沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104294

作品紹介・あらすじ

「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だった。政府は組織の建て直しを図るべく、新会長に国見正之の就任を要請。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。「きみの力を借りたい」。国見の真摯な説得が恩地を動かした。次第に白日の下にさらされる腐敗の構造。しかし、それは終わりなき暗闘の始まりでしかなかった…。

感想・レビュー・書評

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  • 本作、『沈まぬ太陽』全5巻は、2019年11月に第3巻を読んでいましたが、ジャンボ機墜落事故の凄惨さ、内容の重さに、娯楽としての読書にはならず、読むのを中断していました。
    その頃から、4年5カ月が経ち、ようやく第4巻を手にとりました。


    著者の作品、ブクログ登録は17冊目。
    あらためて、著者、山崎豊子さんを、ウィキペディアで見てみます。

    ---引用開始

    山崎 豊子(やまさき とよこ、1924年(大正13年)1月2日 - 2013年(平成25年)9月29日)は、日本の小説家。本名︰杉本 豊子(すぎもと とよこ)。

    ---引用終了


    で、本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    「空の安全」をないがしろにし、利潤追求を第一とした経営。御巣鷹山の墜落は、起こるべくして起きた事故だった。政府は組織の建て直しを図るべく、新会長に国見正之の就任を要請。恩地は新設された会長室の部長に抜擢される。「きみの力を借りたい」。国見の真摯な説得が恩地を動かした。次第に白日の下にさらされる腐敗の構造。しかし、それは終わりなき暗闘の始まりでしかなかった…。

    ---引用終了


    本作のp508に、『昇魂之碑』について書かれています。
    引用してみます。

    ---引用開始

     順次、十一基の墓標に、供え物をして、冥福を祈ると、恩地は事故機が激突した地点に建つ『昇魂之碑』の前にたった。
     高さ二メートルほどの御影石に、上野村の黒澤村長が揮毫した文字が刻まれている。多くの生命が絶たれたこの地点を空の安全を誓う場にという願いを籠めて、村長と藤岡市の石材組合が寄付をして建立されたものであった。

    ---引用終了

  • 5巻にて感想。

  • 本の背帯の文言
    もう一度闘う決意をした恩地。企業を蝕む「闇の構図」を暴くことはできるのか

     利根川総理のたっての願いで、新会長に関西紡績の国見正之会長が国民航空の会長を兼務することになった。
    恩地は国見会長に説得され、会長室の部長に抜擢される。

     新生国民航空の会長である国見が以下の新役人事を発表した。
     社長に、前の運輸事務次官で顧問の海野昇、副社長に、もと常務の三成道夫を指名した。
     はじめは国見の意見に同調していた社長、副社長も、やがて、厳格な国見から離れていく。

     今回も読んでいて非常に、むかむか来た。
     国民航空の関連会社である国航開発のワンマン社長の岩合宗助は、ゴルフ、夜のクラブ遊びに飽き、クルーザーを購入し、会社の接待や自分に必要な「客」だけを乗せ、オーナー気分を楽しんでいた。
     国民航空本社の秋月専務、甘粕秘書部長、新生労組が出資している旅行会社の専務の轟などをクルーザーに載せ、そこで密談をしていた。
     新生労組の幹部は、組合員が毎月払う会費(一ヶ月五千円、年間七億二千万)を使い、高級ホテルのスイートルームで酒を飲みながら定例会を行う。
     甘粕は国民航空の優待券・割引券を轟に横流しする。
     轟は裏地にドラゴンの地紋が入った派手なスーツを着、ブランド靴を履いている。新生労働組合の副委員長だった轟は、組合員時代に潤沢な組合費を使い高級レストランやバーで飲み食いし、女遊びをした。
     国民航空から吸った甘い汁で永田町の政治家に献金する、これら悪徳幹部達。

     魑魅魍魎が跋扈する国民航空の描写を読んでいると、こんな嘘のような事実が、現実にあったのだろうと思うと、むかむか来た。

     最後は御巣鷹山事故の一周忌の描写で終わるが、一周忌に参加した遺族の慟哭の様子を読んでいて涙が出るおもいだ。
    以下、恩地の決意で終わる。
    「今なお、航空会社の使命を忘れ、贖罪の意識の欠片もない社内の魑魅魍魎の輩を、はびこらせてはならない。
    会長室に対する反駁は、さらに強まるだろうが、屈してはならないと、恩地は心に誓った」
     次巻「会長室篇・下」も楽しみだ。

  • 面白い

  • 事故後1年も経ってないのに、賄賂やキックバックで私腹を肥やすことしか考えない上層部面々。こんな会社ほんとにあるんだなー

  • 腐り切った会社が520人もの命を奪う事故を起こし、その再建のために全く異業種から送り込まれた国見会長と恩地元の立ち回りが興味を引く。ここまで腐った組織ではトップをしがらみのない外部の人間とすげ替えなくては無理なのであろう。それでもトップとはいえ1人の人間だけで再建するのは不可能であり恩地をはじめとする会長室が一丸となり膿を出し切るの最終巻のメインストーリーであろうが、敵の多い恩地の活躍に期待したいところだが、正義と矜持を真正面からぶつけてきた彼がどう振る舞うかに注目しながら最終巻を楽しみたい。

  • 国見会長という素晴らしいリーダーがいてくれて、ホッとしました。ようやく恩地さんが認められて、力を発揮できる時がやってきました。ここまで読んできて、リアルな世界の出来事のように感じ、思わず人に話してしまいそうです。どこまでも腐り切っている上層部をどのように切り崩して行くのか、切り崩せるのか、最後まで気が抜けない、改めて後世に残すべき大作です!

  • 社会的な問題としては興味深いけど、小説としての魅力が下がってしまったような…。たくさんの人が出てきて、たくさんの黒い部分が見えてくる。もっと恩地の活躍に絞って読みたかった。取材を進めていくうちに、書きたいことがたくさん出てきたんだろうか。最終巻、どうやって終わるんだろう。

  • 会社再建のため、総理の後押しを受けて会長就任した国見、
    現場を大事とする、その人格と経営力は社員を変えていこうとするが、、
    待つのは想像以上に腐敗した会社の蛆共だった。

    520人の尊い命を奪った責任など露とも思わず、尚も利権を貪り食う魑魅魍魎

    そして初めて会社からの不当な扱いから解放され、会長室の一員となった恩地元

    前巻で事故の悲惨さ、遺族の悲しみと怒りをまざまざと見せつけられたが、今回は余りに腐敗した一部社員に違う意味で顔を歪ませられた。


    果たして組合統合は成るのかーーー

    続きが気になる!!!

  • 後藤田は『運命の人』と同じだが、瀬島は『不毛地帯』の主人公だった為か、別名で登場。こちらの方が名実共に近い気がする

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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