- Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101104317
感想・レビュー・書評
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今月初めにテレ朝系で放送。放送前に読了するはずが、ずれ込んでしまいました。大阪の老舗を舞台に、遺産相続を巡ってのお話。3姉妹が段々と欲を出していくのに加えて、生前懇意にしていた女性に子どもが生まれることで更なる探り合いが繰り広げられます。遺産の行方は...誰が一番得をするのか?下巻に続きます。
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下巻に記す。
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何度目かのテレビドラマ化を前に読んでます。
遺産相続の嫌なところが思いっきり描かれており、読んでいて萎えました。
実は身内でも骨肉の争いってヤツを繰り広げている者がおり、「ホンマに嫌になりますわ~」と思っているところで読んでしまったのがいけなかった…。
長女が婿をとり家業をやっていく家でありながら、藤代はお嫁に出ていったのに(しかも出戻り、更に次女が婿とって後を継いでいる)、自分は総領娘だから!と強引に取り分を主張するあたりが理解し難い。
しかもその理由が「自分は長女なのに、他の姉妹より取り分が少なかったり損することは、絶対に許せない」っていうのが、もうね…。
けれども権利を主張してる人って、そういう考え方なんだなと、ちょっと身内の揉め事が理解できたような気もする。
あと自分が相続する土地建物は、相続税が多く取られるから割に合わないので、他の姉妹たちの相続財産から少し回せってのも、すごい理由だなと。
みんなの相続税を平等に負担したらいいんじゃないの?と思うんだけど、税理士さんや弁護士さんは登場しない(笑)
しかも亡くなった旦那さんの愛人は妊娠してるし、先々代から仕えてる大番頭は財産をちょろまかしてるし、もう色々と大変。
婿とって家を継いだ次女・千寿、頑張れと思って読んでます。
裕福な商家のお嬢様方のお話なため、着物など立派なものが文章で表現されておりますが、私にその方面の知識がないため全く想像つかないことがとても残念。
こちらはドラマで美しい女優さんによる映像で楽しみたいと思います。
読んだ内容で気持ちは萎えますが、どんどん読み進めていけます。
この相続、最後はどうなるの?という期待感を持ちつつ、下巻を読み始めます。 -
ドラマを見て面白かったので原作へ。
時間さえあればとにかく読み耽りました。それくらい面白い。
昔の関西の名家の人々の暮らしぶりや価値観が分かる。ドラマであまり私には伝わってこなかったのかもしれないが、宇市がさらに醜悪で藤代がさらに恐ろしい女だと思った。本家からすれば妾の存在が面白くないのは分かるが、どうしても文代が気の毒に思えた。ただ自分が藤代らの立場だったらどうだろう。妾を面白くない気持ちになるのは分かるし、人間だれしも藤代らのような面を併せ持っているものなのでは。そこを容赦なく描き出した山崎豊子はやっぱりすごい。 -
久しぶりに山崎豊子さん。
社会派で重厚な作品の多い山崎さんだが、この作品はちょっと違う角度かもしれない。
大阪の老舗矢島家は、代々跡継ぎに婿養子を迎える女系家族。
その四代目である嘉蔵が亡くなり、莫大な遺産を巡る三人の美しい娘たちと大番頭、嘉蔵の妾、娘たちを取り巻く人々の愛憎劇。
簡単に書くとこんな感じで、遺産を巡る諍いが繰り広げられる。
美しい娘や大阪の富裕な家庭という一見「細雪」みたいな華やかで美しい物語の設定ではあるけれど、繰り広げられるのは遺産を巡る争いなので、華やかではあるが美しくはない。生々しくいやらしい。
また、莫大な遺産を巡る争いではあるが、「犬神家の一族」のような血で血を洗うような惨劇も起きない。
物語の展開としては金融業界と親子の隔絶を描いた「華麗なる一族」のような、しっかりした社会派なものだ。
ところで、この作品は「にょけいかぞく」と読むし、わたしも女系と書いてにょけいと読んできたのだが、どうやら違うようだ。天皇陛下の退位(退位もおかしいとは思うが)に関してや後継問題などの報道の際、大抵のニュースで女系天皇(じょけいてんのう)と言っている。
女系って、じょけいって読むんだ、知らなかった、とかなり衝撃を受けた。
わたしが使うiPadでも、にょけいでは変換出来ない。
知らなかった。
いつからそうなったの。
昔からなの。
わたしと山崎豊子さんが間違っていたの。
と、思ったわけだ。
そんなこんなで下巻へ。 -
えげつなく面白かったです(笑)
大阪を舞台にした小説を大阪にいるうちにもうちょっと読んでおこうと思って、手にとった本です。
(電子書籍なんで手には取れないんですが)。
1960年代と思しき大阪。老舗の木綿問屋が舞台。
代々女子ばかり生まれ、能力のある男を婿にとって続いてい女系家族。
つまりは女性が権力を持っているわけです。
冒頭、当主の葬式から。奥さんはもう死んでます。
という訳で相続争い勃発。
①わがままで婿取りを嫌がり嫁に行ったのに離婚して出戻ってきて長女として惣領のプライドを持つ長女。
②長女の割を食って婿取りし、家に残っている次女。
③若くてまだまだぶらぶらしている三女。
④その三女を取り込む、分家の叔母。
⑤三代に仕えすべての商売を知悉している老いた大番頭。
⑥長女のバックに着く、野心家の若い踊りの師匠。
⑦死んだ当主が囲っていた妾。
などなどが怒涛に入り乱れる。えげつない心理描写。欲望のエレクトリックパレード(笑)。よく取材されたディティール。
面白くないわけがない。さすが山崎豊子。
しかしまあ・・・えげつないったら(笑)。ザ・ドロドロ。でも語り口は絶妙のサスペンス。
そして小説ならではの心理描写の醍醐味。
うまい。
で、あと、当然地名などが大阪なんでちょっと面白い。
あと、関西弁ってこうなると、効果抜群。
一つ悔やまれるのは和服の知識があったら、倍くらい面白いだろうな、ということ。
女性陣の服に意味や心意気が溢れている。んだろうな、きっと。
多分、電子書籍でどこでも読めるので、下巻も怒涛に読んでしまいそうな予感。
実は何年か前に米倉涼子さんでテレビドラマになったらしいんですが、不勉強で全く知りません。
ただまあ、こりゃあ、原作の方が面白いに決まってるなあ、と勝手に感じながら読んでいます(笑)。 -
なんと人の欲望の際限のなさ、嫉妬の醜悪さだろう。妾の家に上がり込んでの所業の描写は鳥肌が立つくらいの凄惨な場面だった。