人間の運命 3 (新潮文庫 せ 1-7)

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  • Amazon.co.jp ・本 (517ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101072074

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  • 第三巻では、官僚になった次郎の生活を記している。その生活は、醜いポスト争いや芸者遊びばかりのものだ。清廉潔白な次郎からすれば、苦痛以外のなにものでもない。そして、想い人・加寿子との別れ...。このままの生活でいいのだろうか...?悩んだ次郎は、遂に2つの決心をする。留学と結婚だ。留学はもともと希望していたものだった(もう少し早ければ...!)。結婚は、養父・田部氏に背中を押されたものだから、次郎本人はあまり乗り気ではない。だが、有田家(妻の実家)の人びとの善さを次郎は認められた。あとは新妻・節子との仲であるが...以下、第四巻に続く。

    次郎はどうやら女性との付き合いが不得手のようだ。秋田の芸者・小鶴の振り方を見ても、それが分かる。彼の一高生的な性格、つまり、自立心の強さとプライドの高さが、恋愛関係においてはマイナスになっているようだ。節子との不和が暗示されるくだりで本書は終わっているだけに、今後の結婚生活が気になる。

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著者プロフィール

1896(明治29)年5月4日生。1993(平成5)年3月23日、満96歳没。東京帝国大学経済学部卒。静岡県沼津市名誉市民。
静岡県駿東郡楊原村我入道(現在の沼津市我入道)に父・常蔵(後に常晴と改名)、母・はるの子として生まれる。1930(昭和5)年、療養中の体験に基づいた作品『ブルジョア』が、「改造」の第3回目の懸賞小説に一等当選し文壇に登場。1943(昭和18)年刊行の代表作『巴里に死す』は森有正によってフランス語訳(1953(昭和28)年)され、1年で10万部のベストセラーとなり、ヨーロッパで高い評価を受ける。日本ペンクラブ会長、文芸家協会理事、ノーベル文学賞推薦委員、日本芸術院会員など数多くの役職を歴任、日本文芸の普及に貢献した。

「2019年 『新装版 巴里に死す』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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