青の時代 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.28
  • (54)
  • (141)
  • (367)
  • (55)
  • (8)
本棚登録 : 1893
感想 : 153
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050201

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • めんどくさいやっちゃなー、主人公。きっと作者もめんどくさい人だったに違いない。

  • 比喩が美しくて、素晴らしい。賢すぎる青年の苦悩。異常なんだけど、普通にも思える。そんな、狂気の狭間に、みんないるなのだと言う、怖いような、安心なような、様々な感情を味わった。三島由紀夫を読むということは、自分の価値観と向き合うということ。

  • 実際にあった事件をもとに、事件の主役の心理を考察した作品です。主人公の誠はしょせん子供の心理を出ていないように私には思えました。

  • 光クラブ事件に興味を持ったことが読むきっかけになった。

    三島はさまざまな要因によって執筆にかける時間が少なく、作品を膨らませる余裕がなかったことから失敗作としたらしいが、しかしまた愛着もあると言っており、私にも心に引っかかる何か不思議なものを残していった。

    幼少期からの父との確執に起因し、自尊心が高く自意識過剰で独善的な性格を形成した誠は最後まで冷酷だったが、その冷酷さは反対にとても脆い部分でもあったし、自分が作った枠以外では何もできないことを表していたと思う。
    序に「贋物の行動の小説」「贋物の英雄譚」を書きたいとあるが、贋物を象徴するもので強く印象に残ったのは、幼少期に欲しがった非売品の作りものの鉛筆、投資詐欺に遭う際に目にして投資を決意した鉛筆の形をした容器、行く末を覚悟したときに自身が嘲笑していた易の鉛筆を目にしたエピソードだ。
    枠を作りそこに全てを当てはめていくことを当然とし、その枠を壊すこともできなければ作ることもやめられなかった誠は、だからこそ独り善がりであり、周囲の人間がどう考えているかなど思いつかなかっただろう。
    手にした大金で人を惹きつけることはできても自身の枠の中でしか行動できない誠は、最初から最期まで孤独であり、そこに同情こそないが多少の哀れみを感じたのかもしれない。

  • 日本におけるアプレゲール犯罪の1つと言われる光クラブ事件を題材にした小説です。
    だけど、ちょっと構成に問題がありそう。

    木更津での幼い頃の家庭の陰鬱さとかがしっかり描かれているのに、一高に入ってから戦争に行って帰ってくるまでの間が抜けています。
    で、いきなり高利貸し金融を始めて、愛人にしようとしていた秘書の女性が実は税務署員の恋人で、会社の情報を横流ししていたので会社をたたもうかな…ってところで終わっていた。

    三島さんらしい奥深い人物描写があって、もっと楽しめそうだったのにちょっと残念。
    光クラブ事件を題材にするのならば、社長だった東大生が自殺するところまで描いて欲しかったな…。

    でも、三島さんは死ぬことよりも生きることの方が難しいって思っていた人っぽいから、案外小説で簡単に自殺させないんだよね。
    『金閣寺』でも実際の犯人は裏山で自殺未遂をしているのに、たばこを吸って「さぁ生きよう」で終わらせていたんだものね。

  • タイトルが気になって読んだ。三島由紀夫はこれが一番好き。

  • 大衆文学が好きなお前らには私の小説は理解出来まい。と大上段より見下すような難しい言い回しは蟲づが走る。啓蒙思想家のつもりなんだろうか?そういう時代に生を受けた悲哀なんだろうか?

  • 三島由紀夫はなんとなくニガテなイメージがあったのだが綺麗な文を書く。実際の事件をモチーフにしているとのこと。

  • 耀子という女のミステリアスなキャラクターが魅力的。

  • 心理描写はさすがでしたが、全体としてぼんやりしている。解説があってやっとなんとなく読んだ気になるかんじ。

全153件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

三島由紀夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×