世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(下)新装版 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001586

作品紹介・あらすじ

の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会したは、回路の秘密を聞いて愕然とする。私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。残された時間はわずか。の行く先は永遠の生か、それとも死か?そして又、"世界の終り"の街からは脱出できるのか?同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか?

感想・レビュー・書評

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  • なんとなく想像していたラストがあったが、いい意味で裏切られた。
    読み進めるほど、独特の世界観に惹き込まれる。
    スピード感がありテンポよく読みやすかった。

  • 「意味もないし、どこにも辿りつかない。誰も必要としないし、どこかに辿りつきたいとも思わない。目的のない行為、進歩のない努力、どこにも辿りつかない歩行、素晴らしいとは思わんかね。誰も傷つかないし、誰も傷つけない。誰も追い越さないし、誰にも追い抜かれない。勝利もなく、敗北もない。」この部分が読めただけで、この本を買ってよかったと思った。救われた気がした。

  • 世界観がすごくて村上ワールドで、全く別の時間軸のストーリーが交互に出てきて、そこを理解するまで時間がかかった。ハードボイルドワンダーランドも世界の終わりも非日常的な世界なので、日常を忘れて気分を変えるにはぴったりの作品です。

  • 終盤、私が徐々に世界の終わりに溶けていく描写が恐ろしくもありある種の清々しさを孕んでいたと感じた。僕と影が「南のたまり」のジャンクションで、袂を分けたことは意外な部分だったが、読んでから時間が経つにつれて、村上先生の仰る通りこれ以外のフィナーレは想像が難しいと感じるようになった。

    個人的には「羊をめぐる冒険」があまりにも秀逸であったため、上回るまでは行かなかったが、神秘的で美しい傑作であると感じた。

  • 再読。

    ここまで美しさを感じる著作に触れたことはない、そう思わせる程秀逸な作品。二層構造が重なり合う文学、アニメ、映画は様々あるが、これが一番良い。

    まごう事なき神作品。

  • ◯生
    第一回路=ハードボイルド・ワンダーランドの私
    第二回路=影
    第三回論=世界の終わりの僕

    ◯死

    第一回路の私は失われ、第三回路に融合した?


    『ねじまき鳥クロニクル』の井戸(=id)しかり、『ノルウェイの森』の直子しかり、分裂症的世界観よく描かれる
    人生は深い悲しみに満ちていて、別れや人の死を受け入れる為に、別の自分を創り出し、固い感情の殻にこもることを、この時の村上春樹は肯定していたのだと思う。(=デタッチメント)
    そしてそれが救いになる読者がいる
    一方で、『街とその不確かな壁』では、影を逃した後の僕も、壁の外へ出る

    『ねじまき鳥クロニクル』以降は、外の世界と向き合うことが描かれてきたが、『世界の終わり〜』と『街と〜』の2作品が存在することによって、どちらの向き合い方も肯定されたように思う。


  • 例えば他の小説だったら、”やみくろ”の意味することとか、やみくろの本当の意味とか、何の比喩なのかとか考えてしまうんだろうけど、村上春樹の小説だと”やみくろ”を”やみくろ”として認識してしまう自分がいる。やっぱりそれって村上春樹の文章がそうさせてるんだろうか。これが俗に言う村上ワールドなのか…?(沼に足を踏み入れてしまったかも)

  • 「世界の終り」と「ハードボイルド・ワンダーランド」、ふたつの物語の世界がどのように繋がっているのか、ということを気にしながら読むとすごく楽しい。本編自体は「ハードボイルド・ワンダーランド」から始まっているのに、タイトルは「世界の終り」からなんだなあ…などという、一見どうでもよさそうなことを考えながら読むと、もっと楽しい。

  • 《目次 下》
    22 世界の終り(灰色の煙)
    23 ハードボイルド・ワンダーランド(穴、蛭、塔)
    24 世界の終り(影の広場)
    25 ハードボイルド・ワンダーランド(食事、象工場、罠)
    26 世界の終り(発電所)
    27 ハードボイルド・ワンダーランド(百科事典棒、不死、ペーパークリップ)
    28 世界の終り(楽器)
    29 ハードボイルド・ワンダーランド(湖水、近藤正臣、パンティー・ストッキン)
    30 世界の終り(穴)
    31 ハードボイルド・ワンダーランド(改札、ポリス、合成洗剤)
    32 世界の終り(死にゆく影)
    33 ハードボイルド・ワンダーランド(雨の日の洗濯、レンタ・カー、ボブ・ディラン)
    34 世界の終り(頭骨)
    35 ハードボイルド・ワンダーランド(爪切り、バター・ソース、鉄の花瓶)
    36 世界の終り(手風琴)
    37 ハードボイルド・ワンダーランド(光、内省、清潔)
    38 世界の終り(脱出)
    39 ハードボイルド・ワンダーランド(ポップコーン、ロード・ジム、消滅)
    40 世界の終り(鳥)

  • なんでこんなに面白いんだい。
    彼女の脱ぎ捨てられた衣服は、彼女自身よりも彼女だった、みたいなところすごく好き。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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