たとえる技術 (新潮文庫 せ 18-1)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101015712

作品紹介・あらすじ

この本は◯◯のような本である。たとえると一瞬にして世界が変わる。感情を際立たせ、想像力を掻き立て、平凡な言葉に鮮やかな彩りを与えることができる。上手な「たとえ」は効用絶大。視点のずらし方、使いこなしたい様々な「感情」のたとえ方 etc……。少し笑えて意外と学べて、どこから読んでも面白い。読み終わる頃にはきっと何かをたとえたくて仕方がなくなります。解説・高橋源一郎。

感想・レビュー・書評

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  • 山積みにされた新刊文庫の片隅に、キラキラ輝くこの本は、まるで新しい世界に自分を誘ってくれているかのようだった。
    …こんな感じで、読んでみた後に、例えたくなる。

    「たとえる技術」というタイトルのちょっとした固さとは裏腹に、のんびりとしていってくださいね、と言わんばかりに、例え方のコツを教えてくれる。

    個人的には、「〜のような」を使わない隠喩の方が、謎解きのようで好きなのだけれど、使ったほうがもちろん伝わりやすい。

    この本の作者と同じく、暇なときに想像力のトレーニングをする自分にとってはぴったりの本だった。

    だから、ここは自分ならこう例える、というように、張り合いたくなる気持ちがつい出てしまいそうになる。

    語彙を増やすことで、ジャストサイズの言葉を当てはめて使うのもいいけど、例えることで滲みでてくる、「らしさ」もいいと思う。

    明日から笑顔で上を向いて歩きたくなるような、ところどころでクスリと笑えて元気の出る、そんな本。

  • 「たとえ」を活用すると一瞬で世界が変わる。
    比喩のなかでも「~のような」という直喩について、どうすれば使いこなせるか実例付きで解説する1冊。


    比喩、中でも直喩について、活用方法や用例、例えることによって出来ることなどを考え、実例付きで突き詰めた本。
    たとえによって情景が鮮やかになる事を、改めて実感します。
    「赤」という言葉だけでも、「燃えるような赤」「カープファンで埋め尽くされた球場の赤」「返ってきた答案の赤」全部が違う。
    この本のように様々なたとえが羅列されていると、雰囲気の違いがよく分かる。面白い体験でした。
    読み終わったら、きっと何かたとえてみたくなるはず。

    何となくお堅そうなタイトルに反し、一風変わったたとえがたくさん載っており、語り口も軽妙でさらさら読めます。時折差し込まれる作者さんのエピソードも面白い。
    ですが、おもしろいだけではなくて意外と参考になる要素もあり、特に作文書いたりする機会が多い人、突然大喜利しなくてはいけなくなった人、急にIPPONグランプリに出ることになった人(?)なんかには、視点を変える方法がわかりやすく載っているので良いのではないかなと思います。

    折角だから、私もいくつか例えてみようかな。得意分野から作るのが手軽と作中にあったので、読書以外の趣味である編み物からいくつかたとえを作ってみます。
    ・大作の編み図のように細かい。
    ・完成した後で発見した編み間違いのような悔しさ。
    ・どんどん増えていく毛糸の罪庫のように後ろめたい。
    ……なんてどうかな。

    そういえば、毛糸とたとえで1つ編み物用語を思い出したのでついでにご紹介します。「製麺」っていう言葉なんですけど。
    編んだものを解くことを、編み物好きの人の間で俗に製麺と言います。解いた毛糸がまるで「縮れ麺のようにちりちりになっている」のをたとえた言葉。
    世の中、色々なたとえがあって面白いですよね。

  • ラジオで聴いたせきしろさんの話が面白いと思ってたところ本を見つけ購入。真面目そうな本文と思わず笑ってしまうたとえとのバランスが楽しかった。

  • 「この本は、小学校の時の夏休みのようだ」

    解説もとい取説を担当した高橋源一郎の言葉だ。
    高橋源一郎と一体どういう関係が?と思わなくもなかったけれど、確かに小学校の時の夏休みのような一冊には違いなかった。

    『たとえる技術』というタイトル通り、一言でアッサリ終わらせてしまわず、何かに例えることで、伝わりやすくなるよ!
    という、技術と具体例が沢山載っている。

    プレバトの夏井先生が、俳句を添削するコーナーが好きなのだけど、この間「鑑賞ではなく、どうすれば良い句が作れるのか、という技術を私たちは知りたがっている」というような文を読み、なるほどなぁと思わされたのだった。

    この本を読んでいると、そんな短詩系文学に通じるものがある。なーんて言うと、香り高く感じてしまうのだけど、ブハッと音を立てて笑ってしまうくらいに面白い。

    「クララが立ち上がった時のように盛り上がってますかー?

    走り回るペーターのような盛り上がり。」

    なぜか、好きだ。
    なぜか、ハイジではなくペーターであるところが、好きだ。

    つまりは、共感の為せる技なのかと思っていた。

    「『ドラえもん6巻』を読んですぐのように優しい」

    ……違った。
    なぜなら私は『ドラえもん6巻』を読んでいないからだ。でも、なんか、きっとこういう展開があったんだろうと想像して、笑ってしまった。

    色んな具体例を出したいところだが、出せば出すほど、自分がどんな人間かが知られてしまうような恥ずかしさがあることに気付く。
    たとえることは、自分を表現する一つの在り方なんだろうなと思う。

  • 中々面白かったですね。

    お笑いが好きな方は是非!

    すぐに試したくなる。
    けどうまくたとえられない笑

    そう、
    美味しい料理のレシピ本を読んだ後の
    料理のように…

    微妙笑

  • 比喩全般の解説ではなく、ユニークなたとえを生むための考え方と、筆者が考えた比喩の具体例がメインコンテンツ。
    言葉の学習本というよりかはユーモア本の系統のようだが、勉強になる要素もあり個人的には好みだった。
    言葉遊びや大喜利、『大人タバコ養成講座』や『匿名ラジオ』などが好きな人は楽しめそう。

    たとえば、「綿菓子のような雲」という表現はありきたりだが、すこし付け足して「作りたてほやほやの綿菓子のような雲」や「一口かじった綿菓子のような雲」にすればイメージがふくらんでオリジナリティも出る、というくだりが印象的だった。活用しやすそう。

    本書を読んだあと自分でもいくつかたとえを作ってみて、比喩には作り手が持つステレオタイプイメージが出やすいと感じたのでそこは注意したいと感じた。

    以下は本書内で気に入った比喩

    わかるわかる部門
    「大浴場に自分ひとりだけのようにうれしい」
    「チラシの上に置いた石より風の強さが勝ったような絶望」

    エモ部門
    「夕方のジャングルジムの影のように長い」
    「これから謝りに行くことを忘れるような快晴」

    ギャグ部門
    「シューベルトの『魔王』なら子どもが死んでてもおかしくないような嵐」
    「謙信から送られてきた塩とそれを使った簡単なレシピのようにありがたい」

  • たとえは風景を鮮明にし、想像力を掻き立てる。
    感情の共有。五感から探す。視点を変える

  • 神戸の古本屋で出会った書籍
    例える面白さがわかる、クスッと笑える秀逸な文が素敵。
    例えが上手い人って憧れるな。
    これを書いている今、私は体育の授業の後のように眠い。

  • 物事をたとえることで、より深く感情を伝えるかもしれない。そんな技術を面白く可笑しい作例を交えながら紹介していく。ほんのわずか視点を変えたり、似た形や色などを使ったり様々である。大喜利に似た作例の連続とヴァリエーションの豊富さに笑ってしまう。‬

  • 人に何かを説明するとき、具体例はその人のキャラを表す。いろんなことを例えられるように表現力を磨いていきたい。

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著者プロフィール

作家、俳人。1970年、北海道生まれ。A型。北海道北見北斗高校卒。主な著書に『去年ルノアールで』『海辺の週刊大衆』『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』『たとえる技術』『その落とし物は誰かの形見かもしれない』など。また、又吉直樹との共著に『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』『蕎麦湯が来ない』などがある。

「2022年 『放哉の本を読まずに孤独』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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