旅立ちの朝に―愛と死を語る往復書簡 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101146249

感想・レビュー・書評

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  •  某書店の文庫棚に、月日を記したカバーがかかった"BIRTHDAY BUNKO”と称する本が並んでいた。自分と同じ誕生日の作家の本を読んでみよう、という趣旨らしい。たまにはこういう買い方もいいかなと思い、手に取ったのが本書。ちなみに、私と誕生日が同じなのは、曽野綾子氏と往復書簡を交わしているアルフォンス・デーケン氏。
     著者や内容について何の予備知識もなく買うなんて無謀だと思った。でも思いがけず新たな出会いがあった。本書を書いていた時期の作者と、今の私はおそらく同年代だ。「死学」をライフワークとする著者の過酷な戦争体験とその後の献身から、鋼のような精神を感じた。一瞬の体験が作り出した人生。人間の岐路は突然訪れることもあるのだと知った。
     精力的な活動と謙虚な姿勢には学ぶところが多い。デーケン氏の他の本も読んでみたくなった。

  • 新年1冊目にこの本を読んで良かったと思う。
    「死(生)」について考える事をタブー視する日本において、「死(生)」を考えるにはかなり良書。そして、同時に「愛」について考える、往復書簡形式でまとめられている本。

    哲学的な考察が多い中で「誰しもに訪れる死について考える事を、積極的な意味で(自然に)捉える事」を教えてくれる。

    フランスの諺
    "Partir, c'est mourir un peu."(別れは小さな死)
    の描写は共感を覚える。

    人は生きる中で多かれ少なかれ、大きなまたは小さな「別れ」を繰り返し、その最期が「死」であるという考え方。

    実に良書。

  • 曽野綾子とアルフォンス・デーケンによる「死」を廻る往復書簡集。デーケン氏のものは日本人に依る翻訳。最初から雑誌連載され、公開されることが前提の書簡なので、説明的だが判りやすい。デーケン先生には学生時代にanthropologyを教わった。その時は特にDeath Educationと云った感じではなかったように思う。神を信じ、死を引き受けた上で現在をより良く生きると云う、キリスト教的実存主義とでも言った考え方。

  • 書簡形式なので、アルフォンス・デーケン先生の本のなかでも読みやすい1冊。

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著者プロフィール

1931年、東京に生まれる。作家。53年、三浦朱門氏と結婚。54年、聖心女子大学英文科卒。同年に「遠来の客たち」で文壇デビュー。主な著作に『誰のために愛するか』『無名碑』『神の汚れた手』『時の止まった赤ん坊』『砂漠、この神の土地』『夜明けの新聞の匂い』『天上の青』『夢に殉ず』『狂王ヘロデ』『哀歌』など多数。79年、ローマ教皇庁よりヴァチカン有功十字勲章を受章。93年、日本芸術院・恩賜賞受賞。95年12月から2005年6月まで日本財団会長。

「2023年 『新装・改訂 一人暮らし』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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