新潮記 (新潮文庫 や 2-50)

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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134512

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  • 新潮社版「山本周五郎小説全集・別巻4」1943年(昭和18年)の戦中に新聞小説として連載されたもの。
    なぜかわからぬが読み残してあった1冊。
    解説をよんでみてわかったのだが、著者自身も自信作でなかったらしい。わたしも読み始めがしっくりこなかったので途中でほおっておいた。これでほとんど全作品を読んだことになるから、とにかく決まりをつけたくて読む気になった。

    しかし
    やはり山本周五郎の世界だ。なかなかに読みでがあって、言わんとしていることはよくわかる。

    時代は江戸末期(嘉永5年1852年)幕末の混乱期、水戸家と幕府の確執を下敷きにして、若い二人の男(早水秀之進と太橋大助)の友情と運命を追っている。斉昭、藤田東湖、水戸、攘夷論、大政奉還、討幕、佐幕など・・・が飛び交い、ふたりの会話がとくに讃岐高松の郷士秀之進の独白が作者の気持ちを代弁している。日本の国難、行く末、あり方、国民の自覚が語られるけども、簡単ではない、誤解も起こる、それは太平洋戦争末期の「言いたいことが言えない」作家の苦しみと重なる。

    維新でも悩み、戦争に突入でも悩み、戦後でも悩み、現在も日本の存在は混とんとしている。そういう思潮的なところが熱いといえば熱い、若い山本周五郎の作品であった。

    ​出版社が全集を出して作品を網羅したく、古いのも拾って入れたということであろう。

  • 再読。

  • 1980年代。日時不明。

  • 作者が生前文庫化を固辞したわけがよくわかる。これはひどいんじゃないかな。半分くらいまで何の話かもよく分からなかったし作者の独り善がりな意見をただキャラクターに代弁させていることがあまりに透けて見えている小説。周五郎作品は大抵読んでおいて損はないと思うが、これは読まなくて良いと思う。ところで解説が木村氏ではない新潮文庫の周五郎の作品始めて見た(笑)

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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