泣き言はいわない (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101134598

感想・レビュー・書評

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  • 新潮文庫にある周五郎の最後に読んだ。藤沢周平と違うのは、周五郎の作品は箴言が多いところだ。人生、金ではない。命を粗末にしてはいけない。生き残ってやるべき事をやるのが価値ある生き方だ。といったような。とりわけ、「ながい坂」には、これでもかというくらいあったなぁ。2016.6.4

  • 正直申し上げまして、こういうのは萎えます。解説で酒の席では説教臭があるとか書かれると尚更。
    この作家の小説は割に好きなだけに、余計にがっかりです。残念無念、出版社にはもうちょい考えて欲しいでありまする。

  • ・人間の一生には晴れた日も嵐の日もあります、どんなに苦しい悲惨な状態も、そのまま永遠に続くということはありません
    ・人はときによって、いつも自分の好むようには生きられない。ときには自分の望ましくないことにも全力を尽くさなければならないことがあるものだ
    ・人間が多くく飛躍する機会はいつも生活の身近なことのなかにある
    ・人間は「絶望」し絶望から脱け出るたびに高められる
    ・人間は調子のいいときは、自分のことしか考えないものだ。自分に不運が回ってきて、人にも世間にも捨てられ、その日その日の苦労をするようになると、はじめて他人のことも考え、見るもの聞くものが身にしみるようになる
    ・男が仕事をする場合に、たのむのはおのれのちから一つだ、少しでも他に頼む気持が動いたら、仕事の形は出来ても魂がぬけてしまう
    ・義であることがつねに善だとはいえない。また、正しいことだけが美しいとは限らない
    ・人間は生まれてきてなにごとかをし、そして死んでゆく、だがその人間のしたこと、しようと心がけたことは残る、いま眼に見えることだけで判断をしてはいけない、辛抱だ、辛抱することだ、人間のしなけらばならないことは辛抱だけだ
    ・自分が苦しいときは他人も苦しいということ。その苦境は永続的なものではなく、いつか好転するということをなぜ考えられないのだろう。三食を一食にしても切抜けてやろう、というねばり強さがなければ、人間生活とは言えないのではないか
    ・世間には表と裏がある、どんなきれい事にみえる物だって、裏を返せばいやらしい仕掛けのないものは稀だ、それが世間ていうもんだし、その世間で生きてゆく以上、眼をつぶるものには眼をつぶるくらいの、おとなの肚がなくちゃならない
    ・人間のすることにはいろいろな面がある。暇に見えて効果のある仕事もあり、徒労のようにみえながら、それを持続し積み重ねることによって効果のあらわれる仕事もある
    ・読書ということは、人間の創造したもっとも価値の高い快楽の一つだと思う
    (以上、山本周五郎『泣き言はいわない』)

  • 氏の過去の作品の中からテーマ別に分けられた名言集。
    現在「樅の木は残った」「長い坂」の2作しか読んでいないが、考えさせられる深い言葉が多い。

    このような名言が自然と口から出るような思慮深い人間になりたいものだ。

  • 再読。
    女性に関する箴言は時代が古いなと感じる部分も多少あるが、人間の生き方の根本は今も昔も不変。各章胸にガツンとくる言葉が満載。
    夫婦のきずなの言葉と親と子の言葉に今の自分は引きつけられる。

  • 人間は金持ちでも貧乏人でもみんな悲しい辛いことがあるんだ「むかしも今も」抜粋

  • 2015/9/8読了

  • 山本周五郎氏の作品の名言集。常に弱い者の味方に立っていてくれる言葉がたくさん詰まっている。頑張ってる人には背中を押して支えてくれる感じが、怠けを自覚し苦悩してる人には耳が痛い箴言が盛り沢山。人生の教科書的な本。
    泣き言を言いそうな気分での読了。結果、飲み込んだ。

  • 15/02/06。高倉健さん。

  • 苦しみつつ、なお働け
    安住を求めるな この世は巡礼である

    ストロンドベリイ

    木村久邇典さんの解説に、山本周五郎氏が人生の指針としたら箴言が掲げられている。
    まさに、この言葉を様々な人間を描くことによって、後世の人々に伝えようとしたのが、山本作品であり、この著書に載せられた数々の人生訓ではなかろうか。
    世の中の最底辺で様々な弾圧に虐げられる人々を幾重にも描いた山本作品は、現代日本では流行らないかもしれない。
    しかしながら、時代を超えて、人間とはどんなことを希求するかを追求してやまない彼の著作は、流行り廃りを乗り越え、遠く未来まで受け継がれていくことだろう。
    世の中を批判する人は、日本中で数多存在するが、人間を賞賛する人はもはや絶滅危惧といっても過言ではない。
    だからこそ、山本周五郎氏の価値は、逆に高まるというものである。
    昭和の銀幕スターであり、無骨者の代表とも言えた高倉健さんが、この作品を愛読書として、常に手元に置いていた意味がほんのちょっとばかり分かったような気がした読了感である。

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著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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