黒革の手帖(上) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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感想 : 201
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109534

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりの松本清張。私の中で文筆格式が高いので、最大限の緊張感を持ちながら読む。今回は元子の凄まじいしたたかさに「この人は凄い人だ」に尽きる。凄いというのは、男を金とみる、怖い、強い、ぶっ飛んでいる、孤独すぎ、頭良すぎ、などなど、形容する言葉が色々出てくる。銀行での恐喝、病院での恐喝。今後の元子の着地点が全く読めない状況。現在、少しだけ下巻に入っていますが、まだまだ分かりません。最後、どうなってしまうのか、仮説①やっぱり逮捕される?②天罰が下る?③元子の一人勝ち?はないよね。仮説検証結果は下巻で!

  • 上下巻 完読
    さすがです!
    行員として職務にまっとうする日々の中で
    仕事ができても会社に長年尽くしても
    決して女子行員は高みを望めない
    真面目に働いてきたのにもはやお局として煙たがられる存在
    元子はうんざりしていた
    絶望していた
    経験と信頼を「黒革の手帖」に書き留め
    銀行から〝ちょうだい〟した7000万円で銀座にクラブをオープンする
    愛も情も知らず大人になってしまった元子
    欲だけが彼女の活力となり這い上がろうと
    お金に人生を捧げる姿は何故か哀しい
    お勉強になります
    人が思う人としての幸せは人それぞれ
    だとしても幸せになれない人はどこまでいっても結局は幸せにはなれない
    なぜなら幸せはお金や地位や人から与えられるものでなく、ただ単純に自分で感じるものだから
    人の恨みを積み重ねたきた結末がちゃんと辻褄の合ったミステリーでやっぱ最高。
    2019.9.5
    今年の15冊目

  • 女子行員が横領した金で銀座の高級クラブを経営、更なる金を引き出す為権謀を巡らすサスペンス。
    タイトルの手帖に恐喝のネタが載っている訳だが、恐喝にならぬ様な情報収集、証人の確保、場面設定などは犯罪者でなくとも勉強になる事がある。

  • 黒革の手帖(新潮文庫)
    著作者:松本清張
    発行者:新潮社
    タイムライン
    http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
    夜の街をのし上がる悪女を描く迫力ある小説。

  • この作品は、確か著者が70歳の頃に書かれたものだと記憶する。
    社会派ミステリー作家の旺盛な創作欲を感じる作品である。

    下巻が楽しみである。

  • 銀行の預金係りの女が、
    架空名義口座から着服、、横領。。脅迫紛いの念書を取り、
    黒革の手帖からカルネと言う名のクラブを銀座に構え、
    話は大きく深く発展して行く。。

  • ドラマを先に見ているのですんなりと頭に入ってきました。
    ドラマとは時代設定が違うから細かい部分は違うけれど。

    女の強さ、したたかさ、怖さがしっとりと書かれた作品。
    屈辱や孤独を味わった女性がいかに強いかということをしみじみと感じます。

    主人公・元子が“女”という性を使わずにのし上がっていくのは同じ女性としてかっこいいとさえ感じます。

    上巻では、上昇気流に乗っている元子。
    下巻でどう転落していくのかどう機転を利かせるのか、楽しみです。

  • ドラマで武井咲が演じたのを見て、原作に興味を持って読み始めた。
    時代も昭和50年代だし、主演の元子は銀行員でも、派遣ではなかった。
    しかも、美人でもなかった。
    それでも、ドラマとはまったく違ったストーリー展開がすごく引き込まれるものがあり、これが松本清張なのか!と、実は初めて松本清張も読んだのだ。
    固いイメージがあったけれど、とても読みやすい文章。手に取るように思い浮かんでくる情景。
    顔と違って、優しい文面。
    色んな意味で驚いた。
    何度もドラマ化されている理由も分かる気がする。
    すぐ下巻読みます。

  • レビューは(下)で

  • 1.気になっていた松本清張シリーズ、今度は銀座の女の野望を描くストーリーということで、まったく開拓していない分野だったので購入しました。

    2.銀行員として働くことに退屈さを感じていた原口元子は、バァとして働くことを決意し、銀座で働き始めた。そして、数ヶ月経ったのち退職をして、自分の店を持つことを決意した。元子は自分の店を持つために、会社の金を横領することにし、見事に会社の金を奪った。これの裏には、支店長と次長のある弱みに付け込んだことがきっかけだった。これを機に、退屈さを感じていた元子の人生は、一気に様変わりし、銀座のママに君臨するために、あらゆる男の弱みに付け込んだ。果てなき野望を掲げた女のサスペンスストーリーが今始まる。

    3.話の前半から引き込まれてしまいました。最初の、銀行員が不祥事という言葉に特に弱いというところにリアル感がありました。また、元子が女1人であらゆる男の弱みに付け込んで世間を渡り歩いていく姿は意固地に見えました。男女平等の社会が浸透し始めた現代では、女性にとってどのように思っているのかは、常々考えています。銀座のような場所であれば、元子のような女性が特に多いと思うのですが、指名されることが命の彼女達は生き残りをかけて闘っています。私はこのような女性には縁がないので、普段と違う女性について知ることができたので、面白かったです。

  • 凄くいい!
    著者は、数字に強いのが窺えます。
    どうしようもなく救い難い男共を翻弄し、更なる高みへ目指す悪い女、元子。
    なんだかスカッとします。
    同時に女性は読んだほうが得な内容になっています。
    しなやかさ、駆け引きの巧みさ、美しい日本語…お手本になると思います。
    裏切らない内容。
    面白く下巻を読みます。

  • 戯画的、残酷なラストにぼうぜん。清張、文字通り芯をえぐってくるなあ!女は内性器でほろぶ、と呪いを突き付けてきた。汚い言葉だがちくしょうめっていいたくなった。米倉涼子ドラマ版はどうだったんだろう...売れた小説をTV化するとき、優しくないラスト(大衆の嗜虐趣味を充分満たしたゆえの支持の源泉)に改変で手心を加えられることは多いものだが。例は「不機嫌な果実」。小説を読む層とTVドラマを見る層で重ならない部分があらわになるところだ。
     小説ではだれもヒロインを愛さず、またヒロインからも愛することはなくひたすら利害関係で軽蔑しあいだったが、TVではそんなに米倉をハードにこてんぱんにやれない気も。あっちょうど今2017年版始まったのかー。
     米倉対釈という絵面に興味あるのでDVD借りてこよかな。

    (20170724)

  • ドラマ版も見ながら読んでいるが、なかなか面白い。早く下巻を読みたい。。

  • 松本清張は昔から好きな作家で、ミステリーの王道だと思っています。この作品はそうでもないですが、意外な真犯人が最後に出てきたりする、いわゆる大どんでん返しが得意の作家さんです。
    驚くほど強かな女性が主人公です。時代は昭和50年代初頭なのに、今読んでも全く古臭くないんです。主人公は元銀行員で、巨額の横領をして、バーのママになり、その金持ち客を相手に次々と金を巻き上げる方策を考え、実行するのですが・・・。
    まず、バーのママの話し方というのが、上品でとても参考になりました。でも、銀行員をやっていたような人が、接客業なんて次の日からできるのかしら?とは思いましたが。巨額横領事件の手口は、90年代の大和銀行ニューヨーク支店の話を思い出しました。チェック体制の甘さが抜け道になっているんですね。
    この作者の人物描写はとても面白いです。若い作家にありがちな、美しい人というのがほとんど出てこず、皆どこかしら影があり、不気味なんです。強欲な油ぎったオヤジも、「ぬらぬらとしたなめくぢのような」といかにも気持ち悪そうな表現です。
    それにしても、この本を読むと、いったい誰が悪者なんだろう?と最後に思いました。個人的には、女一人で頑張っている主人公にエールを送りたい気持ちでした。

  • ベテラン女子行員の元子が銀行から横領した資金を元手に銀座にバーを開店、来客を次々に標的に虚々実々のやり取りを繰り広げ、のし上がって行く。単に銀座が舞台の「ママの争い」ではなく、出世欲、愛と隷従、脱税、裏口入学、政治、暴力、反社との駆け引きなどが複雑に絡んだストーリーになっており、銀座の夜の世界をまるでその場で見ていたかのようにリアルに描かれている。昭和58年発刊の小説で当時の時代背景を色濃く反映させているのもとても魅かれる。僕が銀行に就職したのは平成に入ってからであるが、小説で描かれている80年代前半と、バブルの余韻が残る90年代前半で、多少似ている気がする。松本清張の小説は初めて読んだのだが、たまにはこういう小説も良いかも。山崎豊子もひさしく読んでないし、社会派小説買ってみようかな。

  • 平凡な銀行で働く女性が、不正をしてお金を手にする。
    その後は銀座のバーのママとしての人生を歩み始める。

    なんとなくですが、銀座のママを中心とした
    ドロドロの人間模様を想像していましたが
    昼ドラのようなドロドロではなく
    「黒革の手帖」を中心に回る
    女好きの男と銀座のママとの間の
    お金の駆け引きのドロドロ。
    このドロドロ感がたまらなく面白い。

    今も昔もお金をきっかけに生まれる人間関係。
    それが、自分にとって全くわからない
    銀座の世界で繰り広げられている。

    銀座の話の進行は
    少々上手く出来すぎている進行のようにも感じるが
    ママとお客の男たちの生々しさを感じる
    松本清張の文章が
    読む者を引きつけていると思います。

    下巻でのママの今後の動きが楽しみです。

  • 目立たなく便利屋として使われてきたベテラン女子行員から、夜の蝶として成り上がりを目指すママに転身。
    ストーリーは面白いけど、いつもよりテンポよく読めなかったのは、この転身に至った心理というか理由付けが、あまり感じられなかったからかもしれません。
    主人公の元子は、下巻でどうなるのか。
    行動の割に悪として描かれていないので応援したいし、出来れば足を洗って幸せになって欲しいけど・・・。
    下巻に期待です。

  • 数年前に上巻だけ読み終わって、なぜか上下巻のセットを読みかけで登録していたので整理するため登録。

  • 賢いカッコ良い女性。駆け引き上手。男の弱みを握ってそれと引き換えにお金をいただく。
    と思いきや、最後は嵌められてたのか。

    手帳に何が書かれてるのかな?って思いながら読み始め、架空名義の口座か、なるほど。と思った。

    出産前最後の一冊となり、思い出の作品となりました。

  • 面白い。久々に一気読み。
    クライム小説の一種だろうが、元子の野望がどんどん膨らんで、次々に機会がやってくる。都合が良すぎるきらいはあるが、元子の手段を択ばぬやり方が、心地よくなってくる。
    何度も映像作品になっているのも納得。

  • 横領金をもとに銀座のママに転身した元子による、夜の紳士を手玉にとった欲望の物語。
    痛快で面白い。

  • 武井咲主演のドラマが良すぎて。でも、令和に合うようにされてたから、原作はどうなのかなと思って読み始めた。元子は悪女って言われるけど、周りのオッサンも似たり寄ったりでしかも気持ち悪いので、個人的には元子を応援してしまいたくなる…笑。ていうか架空預金ってそんな作れるもんなんだ?

  • 1人の銀行員が危険な賭けの末華やかな銀座の夜に打って出る。そこから物語が始まる。表の華やかさ、裏の魑魅魍魎、因果応報、社会の闇。上下巻で見事に表されている。

  • (再読)時代は古いが面白く、一気に読めた。

  • 昭和の銀座、銀行員のさえない女子が、横領をネタにゆすり、のし上がっていく前編だが、魅力がない。
    だから後編は読む気が起こらない。

  • 感想は下巻

  • とても良かった。
    元子の堂々たる姿勢や優美な振る舞いは真似したいと思える様子。
    それにしても元子は稀代の悪女と言われるほど悪い女なのだろうか。脅迫のネタにされるような悪いことしてる方が悪いのではないか、と思わずにはいられない。
    社会派と謳われる作者だけあって、書かれた当時の煌びやかでバブリー?アナログで昭和?な世界観と現在とのジェネレーションギャップを感じずにはいられない。その点も楽しめて良いかなと。

  • 昭和感がすごい。もう上巻は内容もさることながらその雰囲気にどっぷり。
    ドラマ(見ていない)などではどのように設定したのかしらと思いながら読み進める。
    主人公の大胆な行動に終始はらはらどきどきの上巻。
    下巻どうなるのかが気になる。

  • 結局のところ、知恵の働く者が勝つということか。
    女の打算はすごい。ものの見事に相手を騙し誘惑し、自分が得をするまでいっきにもっていく。
    生きる知恵でもあるのだろう。
    下巻どうなるか楽しみ。

    文体が古いので最初は読みにくく感じ、進みが遅かった。半分くらい読むと慣れもありサクサク読めた。

  • 打算。
    色。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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