性的人間 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101126043

感想・レビュー・書評

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  • 今回も著者の問いが感覚的にわかりやすく面白い作品集だった。
    3作品に共通して、「視覚」による拘束からの、逸脱や脱走がテーマに描かれている。
    現在は、監視カメラやSNS等の「視覚の権力が」強いパノプティコン的な社会だからこそ、本作のような視覚からの逃避を目指す作品は痛烈に、現代社会への問いを提示するのでは無いか。

    全部面白かったな。まじで。

  • 性的人間 5
    セヴンティーン 5
    共同生活 4

  • 性的人間、セブンティーン、共同生活を収録

  • 『ノルウェイの森 上』

  • 性について解ろうとしない人間が読んでも、意味がなかったなあ...自分の未熟さに本を閉じました

  • ラストでの主人公Jの衝動と選択。これしかなかった。
    どこかの時点から、Jはこの最期を迎えるために生きてきたようにすら思える。

  • 表紙の怪しさや序盤の内容から嫌悪感を抱きつつも読み進めていたが、中盤から一気に内容に引きこまれ気付けば最後まで読んでしまった
    読了後、自分の価値観やアイデンティティといった物が本物と言えるか、そんな事を考えさせられた

    大江健三郎先生の他の作品も読んでみたい

  • 2021年 41冊目

    「性的人間」 
    性的少数派の嗜好の追及を描いた作品。最初の妻を自殺に追い込んだ嗜虐的趣味のある青年が痴漢行為に傾倒する。孤独感を抱える退廃的な作風を更に冷めた目線で読んでしまうのは令和世代だからかしらん。。独り善がりで作品丸ごと自慰行為を見せられてるようで好みでなかった。

    「セブンティーン」
    現代において確固たる主義や思想を持ち声高に発言する人はそう多くないだろう。主人公の少年は最初左翼だが、彼の政治意識は観念的なものにすぎない。不安定な10代。ある日右翼の党首の演説を聞いて右翼活動にのめり込む。不吉な変身の瞬間。死を以て人を脅迫し自ら死に飛び込む右翼青年を形付けるのは右だけでなく左だけでもなく日本全体である。万人の実存を見つめた作品。実存と言う深みでは、政治的で道徳的な価値判断は存在しない。

  • はじめの別荘のくだりは難解であったし、一本調子で退屈だった。けれど、その後痴漢同盟へ向けてJの性癖説明には効果的だと思う。
    痴漢同盟はテンポ良く進んで、所々大江健三郎の考察も入り小難しくなって面白い。
    青年の死が彼らの離別の原因となったこともいい転換だった。ただ、どうして青年の死が痴漢である者の選んだ死であるとなったのかが謎だった。

    セヴンティーン
    17歳の青年とも少年ともつかない主人公の心理は、とても一般的なものであった。自意識が肥大化し、自分でも持て余している感じが良かった。
    右になることによって自己肯定感を得たり、自分を何者であるかを知ったり。でも、それは本物の自分?しかし、そうやってつけた知識の集合体が自分であることは確かなのだから、やはり主人公は本当の自分を見つけられたのか?

  • とても面白かった。

    前の妻を自分の性的趣向によって自殺させてしまった青年の不安定さを痛いほど感じた。強く心にへばりつく罪悪感を痴漢によって昇華させようとする男にどうゆう感情を持てばいいのか分からなくなった。

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著者プロフィール

大江健三郎(おおえけんざぶろう)
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。

「2019年 『大江健三郎全小説 第13巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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