- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101116020
感想・レビュー・書評
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ミーハー極まり無いけど『PERFECT DAYS』で作家に興味がわいて。
登場人物たちの日常の、流れるように移ろい行く様を利発な女中の主人公の視点で柔らかく描く。
舞台となる芸者置屋のちょうど転換期を描いてはいるけど、派手な事件が起きるでも無く、淡々と日常が過ぎていく。
芸妓の着物や持ち物や化粧の艶やかさ、表情や声色や仕草から溢れる心情、花街の情景が主人公の目を通して鮮烈に綴られて読み手を本の世界へ引き込む。
主人公の過去は細やかに仄めかす程度で、読み手に想像させる余白のバランスも良い。
読み進める内に構造や雰囲気に映画と共通するものが見つかり実に興味深いと感じた。
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芸者置屋で働くことになった梨花という女性のお話です。華々しい世界の裏側の描写も面白かったし、梨花の心理描写も小気味良いテンポで描かれていて、読んでいて飽きなかったです。筆者の流れるような美しい文章に圧倒されました。とにかく物語の世界に没入できましたし、読んだあとの余韻が凄くて中々現実世界に帰って来れなかったです(笑)
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文章が独特で、調子が悪い時は頭に入って来ず苦労した。でも、面白い部分は面白かったし、今の職場に似ている場面がたくさんあった。女が集まるとどこもこうなるのかな。仕事のできる梨花さんかっこいい。
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1956(昭和31)年作。
住み込みの女中となった女性の視点から、落ち目の芸者家の様子を描いた小説。
文章がとても良い。ちょっとした言葉の選出などにいちいち味があり、絶えず気を配った彫琢された文体である。これに浸っているだけで充実感がある。
一方物語内容や構成などにはさして出色のものはないと感じたが、どうだろうか。が、平凡な日常を細やかに描出した小説世界は、それはそれで価値を持つのかもしれない。 -
言葉はきれいだけど、話はよくわからなかった
久しぶりに眠い話だった
自分には合わない作風なのかな
でも、言葉の表現はきれいなので、他の作品を読んでみようと思った -
ゆるゆると流れるような美しい文章!日本語の流麗さ。
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昭和31年の本。
じっくり読みたいが図書館への返却期限などあり
ざっくりスキャン読み。
また思い出したら、今度は一冊だけ借りてきてゆっくり浸りたい。
映画鑑賞。
他の方の感想を読んだり、小説かじって内容はなんとな〜くわかるかな、程度で見たけど、楽しめた。
時間が不可逆的なように、傾く芸者置屋は経営が持ち直すことはなく。昔の男には相手にされず。でも見栄を張らなきゃ生きていけない、かなしくしぶとい女たちの生き様。リカの強かさ、しなやかさ。
時代を感じる女子職業安定所。
この時代に自立していた、またはしようとしていた女性たち。その自立をするための商売の相手は男性。それは、この小説の場合、時代だからだが、いまも女性の自立の影には男性という別の性ではないとできない何かがある気がする。
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めっちゃ面白い。
それからすごく不思議。
1955年に書かれた小説なのに、すごく今風っていうか、
なんかね、すんごい面白いお姉さんのツイッター見てる感じ。
何十年も昔の小説だなんて思えない。
……って考えてたら、高橋義孝先生の巻末の解説でちゃんとした文章で説明されてた笑
「文字によって構成される文章というもののロジックではなしに、話される生きたことばのロジックに従って文章となったというのが幸田さんの文章である。」
それそれ!!!
多分ね、生のことばで書いてあるから、古い感じがしないの。
すっごく新しいの。
今も昔も、人間の思考回路なんてそう変わんないんだなって感じする。
しろうとの主人公の目で語られる花柳界の雰囲気がすごくリアルで面白い。
私は冒頭の「猫だわよ!」と、
駐在さんに出す志那そばをとんでもないところから手渡しするシーンが好き。
声上げて笑っちゃった。
作者の分析的な視点も効いてる。
ま~~~~~芸者衆の性格が良かったり悪かったりするんだけど、
そのキャラクターデザインが優れてて、
「確かにそういう人生を歩んでたらこういう性格になって、こういうことも言うだろうな」
って納得しちゃう。