- Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101054131
感想・レビュー・書評
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登場人物のモノローグ形式で記された、性愛小説六編を収録しています。とりあげられているのは、モデルの少年とカメラマンの男、作家夫人とその夫の留守中に家を訪ねてきた少年、嫁と義父・義母、猟奇的な医者と患者の男、夫に愛情を感じられない妻などです。
ベッドの上も権力の作用する場であるということはしばしば語られますが、そのようにいってしまうと、あたかも権力の作用が単一の方向性を示しているかのように理解されてしまいます。しかし、元来こうした洞察が、ミクロな権力作用を分析するまなざしによってもたらされたということを反省するならば、そうした粗雑な見かたにとどまっていることはできないはずです。甘えたり憤ったり、媚びたり蔑んだりと、行為の進展にともなって微細な権力の作用が錯綜する場であることがわすれられてはなりません。本作には、モノローグという言説のなかで、その立場がめまぐるしく入れ替わっていく経緯がえがかれています。
個人的にはこのような読みかたが可能だと考えていますが、著者の気負いがやや空回りしてしまっている印象を受けたのも事実です。著者は1948年生まれであることを思えば、性という領域が文学にとって開拓されるべき地とみなされていた時代の作品であり、現代ではそうしたインパクトは薄れているようにも感じます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
江戸川乱歩の「盲獣」などのエログロ話から
話が派生していっておすすめされたのがこの本。
絶版になっていたものを、捜し求めてたまたま
手に入れることが出来て読んでみたのだけど…
エログロというよりも、エロなお話でした。
登場人物の独白形式で進んでいくのだけれども、
情景描写がいっさいなく片方の台詞しかないので、
想像する余地がたっぷり。
台詞だけのラジオドラマを聴いてるようなそんなイメージ。
少年とオッサン、少年と人妻、欲求不満な人妻、
医者と看護師と患者など…
いろんな性愛のバリエーションが展開される。
一番最初の少年とオッサンの話である「魔」はエロさ全開。
喘ぎ声のような部分から果てるところまで。
一般的にいう小説形式とは違う形でこういった描写も
できるんだな、と感心してしまった。
裏表紙に「異常な世界をリアルタイムで実況中継」と
あったけれども、その言葉は相応しいなと。