蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101079011

感想・レビュー・書評

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  • 高校の現国かなんかの教科書に載ってた。

    おじさん先生が、門下生?の女の子の蒲団の残り香をスンスンする描写がきもっっっっっち悪くて、何で教科書に載ってるの、、、?って思ったのを覚えている。

    今、読み直したら、何か違う事を感じるのだろうか。。。

  • まあ文学やる人て大体エロ親父なんだなって。
    ただ主人公の行動が理解できなくもないのが嫌。

  • 田山花袋を初めて読みましたが、プロフィールのところに自然文学とあり、読んでいて爽やかな描写が特に「重右衛門の最後」では感じました。
    漢文を習っていたこともあり、当て字といいますか、所々にルビがあり放題で、この手の本が好きな私としては大変楽しめました。
    なんとなく手に取った本ですが、読み始めるとぐいぐい惹き込まれて一気読みでした。
    「蒲団」というタイトルが気になりましたが、そこは読んでみてのお楽しみといったところでしょうか。
    蒲団が好きな方は蒲団の中で読むのも、また醍醐味だと思います。

  • 気持ちはわかる

  • 生々しい内面的告白の性格を持つ"蒲団"と、傍観者的立場で物語が進行する"重右衛門の最後"2編を収録。

  •  今更ながらの田山花袋。国語の教科書で、というより日本史の授業の明治文化のところで知った存在に過ぎない。最近のお気に入り作家の中島京子の『FUTON』を近々読もうと図書館に予約を入れてあるので、ベースとなっている(らしい)、原作(?)のほうを改めて読んでみたもの。

     内容は知っての通り、ちょっと変態オヤジの孤独な呟き小説。あとがきの福田某が、「現代の読者の眼にはこの平凡稚拙な小説」と書くように(昭和27年時点)、なんだかな感が大きい(笑)
     けれど写実主義の流れを汲むだけあって、風景描写や季節の移り変わりを記すところは、現代(いま)にない高尚さを醸し出しているようで悪くない。もっとも、そんなダラダラ書いて話の進展に関係ない部分は、若い時分はとっとと読み飛ばしていたなと懐かしい。

     あと驚くのは、今ならセクハラまがいの表記がさも当然と記されていること。

    「女性には容色(きりょう)と謂うものが是非必要である。容色のわるい女はいくら才があっても男が相手を為(し)ない。」

     昨今の復刻版とやらならば、巻末に「本書で用いられている用語や表現の中に、現在の日本では差別的表現とされる可能性のあるものが一部含まれていますが」云々と、作者および出版社に差別の意図がなかったことや、「当時の時代背景を鑑み」などと言い訳が付されているけど、本書にはなかった。
     図書館で借りた古い本だが、初版の昭和27年当時は、これらの表現がなんら問題視されなかったんだろうなあ。面白いものだ。
     
     また、獅子文六の小説でも(昭和30年代)、女性たるものは…という世相に反しての溌剌とした女性の活躍を反面で称えるように書いてあったが、田山花袋の明治の時代は、まだそうした女性を容認しようと頭で理解してても感情としては難しい感が出ていて興味深い。

    「昔のような教育を受けては、到底今の明治の男子の妻としては立って行かれぬ。女子も立たねばならぬ、意志の力を十分に養わねばならぬとはかれの持論である。この持論をかれは芳子に向かってすくなからず鼓吹した。けれどこの新派のハイカラの実行を見てはさすがに眉を顰めずにはいられなかった。」

     でもなんだろう、時代は巡り巡って同じようなことを繰り返している。いや繰り返すもなにも、人間の所業なんて少しも変ってないのかもしれない。
     『蒲団』の有名なラストシーンは、恋い焦がれた女弟子の蒲団に潜って匂いを嗅いでしまうというものだが、平安の昔にも、思い初めし姫君の厠を覗きにいってその排泄物の匂いを確かめようとした変態男がいてなかったか?事前に察した姫のほうが香袋を置いておいて、あぁやはり憧れの君は排泄物ですら雅だと得心したバカ男の話。
     『蒲団』の主人公時雄の行動も似たりよったり。むしろ可愛いもの。さらに、弟子をとる小説家ということで、文豪然とした50-60の親父を思い浮かべるが、時雄の設定は36,7歳とのこと。悶々とするのも無理はないし、むしろよくぞ老成した自制心で己を律したものだと明治男の道徳心に感心さえもするが。。。。

     が、やはり、なんだかなあなお話というのは変わらないけど。
     日本文学史における自然主義文学の端緒となった作品。まさにそこに価値があるんだね。物事の自然な状態を観察し、人の心の在り様までも、ありのままに書く、写実に徹する。たとえそれが後の世で変態呼ばわりされようとも。
     過去の前例を凌駕する。文化というものの価値を改めて理解することが出来るお手軽な作品。

  • 再読です。
    若い時に読むのとは違い、この年になると感慨深いものがあります。
    「蒲団」は、何とはない話なのですが、作家の先生の難しい心の移ろいが、読むものを翻弄します。
    当時の貞操の概念が二人の仲を引き裂きます。
    最後がとにかく印象的な作品です。

  • 文学を求めて上京したよしことそれに翻弄される36歳のトキオ。

  • 高校の現国かなんかの教科書に載ってた。

    おじさん先生が、門下生?の女の子の蒲団の残り香をスンスンする描写がきもっっっっっち悪くて、何で教科書に載ってるの、、、?って思ったのを覚えている。

    今、読み直したら、何か違う事を感じるのだろうか。。。

  • 蒲団に残るあのひとの匂いが恋しい―赤裸々な内面生活を大胆に告白して、自然主義文学のさきがけとなった記念碑的作品『蒲団』と、歪曲した人間性をもった藤田重右衛門を公然と殺害し、不起訴のうちに葬り去ってしまった信州の閉鎖性の強い村落を描いた『重右衛門の最後』とを収録。その新しい作風と旺盛な好奇心とナイーヴな感受性で若い明治日本の真率な精神の香気を伝える。

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著者プロフィール

1872年群馬県生まれ。小説家。『蒲団』『田舎教師』等、自然主義派の作品を発表。1930年没。

「2017年 『温泉天国 ごきげん文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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