを単行本全10巻に再編集し、装いも新たに刊行! 「SF・異色短編」シリーズ6冊(第1~6巻)と「少年SF短編」シリーズ4冊(第7~10巻)に分け、それぞれ概ね発表順に収録します。第4巻の収録作品は以下の通りです。<第4巻収録作品(SF・異色短編)>・「あのバカは荒野をめざす」・「並平家の一日」・「ぼくの悪行」 ・「パラレル同窓会」・「あいつのタイムマシン」・「メフィスト惨歌」・「神さまごっこ」・「いけにえ」・「超兵器ガ壱號」・「クレオパトラだぞ」・「テレパ椎」・「旅人還る」*過去に刊行された、既存の『藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版』全8巻とは作品の収録順と巻立てが異なります。 【編集担当からのおすすめ情報】 「このシリーズを読めば、SF短編全作品が読める!」というコンセプトで、装いも新たに編集しました。一般的なの青年系コミックスと同じB6判、ボリュームは各巻約300P前後と、読みやすくも読みごたえがある構成を心掛けています。今回、全作品を「SF・異色短編」シリーズと「少年SF短編」シリーズとに分け、概ね発表順に収録。また、第7巻以外の巻末には藤子・F・不二雄先生のエッセイを巻末に収録することで、先生の発想の変遷や、執筆のきっかけやねらいにも迫れるような構成を目指しています。テレビドラマを機に原作に興味を持った方、また以前から「SF短編」に興味があり、いずれ全作品を読みたいと思っていた方に、ぜひ手に取っていただきたいシリーズです。装幀:佐々木暁
感想・レビュー・書評
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SF短編コンプリート・ワークスにハマってしまいました。ハッピーエンドで終わる話もあれば、バッドエンドで終わる話もあり、そして、心にモヤモヤを残し考えさせられる話もあります。子どもが読むには難しいですね。
1番気に入った話は、「メフィストの惨歌」。冴えないサラリーマンが、悪魔と3000万円で魂を渡すという契約をする。魂を渡すのは、細胞の最後の一個の死亡が確認された時。主人公は3000万円を手に入れ、悪魔も魂を貰える契約ができ、一見両者が得したようにみえるが・・。最後のオチが気持ちがよかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ほんとうに素晴らしい作品たちだなぁ…って感想しか出てこない
読んだ事ない作品もあって嬉しかった!
短編なのにこれだけのものが詰め込めて、読者をアッと言わせる、唸らせる、考えさせる…
表題の『パラレル同窓会』はもちろん好きなんだけど、ラストでスパッと切り替わる「あいつのタイムマシン」は地味に好き
これこれ〜F先生の独特さ〜ってニヤけてしまう
「あのバカは荒野をめざす」も好きだな〜私ももし今の自分が落ちぶれていて、不幸だとして、それを正そうと過去に戻ったとしても、過去の自分はガンとして意見を変えないと思う いつだって自分は自分で、自分は自分を変えられる 何歳になったって -
あのバカは荒野をめざす
パラレル同窓会
あいつのタイムマシン
メフィスト惨歌
いけにえ
クレオパトラだぞ
テレパ椎
が読んでいて面白かったです。
特に、『あのバカは荒野をめざす』の話が印象に残りました。
昔の自分を見て「俺も昔はあんなに熱かったのか~」と感心し、今の自分を変えようと明日へ向かっていく後姿が好きです。 -
『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス』4巻。
「ぼくの悪行」「パラレル同窓会」「あいつのタイムマシン」と、本当はこうでなかった自分、こうなりたかった自分という、誰もが持ってしまう現実と理想の隙間。それを憧れや諦めで無理やり埋めて生活しているのですが、大なり小なり。理想だと思う自分に入れ替われるとしたら、どうする?どうなる?と問いかけてくるのは、子供よりも大人に刺さるのではないでしょうか。夢や希望を押しつぶす現実。それでも向き合い生きてゆかなきゃ、という暗さを抱えた希望を提示させられているような気がします。ひとかけらの染みがついてしまったキャンバスに、人生を描くのですよ、という感じかな。
なんかだいぶ黒いなFさん。
違う自分になれたとしても、現実からは逃げられない「超兵器ガ壱號」が一番黒い気がする。ガ壱號のモノローグがないので、彼がなにを思って軍務を全うしているかが不思議なのだけど、ラストで暴露される真実はちょっとなぁ。かわいそうでもあり、気持ち悪くもあり、共感もできるし、憐れむ気持ちもある。あれを陰キャのイキリと断じてしまうのは、しんどいです。
ラストが綺麗な「旅人還る」ですが、道中の絶望感から抜け出せなくてこわい。なまじ話あいてがいるからこそ、実は孤独であるという気づきのせいで怖くなってゆく。
思念体として永遠を生きた「火の鳥」猿田博士や、守護者として存在し続ける「DSJ」タダノヒトナリへの思いと似ている。ラストがあるから救われてはいるけども。