豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101050249

感想・レビュー・書評

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  • 最高傑作。凄すぎる。

  • 「天人五衰」の副題のとおり本作品の根底に流れるものは老いに対する徹底的な敵視である。老衰著しい本多と昂然たる透とを対比し、老いることへの恐怖や無力さを嘆く。本作品の凄さは齢45歳の三島由紀夫が80歳の本多の心情を推察し悪や負の側面を極めて仔細に描写し代弁している点であろう。本書の終盤で「老いは衰えではなく浄化」という心境変化、聡子の清顕に対する意外な反応は人生における純粋な無為さを示しているように感じる。本作品を書き上げて三島氏は陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地での自害に至るわけだが、その心中は如何様であったのだろうか。

  • 30年ぶりに
    豊饒の海1-3を
    通して読了
    (1だけは2-3回再読)

    本多と透の心理戦に
    ひやひやし
    慶子のド迫力に
    圧倒され
    聡子の虚空感に
    感情が追いつかず

    この後
    割腹自殺してると思うと
    この物語を
    もう少し丁寧に書くつもりだったのか
    もうここが限界
    (満足?ピーク?)と思ったのか...

    三島の求めた美しさと
    現実との葛藤?辻褄あわせ?
    あらゆるものが凝縮されている
    ような気がする

  • 輪廻転生を本多繁邦を通して再現しているのだが、三島自身の自己分析をしているように思えてならない。松枝清顕、ジンジャン、安永透は黒子で繋がっている。命の短さとはかなさを三島ならではの文学的表現で紡いでいる。虚無(ニヒリズム)を訴えて後自殺をするので、まるで自分の思いを込めた小説だったと思われる。

  • 暁の寺はよくわからなかったけれど、これはもっとよくわからなかった

  • 私の読書人生史上最高傑作。ただし、春の雪〜天人五衰までを一つの作品として読まなければ、何が最高なのか分からないと思う。

  • 豊穣の海第一部からこの第四部まで、本当に読み応えのある作品でした。大作です。
    この第四部では、本多をはじめとする、さなざまな人間の煩悩が描かれる。終盤、これまでの人生の恥と罪と死を負った本多は門跡(聡子)に会いにゆく。本多はこれまで仕事上ではさまざまな実績を残したが、本当のところは、清顕をはじめとする他人の人生に執着し、自分の人生を生きていなかったのだと思う。とすると、門跡(聡子)が本多へ発することばがとても意味深く思える。すべては儚き夢物語だったのだろうか。

  • なんとなく先を急いで読んでしまった。暁の寺で感じられた老衰の惨を作中から見ている観測している人物に、しかし決して重ならない。疑義。

  • 「君はのちのちすべてを忘れる決心がついているんだね」

    老いることは醜くなること。
    浮世に擦れて、粗くなること。

    清顕の魂は、もうそこには居なかったのか?
    魂さえも、輪廻を繰り返すうちに精細さを失ってしまうのか?
    浮世を離れた月修寺の門跡だけは、美しいままだったのか?

    それは心々ですさかい。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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