- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101128016
感想・レビュー・書評
-
ストーリーではなく、文章の巧みさのみで鳥肌が立ったのは、小説では初めてかもしれない。
あまりにも生々しく鮮明な文章に、ページをめくるたびに様々な感情が沸き上がり、体力の大半を削り取られた。
圧倒的です。
読まないという選択をしないことをお勧めします。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
怒濤の表現力!土俵際の火事場の馬鹿力!とにかくパワフル!
-
短編集。「パニック」は120年に一度の竹の開花にあわせたねずみの大量発生と、それによって引き起こされるパニックを描いた小説。役場に勤める研究職の男の視点で描かれた内容には細部のリアリティがあり、その分だけ、地上に溢れかえって狂奔する鼠の場面は圧巻。
「裸の王様」は画家/絵画教室の講師を主人公にした短編。ある実業家のひとり息子が彼の絵画教室に通うようになるのだけれど、この少年は、愛のない父親の無関心と、愛情の示し方のわからない過保護な継母の抑圧とによって、いまにも窒息しそうになっている。絵を通じて少年が抑圧から解放されてゆく過程と、政治や社交ばかりを熱心にやっている画壇への風刺。絵の本質を理解する努力を棄て、功名と保身と利益のために芸術を利用する人々への怒りと、そのために犠牲になりつつある子どもらの感性を思う主人公の憤り。読んでいるこちらまで息苦しくなるような体温の高い小説、良作だった。 -
2冊あり
-
こんなにも五感に訴えかけてくる作品は初めてでした。社会とは何か強く考えてしまいます。
-
「流亡記」が特に好きです。五感に訴えかけてくる独特の比喩表現は絶品で、開高の筆力の高さに思わずうなってしまいます。
-
(1992.08.17読了)(1990.03.10購入)
内容紹介 amazon
とつじょ大繁殖して野に街にあふれでたネズミの大群がまき起す大恐慌を描く「パニック」。打算と偽善と虚栄に満ちた社会でほとんど圧殺されかかっている幼い生命の救出を描く芥川賞受賞作「裸の王様」。ほかに「巨人と玩具」「流亡記」。工業社会において人間の自律性をすべて咬み砕きつつ進む巨大なメカニズムが内蔵する物理的エネルギーのものすごさを、恐れと驚嘆と感動とで語る。
☆開高健さんの本(既読)
「輝ける闇」開高健著、新潮文庫、1982.10.25
「夏の闇」開高健著、新潮文庫、1983.05.25
「破れた繭」開高健著、新潮文庫、1989.12.20
「夜と陽炎」開高健著、新潮文庫、1989.12.20
「知的な痴的な教養講座」開高健著、集英社、1990.03.10
「シブイ」開高健著、TBSブリタニカ、1990.05.08
「ベトナム戦記」開高健著、朝日文庫、1990.10.20
「オーパ・オーパ!! アラスカ篇」開高健著、集英社文庫、1990.11.25 -
社会に生きる人間の浅ましさを浮き彫りにする作品である。
物語それぞれの舞台には企業・組織が絡んでいる。
作者が捉える事実は、私たちが生活している社会に起きていることのように思え、事実を孕んだフィクションであると言ってもよい。 -
圧倒的読了感