冬の鷹 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.96
  • (47)
  • (64)
  • (38)
  • (3)
  • (3)
本棚登録 : 566
感想 : 72
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101117058

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 吉村昭さんのお蔭で、知らなかった、知っておくべき過去の有名無名の偉人の業績、人生を知ることができて本当に嬉しい。有難い。
    タイムスリップして、透明人間になって、その場にいたような気になれる文章が好き。
    ターヘルアナトミアを前に、絶望する前野良沢や杉田玄白の姿が見える。孤独、名声、期待、失望、怒り、悲しみ、喜び、安堵。
    彼らの生きた時代の空気を感じられた気がする。
    読めてよかった。

  • 「解体新書」で名を残した前野良沢と杉田玄白の対照的な生き方を描く。興味深く読めるのは、彼らを含む4人が共同して訳出に苦闘するくだりで、難事業を克服しようとする各人の情熱と、個々の異なる能力がうまく機能する様は、プロジェクト成功の秘訣を示しているよう。必要な情報や知識が簡単に手に入る現在、かえってその仕事の価値が伝わってくる。ただ、出版を境に良沢と玄白の間に富と名声、家庭環境にまで差が付いていく後半の記述はやや長過ぎる印象で、高山彦九郎のエピソードも蛇足。その辺は作者の思い入れが出過ぎてしまっている印象だった。

  • 解体新書を訳した前野良沢を中心に、長崎でオランダ語を学ぶ苦労、杉田玄白らとの交流が描かれている。学者肌で誤りが残る翻訳を出版したくない思いや、人との交流を絶ったことで貧しく孤独な暮らしになる。その中でも凛として生きていく姿が目に浮かぶ。人の崇高なる生き様を感じられる本である。

  • ターヘルアナトミアを翻訳後の前野良沢と杉田玄白の対照的な人生。良沢の蘭語への、妥協を許さない強いこだわりが、彼の人生を孤独かつ貧しいものへとしてしまうが、まあ、本人が好んで選択した人生であるのだから、これはこれで幸せな人生だったというべきだろう。リーズナブルな玄白は、「解体新書」の成功で名声を得、優秀な弟子を育て、名医としてビジネスでも成功を収める。良沢の職人気質に惹かれつつも、こだわりを捨てて玄白のように柔軟に振る舞いたいものだ。

  • 前半は面白かったです。後半は駆け足すぎてよくわかりませんでした。

  • 前野良沢くらいなあ。でも、なにjかひかれるものがある。

  • ★★★
    今月1冊目
    解体新書を出した、杉田玄白と前野良沢の本。
    世の中では杉田玄白がという感じだが実際は前野良沢が翻訳。杉田玄白は弟子。
    が、人生の明暗を分けたのは考え方。
    おもろかった

著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉村昭の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×