カンガルー・ノート (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121246

感想・レビュー・書評

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  • ある日突然足に「かいわれ大根」が生えた。
    病院へ行くと、医師から「温泉療法」を勧められ、彼を乗せたベットは目的地に向けて走り出した。

    ‥‥

    起承転結とか秩序とか辻褄なんてものはなく、なんといえばいいのか。
    ところどころ死に関連してる雰囲気が出ていて、この人どうなるんだろう?っていう疑問でずっと読み進めていた。
    最後の結末を見ても、「そういうことか」とはならなかった。

    2024年2月23日

  • ところどころ意味はわからないものの、読みにくいということはなかった。結果的には著者の遺作になったものだが、テーマが「死」っぽいのは途中からなんとなく感じていたし、最後に何かもうそろそろ終わりそうだという雰囲気を感じることができた。

  • かいわれタイム入りました

  • 僕が大好きな俳優の松岡茉優が、高校時代に読んでいたという安部公房。
    「なんじゃっこりゃ」
    とか思いながら読んでいたらしい。
     
    『カンガルー・ノート』とは。
    僕としては『砂の女』に続いての安部公房の物語。
    松岡茉優が安部公房を読んでいなかったら、きっと僕も読んではいなかったと思う。読書そのものだって、きっかけは彼女が本好き、読書好きと知ったから。読書は松岡茉優と繋がるための唯一の手段だと確信したからです。
     
    想像力をフル回転させました。
    「なんじゃっこりゃ」
    松岡茉優でなくても、そう思います。
    しかし、序盤のみでした。状況を飲み込んでからは、引き込まれていました。『砂の女』ほどの息苦しさのような感覚もなく。“かいわれ大根”のディテールさえ、やり過ごすことができれば、ですけれど。僕は、しばらく“かいわれ大根”遠慮しておきます。見たくもありません。
    この物語のテーマは“死”であるといいます。しかし、僕は“生”だと思いました。“死”を意識することで“生”が際立つのではないかと思ったからです。病院を抜け出し廃駅へ向かったのも“生”への執着でした。主人公の明確な意思があったからこそ、そう思いました。もし病院を抜け出しさえしなければ、主人公は生きながらえることができたのではないか、でも、生きながらえることだけが“生”ではないと、もしかしたら、そういうこともあるのかな。

  • とりあえず読みながら脛がムズムズした。だって、脛にカイワレ大根が生えてくるなんて…。しかしこの設定で掴みはOK!と思った。
    やたらと高性能なベッドに乗って、行く先は地獄。軽く読めるけれど、テーマが「死」だと思うと考えさせられるところもあったりして。
    読む時に自分が置かれた状況によって、見え方が変わってくる話だろうと思ったので、また折を見て読み返したい。

  • 「あれがたんなる被害妄想だろうか。むしろ肉体的苦痛の精神的転移なのではないだろうか。」p195

  • カオス

  • ある朝突然、脛にかいわれ大根が自生していた男の話。
    病院のスプリンクラーは父親の顔、ハイテク自走機能付きのアトラス社ベッドに括り付けられそのまま硫黄温泉へ。
    賽の河原に子鬼が出て来たかと思いきや、児童福祉施設のパフォーマンスだという。病院の看護師が現れたと思えば目のない母と太刀回りを繰り広げ・・・夢と現実のはざま・・・と言いたいところだが地獄からどうしても出られない、悪夢から覚めそうで覚めることができない、なんだか言いようのない気持ち悪さと悲しみを感じた。

  • 高校の時以来の再読。やっぱり訳が分からぬ。

    脛に貝割れ大根が密生した男。頼りにした医院からベッドにくくりつけられ、硫黄泉への旅が始まる。

    トンボメガネに下がり目の看護師、賽の河原の小鬼たち、失くした母との再会。

    オタスケ オタスケ オタスケヲ
    ダレカ オネガイ タスケテヨ

    このあたり、楢山節考にも通じる作者のユーモアを感じる。

    全編通して生と性、そして死の気配が混沌と。本当にカオス。。

  • どこからが現実で、夢で、空想なのか。入口も出口もわからない。面白いのかつまらないのかもわからない。でも安部公房好きにはたまらない世界観でした。

著者プロフィール

安部公房
大正十三(一九二四)年、東京に生まれる。少年期を旧満州の奉天(現在の藩陽)で過ごす。昭和二十三(一九四八)年、東京大学医学部卒業。同二十六年『壁』で芥川賞受賞。『砂の女』で読売文学賞、戯曲『友達』で谷崎賞受賞。その他の主著に『燃えつきた地図』『内なる辺境』『箱男』『方舟さくら丸』など。平成五(一九九三)年没。

「2019年 『内なる辺境/都市への回路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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