- Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101056043
感想・レビュー・書評
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中盤まで展開が進まず,かつ,酒井先生があまりに冷徹な言葉と態度で,心優しくたおやかな芸妓たちを見下すものだから,自伝小説とわかっていても辛く,哀しく,読むのが苦痛だったが,中盤で一挙に話が転じたかと思えば,そこから怒涛の展開に読後しばし呆然。
女性の着物,髪型,手回り品への執拗なほど細部に込み入った描写や,椿姫のマルグリットのごとき「男のために身を引く女」の登場はいかにも鏡花らしい。しかし,他の作品であれば「幸薄の女は儚い身となるも,男はつねに生き延びる」のが定石のところ,本作はそこから外れている。男でも身分卑しき者は例外ということか。
当時隆盛をみたとかいう舞台などより,本作こそ小村雪岱の挿絵で読んでみたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これは何を言っているのかさっぱり分からん。こんなにも言葉の通じない時代が明治の初めにあったなんて信じられんな、しかし。いつも読んでる時代小説みたいんじゃなかったのか、いや薄々分かっていたけども。
というわけで、珍しく解説を読んでみて、ええ、主税さんってそういう役だったってことなの?!ってなぐらいに分かってなかった。てか解説読んでから本文読み直しても、非常にあいまいというか、まさにハイコンテキストていうか、その時代の日本人にしか分からん表現なんよね。
というわけで、久しぶりに脳みそのシワが増えた感。
あ、ラストもヤバいですよ。意味が分かっても意味分からんていうか。もうハチャメチャ。 -
もう大衆娯楽を地で行くような、メロドラマのような作品。それでも品がないわけではなく、文体の独特の美しさがあって読まさせられる。ストーリーも徐々に盛り上がっていく感じの持って行き方に、つい引き込まれてしまう感じ。
でも、今一つ深みが欲しくなるというか...ちょっと物足りなさを感じてしまう。
かるーく読みたいときにオススメの1冊。 -
谷崎とは違う意味で湿気が多い
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よくわからなかった。
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これは面白い!
明治の風習を知らないと理解できない場面もあるが…「ほおずきを噛むような女」ってどういう評判だ?とまずしょっぱなで躓く。が、ぐいぐい読ませる筋はなるほど人気作品。
驚いたのは、有名な湯島の白梅の場面が小説には無いこと!
こんな文体に慣れたら、楽しく読めます。
「お妙はそのさまを見定めると、何を穿いたか自分も知らずに、スッと格子を開けるが疾いか、身動ぎに端が解けた、しどけない扱帯(しごき)の紅。」 -
泉鏡花はレトリックの魔術師だと思う。
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美しい日本語のリズムに引き込まれました。ラストがいかにも戯曲作家って感じ!