斜陽 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.77
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  • (2006)
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本棚登録 : 13035
感想 : 1310
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101006024

感想・レビュー・書評

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  • 直治とかず子のそれぞれの葛藤が表現され、その文章だけでありありと情景や心情を理解出来るのは、紛れもなく著者 太宰治の技量の凄さなのだろうと思った。
    暗い雰囲気の題材の作品ではあったが、序盤は娘と本物の貴族であった母のやり取りの会話など、興味深かった。
    息子、直治の突然の自殺という展開には驚かされた。直治の遺書はなかなか心に響くものだった。「人はなぜ生きないといけないのか?」という遺書は深いテーマだった。

  • この作品は滅亡、悲愴、破滅など暗い印象の言葉が多く表現されるそれが美しく散るようなイメージの物語。あまり本を読まない人には読むのは大変かもしれないそれでも一度は読んでほしいと思う。没落貴族だけど誰もが親近感がわくと思います。この作品は人に勧めたくなる作品です

  • 凄く面白かったが人間失格ほどではなかった。
    2人そろって同じ夫婦に恋をした兄弟の物語。
    弟の恋は成就せずに自殺。姉はその人との子を身ごもり成就。弟の最後の遺書が凄くよかった。

    P136
    人間は恋と革命のために生まれてきたのだ。

  • 最高だった。何もかもが100点満点。

  • 面白かった。毎夜、寝る前に各章ずつ読んでいった。本物の貴族だった母、その描写が言葉だけで伝わってきた。直治やかずこ子のそれぞれの葛藤。個人的な見解だが、太宰治は人を描写するのが上手いのではないかなと思った。自身の独白に読者を巻き込んでしまうことがよくある。

  • 「夏の花が好きなひとは、夏に死ぬっていうけれども、本当かしら」

    「お金が無くなるということは、なんというおそろしい、みじめな、救いの無い地獄だろう」
    「貧乏って、どんな事?お金って、なんの事?私には、わからないわ。愛情を、お母さまの愛情を、それだけを私は信じて生きて来たのです」

    その虹は螢の光みたいな、またはお星さまの光みたいな、そんなお上品な美しいものではないのです。そんな淡い遠い思いだったら、私はこんなに苦しまず、次第にあなたを忘れて行く事が出来たでしょう。私の胸の虹は、炎の橋です。胸が焼きこげるほどの思いなのです。
    もう一度お逢いして、その時、いやならハッキリ言って下さい。私のこの胸の炎は、あなたが点火したのですから、あなたが消して行って下さい。私ひとりの力では、とても消す事が出来ないのです。

  • やっと読み終えることができました

  • 貴族である母に向けられた主人公の強すぎる愛は、今の時代からすると異様にもうつるがその描写は柔らかで美しい。

  • 前半は母親のいる生活が淡々と進んで行きます。違和感のある敬語に辟易して飽きてしまいそうだったけれど母の死をきっかけに物語は動いて引き込まれる。母親に道徳観に貴族に囚われていたけれど、直治もかず子も堰を切ったように不良になり革命する。

    屈折した感情がどの人物にもあって、ルサンチマンに抗う心情の描写というか、これが太宰治の文学なのだろうなぁと感じました。

    直治の遺言の「もういちど、さようなら。姉さん。僕は、貴族です。」が印象的でした。

  • 戦後の不安定な情勢。社会へ抱えた不信が革命の機運を高める中、没落貴族が市民生活へと放り出され、人間らしさを取り戻しつつも苦しみながら生きていく。自身の弱さに悩み苦しみ、酒や麻薬に溺れるも、人間には生きる権利も死ぬ権利もある。と命を絶つ直治。対照的に、みじめで生れて来ないほうがよかった。と反出生主義的な発言をするも、社会に抑圧に対抗し、恋と革命に生きると新しい人生に身を投じたかず子。退廃的な暗闇に鈍い光を見る事ができた。太宰の境遇と合致する部分が多く、巻末の解説が分かりやすい。

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著者プロフィール

1909年〈明治42年〉6月19日-1948年〈昭和23年〉6月13日)は、日本の小説家。本名は津島 修治。1930年東京大学仏文科に入学、中退。
自殺未遂や薬物中毒を繰り返しながらも、戦前から戦後にかけて作品を次々に発表した。主な作品に「走れメロス」「お伽草子」「人間失格」がある。没落した華族の女性を主人公にした「斜陽」はベストセラーとなる。典型的な自己破滅型の私小説作家であった。1948年6月13日に愛人であった山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

「2022年 『太宰治大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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