- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101006512
感想・レビュー・書評
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すごい切ない恋愛小説。主人公を全部受け入れちゃう沙希は本当に神。2人がふざけ合うシーンにホッとした。演劇やってる人ってどこか世間と離れてるイメージ。『火花』もそうだが、又吉氏はぐちゃぐちゃになってる心理をカッコ悪いところ含めて、むしろ自分でも認めたくないくらいのカッコ悪いところを丁寧に描写するなと思う。
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主人公のメンタル負のループ感、きっと経験してるんだろうなと思うと少し救われる気持ちになりました。偏屈なので火花より読みにくいけど最終的には愛おしさが残る人物でした。
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とても苦しくて一気に読むことができず、数ページ読んではやめてを繰り返しながら読みました。
主人公は世間一般的には完全にクズなんだけど、演劇界においてこういう人間は日常的にいて、変に美しい話にしないことでリアルを感じました。
誰かに認めてほしくて堪らないのに自ら寄り添うことをせず、自分の存在や才能に周りから近付いてくるのを待つ主人公にイライラしつつも強い共感を覚える自分に驚きました。
彼らの未来が明るいことを、こんな時代もあったねと笑い飛ばせる日が来ることを真剣に願います。 -
ここで終わるんだ、というラストシーンがとてもよかった。この後の2人をずっと想像してしまう。
2人の戯れてるところや意味のない会話がとてもよかった。
お互い好きなのに大人になるにつれ噛み合わなくなっていくのが切なく痛い。
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汚れたコンバースのスニーカー、又吉はこれ好きやなと思った。同時に火花の映画も見たからハッてなった。
んーなんで沙希が永田さんを好きになったのか全然わからない。永田が怒りや嫉妬を表現するために人を罵倒してる時に言ってることも理解できない。そんな私は一般人なんやろうな。懸命に笑かそうとしてくれる所がいいのかな?
最後、それぞれが明るい未来になりそうでなにより。 -
その気持ちを言葉に出せば関係は幾分でも良くなるのに、と思う独白のシーンがとても多い。でも、主人公は決して言葉に出さない。
ああ、この後どうなるんだと思うシーンもとても多い。でも、どうにもならないままあっさりと次の場面に移ってしまう。
そんな消化不良を何度も何度も積み重ねて読み進めていくことは、物語と一緒に10年弱を過ごすように長く感じた。
そして、そこからのラストの台詞。
その後ふたりがどう進むかは分からないけど、ようやく伝わった、繋がった、というほんの少しの爽快感。
それで全てが報われたような気持ちになった。 -
映画を見た感想
永田がやること全部酷い。だが、本当は沙希ちゃんのことがなによりも好きなんだと節々でわかる。
途中で「27歳だよ?」と沙希ちゃんは言っていたが、高校を卒業して上京してすぐに付き合ってるってことは、10年くらい一緒にいて、それでも最後の最後まで”沙希ちゃん、沙希ちゃん”って呼ぶのが良かった。大事なんだなって。
普通の人は何年かしたら倦怠期とかあって、相手のこと空気みたいになって、感情が沸かなくなる。それが人間だと思うけど、10年も一緒にいて、それで沙希ちゃんにカットモデル頼んだ人に殴り込みに行くぐらい腹を立ててくれる永田って、実は誰よりも愛情あるんだろうなと思う。その後沙希ちゃんが彼氏を作って結婚したとしても、その人は10年経ったらそこまでの愛は無いと思う。沙希ちゃんはその時永田のことを思い出すよね。思い出して好きだったな〜って。でも沙希ちゃんは結婚してる人をほっといてまで永田のためには走らないと思う。ただただ思い出の中の永田を褒めて、愛でると思う。でもなんとなく後悔はしなさそう。そこが、永田に振り回されて辛い思いばっかりしてきた(本人はそうは思ってない)沙希ちゃんが報われる部分じゃなかろうか。
途中で沙希ちゃんが、「私、自分のこと褒められたことないんだよ?」って言ってたけど、そのあと永田はどんな反応したっけ?覚えてない、、シーン変わったっけ。
でも永田って、しまった!と思ったらそこで行動できるのはいいと思った。(桜見に行くシーン) プライド高い永田が沙希ちゃんが働く居酒屋に沙希ちゃんを探しに行って、そこにいるみんなから「あいつが沙希ちゃんのクソひも野郎かみたいな目で見られても、ちゃんと沙希ちゃんを店長から引き戻して。
ヘタレだったらあそこでしょげて家に帰って酒飲みそう。でもあそこでわざわざ家の前行って。いい感じになってるぽい店長の家に1人で行ってもしかしたらかもしれないのに、そこで自転車のベル鳴らして。
でもそのあと何にも言わないんだよね。今まではほかの男と出かけることや、ほかの演劇の人を褒めるようなこと言うと激怒してたのに。もうなにかを悟ったのかな。
ほんとに自分が悪いと思ったのかな。でもなんかちがう気する。⇦本読んで考えよう
最初の、やましい事があるとブロックを持って帰ってたのがやけに印象に残った。
あれはなんなんだろう。自分でブロックを見て戒めるため?単に悪いことをして沙希ちゃんをその分楽しませなきゃいけないから?、いやでもそれなら普通においしいもの買って帰ればいい。美味しいもの買ったら怪しまれるから?でも沙希ちゃんは気付いても、追及してこないよね。いやちがうな、永田は普通のことはしたくないのかな。悪いことをしたけど、自分の戒めにもなるし、普通じゃなく沙希ちゃんが笑ってくれる方法を道端でブロックを見つけた時に思ったのかも知れない。
演劇して酒に溺れたとき沙希ちゃんの顔が見たくなって、沙希ちゃんちに行く場面、手繋ぐシーン可愛かったな。手繋ぐの恥ずかしいってどんだけなんだ。さすがに体の関係ないわけないのに。もしかしたら自分から愛情表現全般したことないのかもしれない。
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久々の恋愛小説であったが、コテコテの恋愛小説と言うよりは、ダークな部分が多い恋愛小説だった
主人公のプライドの高さに反比例して実力が伴っていない感じが見ててイライラしてしまった(笑)
こう言う人って居るよなぁ、と言う感想
あと、こう言うダメな人ってモテるよなぁとも思った
起承転結があまり無いので、ダラダラ読みたい時に良いなと思った
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読後の第一印象。又吉直樹さんの優しさが仄かに丸くあたたかい、そんな小説だなと感じました。
最後、明るい未来を語る永くんの姿に裏切られた。ありきたりだけど、君がそれをするのが自然に見えるなんて、と思わされた。「人生」はいつだって、それぞれが描いた夢の脚本であるのかもしれないと思ったと同時に、永田自身はそんな綺麗なものじゃないと思っているからこそ夢を綴りながら幕を引いたようにも見えて。うわ、感想むず。
「人生」は陽だまりのような夢に生かされるけれど、いつだって渇いていて切ないのかなと感じた。
夢は綺麗じゃない。血反吐のような汚物でもある。
救われたくて、灰色に暗くて大きい空に、奇をてらったように、でも結局周りと同じように手を伸ばす。汚れた地べたが悪くないと下を向いて気付いたのは自分だけだと、たった独り反駁したい気持ちも、燻ってなおそこにいる。
燻る自分こそが「人間」の面白さなのだなと、醜い恥ずかしいものに息を吹き込んであげている気がして、ちょっぴり爽快でした。