ゴッホの手紙 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101007137

感想・レビュー・書評

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  • 小林秀雄に圧倒される。単に心の底から一枚の絵に魅了されたというだけでは、これは書けない。どこからこんなエネルギーが湧き出てくるのか。エネルギーという考え方が間違っているのかもしれない、そんな思案が初めて頭によぎった。少なくとも、エネルギーは高いところから低いところに落ちるというエネルギー(エントロピー)の法則だけでは、なぜ他ではないのか、絵画であり音楽であり、芸術であり批評なのかというところが説明できない。それが個性なのか。個性という言葉で取り敢えず表しておくしかないのか。
    ところでまだエネルギーの連想で考えてしまうが、個性または精神は、ひょっとしてエネルギーの法則に逆らうものなのか、と思えて恐ろしい。逆らうまでいかなくとも、エネルギーの消費ではなく、化石燃料の精錬のような形態を彷彿させる。どうしたらそんなことが可能なのだろう。

  • 読んでは挫折を何度も繰り返し…
    古い本なので仕方ないのかな
    圀府寺司さんのファン・ゴッホのほうが私には合うみたいです。

  • ゴッホファンとして読んだもの。作者のゴッホの作品への思いをひしひしと感じる、ゴッホファンとしては必読の書だった。

    作品を観て心打たれるような感動がなければ、美術をただ眺めて知ったようなことを言うのは無駄、というのも美術ファンとして同感だし、「ゴッホが思いどおりの黄色を出せないいまいましさに比べたら、ゴッホの本物を観ることができないいまいましさなんて取るに足りない」という言葉は、はっとしたし、このご時世なかなか思いどおり美術館に行けない不満にも効く。

    ゴッホの絵が唯一無二なのは、例え何気ない風景を描いたものでも、彼の個性である唯一無二な精神性の表現そのものだから。そんなことを嫌になるほど感じた。そんな作品を生み出した人間ゴッホに正面から向き合い、その人間性の奥の奥まで理解し、明らかにしようとする情熱がほとばしっていて、この著作に心打たれずにいられななかった。

  • 大学受験の時に読んだというより読まされた小林秀雄はちんぷんかんぷんだったが、時を経て、少しは読めるようになってきたのかもしれない。でもまあ、この「直覚」を磨くのは並大抵ではないんじゃないかな。
    でも全集、読んでみたいと思う。

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著者プロフィール

小林秀雄
一九〇二(明治三五)年、東京生まれ。文芸評論家。東京帝国大学仏文科卒業。二九(昭和四)年、雑誌『改造』の懸賞評論に「様々なる意匠」が二席入選し、批評活動に入る。第二次大戦中は古典に関する随想を執筆。七七年、大作『本居宣長』(日本文学大賞)を刊行。その他の著書に『無常といふ事』『モオツァルト』『ゴッホの手紙』『近代絵画』(野間文芸賞)など。六七年、文化勲章受章。八三(昭和五八)年、死去。

「2022年 『戦争について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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