- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101122168
作品紹介・あらすじ
チューリッヒを出発した汽車は牧草地をぬけるとアルプスの山塊を登っていく。いきなり車窓に飛びこんできた巨大な岩壁のアイガー、朝日に全容を示した坐せる孤峰のマッターホルンをはじめ、人なつこい宿の主人シュトイリ氏、チナールの谷で逢った愛らしいベルギーの少女たちなど、憧れの土地で接した自然の風物と人情の機微を清々しい筆で捉えた紀行文。佐貫亦男氏の写真多数収録。
感想・レビュー・書評
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「新田次郎」が昭和36年(1961年)に訪れたアルプスの3ヵ月の旅を描いた紀行『アルプスの谷 アルプスの村』を読みました。
『アイガー北壁・気象遭難』、『強力伝・孤島』、『孤高の人』、『劒岳 〈点の記〉』に続き「新田次郎」作品です。
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チューリッヒを出発した汽車は、いよいよ憧れのアイガー、マッターホルンへ……ヨーロッパの自然の美しさを爽やかに綴る紀行文。
チューリッヒを出発した汽車は牧草地をぬけるとアルプスの山塊を登っていく。
いきなり車窓に飛びこんできた巨大な岩壁のアイガー、朝日に全容を示した坐せる孤峰のマッターホルンをはじめ、人なつこい宿の主人「シュトイリ」氏、チナールの谷で逢った愛らしいベルギーの少女たちなど、憧れの土地で接した自然の風物と人情の機微を清々しい筆で捉えた紀行文。
「佐貫亦男」氏の写真多数収録。
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山岳雑誌『山と渓谷』に20回にわたり連載された作品、、、
スイス、フランス、イタリアの3か国からアルプスを訪ねた感想が率直に描かれており、愉しく読めましたね。
■1.白銀の峰々
■2.老ガイドの宿
■3.ユングフラウヨッホに立つ
■4.樅の森に雨が降る
■5.滑らかな草原ツェルマットへ
■6.山岳博物館と遭難者墓地
■7.石の巨人―マッターホルン
■8.郵便バスに乗って
■9.プティムンテの小屋
■10.白銀のガウン
■11.メールドグラースの大氷河
■12.山岳兵のいる街
■13.窓に花のない村
■14.死んだ山
■15.エタンソンの谷
■16.アラレの降る国境
■17.一点の光明
■18.真夏の雪
■19.谷間で会った少年
■20.さよならアルプス
■あとがき
■もう一度行きたい 新田次郎
■旅程と写真 佐貫亦男
先日読んだ、短篇集『アイガー北壁・気象遭難』に収録されていた、『ホテル氷河にて』、『オデットという女』、『魂の窓』は、この旅で得た経験から着想された作品だったことが、よくわかりましたね、、、
アルプスの雄大な景色、そして、キレイで明るいだけではない暗い部分、醜い部分や、風土や気候、地形と密接に結びついた風習や習慣、生活等、現地に行ってみないとわからない雰囲気が伝わってきました… でも、読んで感じたことって、現地で感じたことの、ほんの数パーセントに過ぎないんでしょうね。
実際に訪れて、バスや電車に乗り、現地の人々や登山者たちと触れ合い、同じ空気を吸って、同じ料理を食べ、同じワインを飲まないと、わからないことが多いんだと思います… 行ってみたいなぁ、、、
55年も前のことなので、現在は変わってしまった部分も多いんでしょうけどね… 現地へ行って、その雰囲気を肌で感じてみたいです。
本格派山好きの方からすると邪道かもしれませんが… ケーブルカーやロープウェイ等で山頂まで行ける山が多いのも魅力ですね、、、
雄大な景色を、この眼で見てみたいなぁ… 実現するまでは、山の本を読んでガマンです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
このような旅をしてみたいと思うが、この本はつまらなかった。星3つはかなりおまけ。
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この本を読んでアルプスにある新田次郎先生のお墓をお参りしました。
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多数の山岳小説を上梓している新田次郎氏が、昭和36年に初めてヨーロッパアルプスを旅した紀行文。
初めての感動は何物にも代えがたい。
アイガー、マッターホルン、ユングフラウ。
山々も、特別に美しい姿を披露してくれたようだ。
スイスアルプスと牧歌的な風景の美しさに感激し、ややはしゃぎ気味から、フランスに入ると同じアルプスでも暗い色彩と貧しい村、とても客を乗せるものとも思えないバスとその運転手に驚く。
登山家たちの遺品を見たり、墓を訪れたり。
やがて、しきりと故郷の長野の地名が出てくるようになる。
上高地に似ている、志賀高原を思い出す、と。
旅に疲れ、里心がついてきたのだろう。
アルプスの旅の終わり。
もう、やたらシャッターを切ったり、やたらと歩きまわることをせず、静かに山と向き合う。
他国にまたがっているアルプスの山々をめぐるこの旅で、作者が一番実感したことは『スイスの美しさは、そこに住まう人たちの、たゆまぬ努力によって生み出されたものである』ということだった。
新田氏をこの旅に誘い、同行してガイド役も務めた佐貫亦男氏の写真を多数収録。
佐貫氏は、新田氏のエッセイを読んで、自分の予想した反応と違う部分も発見し、新鮮だったり意外だったり、もっといい時に見せてあげたかったと思ったりしたらしい。
同じものを見ても人の感じ方は様々だ。 -
スイスに3ヶ月いて確信したことは「スイス人が美しい自然というものは極めて人工的で、スイスというのはなんだか巨大なテーマパークみたいだ」ということである。僅かな谷間や穏やかな丘は美しい放牧地と伝統的な家屋が広がっていてそれは絵になる景色である。どんな山にもケーブルカーやロープウェイが敷かれ、ハイキングルートがどこまでも血管のように張り巡らされている。麓から森林限界を超えた山の頂まであたり一面、緑の牧草地帯が広がり、家畜小屋があり、乳製品を作るための様々な品種の牛や山羊が草を食んでいる。一方、本来このような土地に生息していた大型の野生動物の多くが絶滅もしくは絶滅危惧種で、夏のハイシーズンには、彼らの代わりにハイキング客と牛で山が埋め尽くされているのである。スイス人の言う「自然」とはこういう世界である。なんとそれと同じことを、すなわち「スイスの美しさとは作られた美しさだ」と言った作家がいた。それが1961年に初めてスイスを訪れた新田次郎である。登山家である新田次郎は、チューリヒからスイスに入り、ユングフラウからアルプスに迫る。その後、フランス領アルプスに入ったり、イタリア側からコモ湖を通り、今度はスイス東側のエンガディン地方など、スイス中をくまなく巡った。その記述は、50年以上経った今でも違和感を全く色褪せていないのがスイスの不思議である。当時ですら、スイスは世界的な避暑地・観光地であり外国人であふれていたのは変わりが無いが、唯一、奥地での地元の人々の外国人に対する反応だけが少しだけ現代とは違うように思えるくらいだ。新田は、最初はアルプスの圧倒的な迫力の前に大興奮するものの、こうした旅を通じて、最後に新田はスイスの美しさが自然ではなく人々の手によって丁寧に作り上げられてきたものだということに気づくのである。だからといって、スイスの魅力が失せるということではない。神々しく魅力的な山々だけならば、カナダにもパタゴニアにもあるかもしれないが、人の手を介して築かれてきた山を取り巻く社会の美しさに、著者は魅了されたに違いないのだ。著者の切り取った世界を半世紀後の読者が共有できたことは、スイス人のこの努力と意志がスイスの美しさに対する魅力を維持してきたことの証明になるだろう。
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最近の旅行記とは若干異なる雰囲気あり、これは時代のなせる業かもしれません。当方山好きでも山嫌いでも何でもない存在なので、山を語られても今ひとつピンと来ないけれども、山がスイス文化の産物でもあること、そしてシュトイリさんが魅力的な人物である等人との出会いの言い尽せない価値は十二分に伝わってくるエッセイでありました。
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新田次郎の文章は安心して読める。シンプルだけどあたたかみがあって、着眼点もすき。地名がたくさんでてきて勉強にもなった。
いつかスイスへ行こうと決意。 -
すごく古い本だけど、今読んでも新鮮。スイスに行くならぜひ。
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古い装丁のものを保有。
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●my枕頭書。