- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101034072
感想・レビュー・書評
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確か『黒い雨』でも感じたが、この作家の特徴は見た目はシンプル、意図が濃密に詰まっているところか。
表題作二作ともに、パーツは淡淡としているのだが、退屈させることなく、かつ、主張をさりげなく刷り込んでくる。書かれた時代背景を考えれば、この作家の反骨心と才に一目を置かずにはいられない。 -
ジョン万次郎だけ読んだ。
ストーリーを通り一遍だけなぞってる。
これで直木賞がよく取れたもんだ。 -
良い本は、新旧関係無い。
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「ジョン万次郎漂流記」.そっけないくらいの淡々とした文章で,偶然と時代の流れによって大きく変わってしまった一人の男の人生が語られる.帰国後,幕末から維新にかけての大活躍は,一見したところ,成功した人生にも見えるのだけれど,私には彼の身の丈にあった生き方ではなかったように思えてならなかった.
「さざなみ軍記」.西国に落ちていく,平家の若侍の手記の形をとった小説.読んでいて,気持ちが塞いだ.こちらは星2つ. -
土佐沖で遭難後、異人船に救助され、アメリカ本土で新知識を身につけて幕末の日米交渉に活躍する少年漁夫の数奇な生涯「ジョン万次郎漂流記」。
「黒い雨」もそうだったが、井伏鱒二の小説はノンフィクション風で、気が付くと引き込まれて読んでいる。ジョン万次郎とともに漂流し、ハワイに漂着した者が他に4人もいたこと、日本に帰国したのは万次郎を含め3人だったこと、万次郎が明治31年(享年72歳)まで生きたことなど、この本を読むまで知らなかったことが多かった。 -
どちらも、淡々と書かれている。面白かった。
作者の感情は隠されていて、でもどこかしら意欲的な感じを受ける。 -
一軍の将というものは、覚丹の表現によると部下に対して「猥りに糺さず、もってその志を犯さず、気を失わしめず」と心得るべきだというのであった。
伝蔵は言った。
- 世界のはては東西南北みな同じように、行くところまで行けば東西南北みな世界のはてにきまっている。いや、この島はまだ世界のはてとは思われぬとしても、助船がこの沖を通ろうとは夢にも考えられぬ。今日この島に着いたが最後、この島で朽ちはてるよりほかはないだろう。しかし考えようによっては、今日この島に着いたのが天地初時(あめつちはじめのとき)とも考えられぬでもない。みんな気を大きくして、そういうことにしたらどんなもんだろう?
他の四人のものは、ではそういうことにしようと答えて衆議一致した。つまり現代の言葉で言いおなせば、当日をもって無人島紀元元年の第一日と定め、おのおのその生命を慈しみ人生に対する懐疑を捨てようという説である。 -
歴史物にしては読みやすい。さざなみ軍記は平家没落時の話で、一人の若い公達の成長過程が書いてある。終わり方が尻切れトンボではあるが、それも井伏鱒二らしくて面白い。他二編ある。