殺人者 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 54
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101033426

作品紹介・あらすじ

大阪で相次いだ猟奇殺人。被害者はいずれも男性で、ホテルで血まみれになり死んでいた。フリーのルポライター木部美智子は、警察に先んじて「謎の女」の存在に気づく。綿密な取材を続け、女の自宅へと迫る美智子。だが、そこでは信じられない光景が待ち受けていた。そして、さらなる殺人が発生し……事件の背景に隠された衝撃の真実とは!? 承認欲求、毒親、嫉妬など、心の闇を描く傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 15年前の事件に対する復讐劇。一気に読んだ。面白かった。繋がりがわかった時は鳥肌。ここまでの完全犯罪はなかなかない。凄いな。
    復讐を遂げた犯人の心情は如何なるものか。

  • 恋人を殺された元女教師・逢坂雪枝の復讐劇。四人の元不良を手にかけたこと、犯人にしたてた森本達子を自殺させたことは理解できる。阿部春菜は阿部節子への復讐のために殺害されたのか。しかし久谷明久に手を出すのはやり過ぎじゃないかな。途中から犯人がわかるが、最後まで楽しめた。


  • 文庫本 468ページ

    大阪で相次いで起こった猟奇殺人を
    記者の木部美智子が事件の真相を追う。

    一見、関連性の見えない事件の点と点が
    取材により徐々に一本の線に繋がっていく中で、
    描いた仮説にそぐわない新たなピースが現れる。

    予想していた以上に複雑でボリュームがありました。

  • 全体を通して重苦しい作品でした。
    事件の残酷さ、一人ひとりの気持ちや行動も重苦しく感じどんな結末になるのか読み進むのも苦しくなりました。
    復讐というには怨念や呪いがなく、ただただ何も考えず人を殺めていく。
    被害者にも加害者に対しても救いようがない気持だけが残りました。
    好きです。

  • イヤーーーー凄い
    こういうミステリーもあるんですネ!
    感動すらしちゃってます。
    徹底的…というのが読後の一言感想ですネ!

  • 本当に猟奇殺人。これを全て女性がやっているなんて、、恐ろしい。話の終わり方はあまり納得出来ないけど木部美智子シリーズが新しく出たらきっと読むと思う。

  • 望月諒子『殺人者』新潮文庫。

    『蟻の棲み家』に続き、フリールポライターの木部美智子が活躍するシリーズ第2弾。

    プロローグに描かれた原田光男をなぶり殺す女性。全ては高校時代の不良仲間、横山明、久谷登、金岡正勝が関わった過去の事件が原因か。

    最後に真相は明らかになるが、結局のところ解決しない事件。モヤモヤする。何だかな。

    大阪のホテルで男根を切り取られ、血塗れになり死亡していた男性が発見される。男性は自動車修理工の横山明で、スナックみさとのアルバイト森下ゆかりにホテルに呼び出されていた。

    その後、やはり大阪のホテルで鍼灸師の金岡正勝も惨殺死体となって発見される。

    フリーのルポライター木部美智子は、事件を取材するうちに森下ゆかりという謎の女の存在を知る。

    本体価格750円
    ★★★

  • 2023.5.8読了
    大阪のホテルで男性が殺害される事件が相次ぎ、その共通した手口から同一犯が疑われる。惨殺された二人の男性は、なぜ殺されなければならなかったのか?
    読者には早い段階でその理由が明かされており、犯人が誰なのかが焦点になる。そしてそれ自体も前半でなんとなく目星がつく。
    しかし犯人の心情が伝わりにくいのである。彼女は、目の前で婚約者を不良グループに殺されてしまう。その男達が憎いのは言うまでもないことだが、心情の描かれ方が磨りガラスの向こう側から訴えかけられているように見える感じがする。
    そして結末としても、彼女に通じる決定的な証拠が無いために裁かれずに終わるのだ。
    必ずしも悪が斬られなければならないということはないが、モヤモヤとしてあまり読後感がよかったとは言えない。

  • 恋人を殺された女性の復讐劇。

    未解決のまま15年が過ぎ、ある日、殺された恋人がしていた時計をつけている人を見つけて、買い戻し、完全犯罪をやってのける。
    その殺害時の描写や過程の心の内などはほとんどない(グロが無いのはホッとする)

    ストーリーは、記者の木部美智子目線で進む。事件を追いかけ調べて考察して真相にたどり着く。

    p182〜その女性と木部美智子との会話は、重要な部分だと思った。強い心を感じ、そして何か過去を背負っているのかなと。

    「大体人の心の中なんて理解する必要があるんでしょうか」「私は人は最低限自分の幸せに責任を持って生きていけばそれでいいと思うんですけど」
    「不幸な人って必ずその原因を他に持って行くでしょ。他人であったり、生い立ちであったり、環境であったり。自分の力ではどうしようもないことだと言いたがる。でも問題は環境やめぐり合わせではないと思います。知らぬ間にそうなるような選択をしているだけ。---- そういう不幸物語は嫌いです」
    「いつでも晴天だと思っている方が、どうかしているんじゃありませんか?」
    「だれだってなにかを抱えて生きている。それが大きい人もいれば小さい人もいて、正確に言えば、同じ問題でも大きく認識する人もいれば小さく認識する人もいる、取り出して比べることはできないでしよ。その全てを要素として、その人が形成されるわけです。だからその不幸な部分だけを取り出して否定しても仕方がない。人間は所詮生き物ですから失敗や不幸に足を取られていては生きていけないはず。ただ貪欲に生きることを考えるべきだと」

    そう言っていた女性が何人も殺すことに意外な気がしたが、だが、だからこそ、時計を見つけてしまった時に、そうするのが彼女にとっては必然だったのかなと、思った。

    女性心理を鋭く丁寧に描かれていて、ハッとしたりドキッとしたり、さらりと読み流しできないとても面白いミステリーでした。

  • ざらざらっとした読了感
    大切にされなかったいのち
    他の誰かの大切ないのち

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著者プロフィール

愛媛県生まれ。銀行勤務の後、学習塾を経営。デビュー作『神の手』が、電子書籍で異例の大ヒットを記録して話題となる。2011年、『大絵画展』(光文社)で、第14回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。

「2023年 『最後の記憶 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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