- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101010090
作品紹介・あらすじ
智に働けば角がたつ、情に棹させば流される-春の山路を登りつめた青年画家は、やがてとある温泉場で才気あふれる女、那美と出会う。俗塵を離れた山奥の桃源郷を舞台に、絢爛豊富な語彙と多彩な文章を駆使して絵画的感覚美の世界を描き、自然主義や西欧文学の現実主義への批判を込めて、その対極に位置する東洋趣味を高唱。『吾輩は猫である』『坊っちゃん』とならぶ初期の代表作。
感想・レビュー・書評
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漱石先生的芸術論。難解。
自分の頭では恥ずかしながら三割も理解できないのが悔しい。
那美さんとの会話が知己に富み色っぽく、それだけでも読んで良かったなと。
後半の芸術とはの箇所はかなり情熱的で、若き漱石先生が俗世を削ぎ落とした先の「根本」みたいな物を掴んで引きずり出そうとするのが垣間見える・・・ううん、まだ咀嚼しきれてないし、感想を述べるのもおこがましい気がする。
「憐れ」が加わり画となる、か。
人生の修行をもう少し積んでから読み直したい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ムズい。
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20年余も積読だったようだ。
そもそも、夏目漱石の作品はあまり読んでこなかったのだけど、やはり読むべきかなと思ってしまった。
内容としては、小説とその登場人物の語りを借りた当時の芸術や社会に対する反論であると読み取った。
それ以上に感じたのは、作品を埋め尽くすかのようなレトリックの量と質だ。
冒頭文はあまりに有名だけれど、本文中のレトリックはそれをも凌駕する。
明治の文であり、また漱石の博学ゆえに難解な語もあるが、脚註に道草せずにその韻や語調を楽しみたい。 -
人の世に疲れた主人公の非人情の旅ということで、あまり接点はないが、彼女に振られた悲しみを別の形に変えるべく70キロ自転車を漕いで大阪から滋賀まで行った当時の一人旅を思い出したりした。
正直かなり難しかった…
那美さんとの会話は自分も心地良くて、楽しかった。
読むにあたって文体そのものにも苦労したけど、1番は自分の頭の中に当時の様な情景を補完できる元のイメージがなさ過ぎる所。
頭で情景を組み立てながら読んでいるから、当時の日本の資料や写真だったりでイメージを作ってから読むのがいいかもしれない。 -
注釈だけで20ページ以上あるし言葉とか解釈が難しくて読むのが大変だった。でも全体的には面白かった。作中の「非人情の旅」って、今で言う「自分探しの旅」のようなものだと思うけど、100年以上前でも、やってる人いたんだという驚きと、それを物語にしたのも、全然昔っぽくないというか、なんか良いなと感じた。
仕事や人間関係などの人の世に嫌気がさして、山里に逃避した主人公の気持ち凄く分かるなーと思いながら読んでた。時代は違えど、人が生きる上での悩みや苦痛、葛藤や生きづらさなどの根本は変わらないのかもしれない。そう思うと昔の人たちも同じことで悩んでたんだな〜自分だけが抱えていた悩みではないんだなーと元気がもらえる。
特に現代はSNSの普及で人付き合いが密接になったり、見ず知らずの人から誹謗中傷されたり、いいねの数を気にしたり、幸せそうな他人と自分を比較したりと、昔より色々と便利にもなったけど、常に人から見られているようで、何かと生きにくい。
そういう他人と競っても自己満足にしかならないのに、無駄に見栄を張って対抗するから疲れてしまう。だから、人間関係とか全てリセットして、東南アジアに一人旅したり、主人公のように知り合いなんかいるはずのない田舎に逗留したりしたいなーと最近思ってる。
主人公のように芸術の才能は無いのかもしれないけど、モンゴルの遊牧民のように世界を転々としながら、その土地の自然やカルチャーや人々に触れて、感じたことを自由に文章にしたり、心の赴くままに生きたい、というのが自分の夢だな。
少し逸れたけど、物語に関しては、画家の主人公の思考(作品への苦悩や芸術の概念、芸術家の在るべき姿の追求など)がとても多くて、面白かった。こんなに一人で孤独に悩んで、思索して、創作するのがアーティストなんだなと思った。
那美さんのキャラも結構好きだったな。本性が掴めなくてフワフワしてる不思議ちゃんのような感じ。「久一さん。御前も死ぬがいい。生きて帰っちゃ外聞が悪い」
「動詞なんぞ入るものですか、それで沢山です」 那美さんの独特な言い回しというか強気な発言も面白かった。 -
ほんっっっっっとうに読むのが大変だった!!!!!
この本を最後まで読めたことが、自信になった(笑)
読み終えて、最初の感想は「はぁぁ!??」でした。
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人生初となる夏目漱石本、チャレンジしてみました。
読み始めてしばらくは、生きている時代の違いに加えて、文豪の操る空気感に圧倒されたというか、どう受け取っていいかわからない雰囲気だったんですが、これは通常の『話を楽しむ』という目線で見るのでなく、そもそもスタート地点から描かれているものの趣旨を理解することがとても大事だな、と、読み終わって一層感じてます。
最初に『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。』と、有名な語り出しから始まるところは、究極な話、この核心的なところで、この主人公は自分の画業(または創作のヒント)のために気分転換をしに出かけた逗留先で、徹底的に第三者にこだわった立ち位置で、『スノッブにならず、誰とも程度をこえて干渉せず、かといって自分の創作にも必要以上に固執せず』というスタンスを一貫していて、まさにこれが冒頭の文言に当てはまってるんだと思いました。
主人公は、行く先々や、関わる人たちとのふれあいから、情景を読み取るために観察力をはたらかせることに最大限の力を発揮していて、そのほとんどは自分の思い通り頭にインプットされてはいたものの、とある女性の形容しがたい表情を見たことで、謎に対する自分なりの答えが導きだされるまで、いろんな角度から、ごく自然に、ときに不自然に、対象物を捉えていくシーンが描かれます。
特に愛着もなければ義務があるでもないにせよ、そういう自分の疑問に対して素直に真剣に取り組むことこそ、住みにくい世から煩いを抜いてありがたいものを作る、画業に就くものの役割だ、と、いうのが主人公のポリシーのようで、全体をとおしてのメッセージだったのかなと。自分はそんなふうに感じました。
人と出会って打ち解けて、ドラマがあって、ハッピーエンド・・・的なコテコテの話からは極限のねじれ位置にあるような、一種、不思議な読書体験でした。
漱石先生のほかの作品も是非とも読んでみたいと思います。
ここからは余談ですが、ミレーのお話が載っている、山本有三の心に太陽を持て、を読んだあとなんの意図もなくここにもミレーの話題が・・・ってとこに個人的に戦慄をおぼえました(笑)
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痔瘻の話が、昔の認識である。うつうつとしていた記憶がある。痔瘻はこんなものではなく、ものすごく痛かった。かなり前の話。読んだな。
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冒頭を覚えたくて読みました。
最後まで見ましたが読めませんでした。といったのが正直なところ。
知識不足で会話がある部分しか理解が追いつかなかったので解説やあらすじ(Wikipedia)を見ながら一応こういう話だったのねって感じで終了