- Amazon.co.jp ・本 (333ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101061078
感想・レビュー・書評
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手塚緑敏との暮らしを描いた『清貧の書』ほろりときました。
緑敏の一言ひとことが芙美子を変えていく、というか本来の彼女に戻していくようでした。
出会ってきたロクでもない男たち。どうしても抜け出せない貧乏生活。いつの間にか芙美子の心は痛いほど冷たい氷の塊になっていたんだと思います。
尖らなきゃ生きぬくことができなかった芙美子。明るく頑張りやの彼女だったけど、もしかしたらそこに潜んでいる孤独な影を緑敏は感じていたのかもしれません。それを少しずつ少しずつ溶かしていったのが緑敏。それは簡単に溶けるような柔なものではなかったと思います。痛いほど凍える闇の中で、ただ緑敏の掌だけが温もりでした。その中で包まれた芙美子の氷の心。溶けそうになると冷たい風が吹いてまた固まります。まるで氷自身が溶けるのを怖がるかのように震えているようです。それでも緑敏は優しく時にはユーモラスを持って根気よく彼女を包み込みます。
その氷が一気に溶け出すキッカケに感じたのは、緑敏が山の聨隊へ召集された日のキャラメルの甘さだったように思えました。緑敏からの何通もの手紙にやっと返事を出したとき、ついに芙美子の心は温もりで満たされたんだと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
広島県東部、尾道を描いた作品、大好きな街です。
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青空文庫利用の為、ここに記録。
「風琴と魚の町」
「晩菊」
「愛する人達」
「朝御飯」
「朝夕」
「或る女」
「美しい犬」
「田舎がえり」
「絵本」
「大島行」
「落合町山川記」
「お父さん」
「おにおん倶楽部」 -
09.4.19